1-11

 大型連休八日目、気が付けば連休も残りわずかです。朝ご飯の際に、葵とウェストポーチの相談をすることにしました。


「3倍以上とかすげーな」

「ハヅチブランドも凄いよね」


 最前線の攻略組や生産者にも知られているのですから、凄いことです。葵は恥ずかしそうにしていますが、一芸に秀でているのですから、誇っていいはずです。


「それで、どうやって売るんだ?」

「露店でもやろうかと思ってね。でも、それだけだと寂しいからポーションも売ろうと思って」

「作れるのか?」

「最低限は。だから、定価で賑やかしだよ」


 大量に作って定価で並べるので、私の所で買う利点はありません。まぁ、余ったらオババに買ってもらえばいいので、調合の上位スキルを解放させるまでの辛抱です。


「そういえば、鞄の件だけど、時間がかかりそうだ」

「そなの?」

「エスカンデの方な、布の素材があんま落ちないんだよ。森やら草原やら湖やらがあるんだが、どうにもこうにも……」

「猪とか何かいないの?」

「流石になー、ダンジョンが解放されれば何かあるんだろうけど」

「ダンジョンか……。魔法使い向けのダンジョンでもあれば、潜るんだけどね」


 もちろん、ソロ向けのですが。インスタントダンジョンなら、ソロ用の配置でもあってもいいのですが。


「ダンジョンの解放には街でのクエストがいるんだよ。蜃気楼の塔だって、解放された時はワールドメッセージ流れたらしいぞ」


 それは知りませんでした。ログアウト中に流れたワールドメッセージは後で確認出来るようにしておいて欲しいです。そうすれば……、いえ、見ても放置ですね。なら、必要ありません。


「それと、午前中に俺用の鞄作るから、午後にでも刻印してくれ」

「あーりょーかい。でも、午前中はオババの所で調合してるから、ログイン中ならすぐ出来るよ」


 一応、午前中の予定を伝えておきます。普段のログイン時間を考えると、午前中は私の方が早く落ちるので無理かもしれませんが、ログインするのは葵の方が早いので、念のためです。





 午前中の家事を終え、ログインしました。今日は昨日の続きで調合をします。黄色い鱗が102個あるのでイエローポーションを大量に作るつもりです。


「オババオババー」

「何じゃ小娘」

「イエローポーション作りたいから、薬草売って。そんでもって教えて」

「まったく、世話のかかる小娘じゃ。さっさと準備せんかい」


 オババから薬草とポーション瓶を50本ずつ買い、奥へと向かいました。


「簡単に説明するぞい。まず、薬草をすり潰し、次に鱗をすり潰す。そしたら、容器に移し、水を加えて熱するだけじゃ」


 ……ノーマルポーションと材料が違うだけな気がします。まぁ、基本スキルで作れるアイテムなのでそんなに難しい工程はないのでしょう。薬草は工程短縮で済ませ、黄色い鱗を潰します。

 バリン、バリン、ガキン、ゴン。

 狙いが外れました。ただ、ゲージを見る限り、致命的な失敗には見えないので安心して続けましょう。細かく砕いた後はゴリゴリです。


「それくらいで大丈夫じゃ」


 オババからストップがかかったので次に進みます。薬草、鱗の順番でビーカーに移し、水を入れて熱します。どうやら熱する工程も材料が違うと工程短縮が使えないようです。しばらくすると、材料が溶け込み、黄色へと変化しました。


「それで完成じゃ」


 少し冷ましてからポーション瓶へと入れ、鑑定すると。


――――――――――――――――

【イエローポーション】

 黄色いポーション

 HPを1分かけて15%回復

――――――――――――――――


 15%ですか。かなり前に見た猫耳さんのノーマルポーションが11%だったので、もしかすると効果を1%上げるだけでもかなり大変なのかもしれません。あの時は生意気なことを思ってすみませんでした。と、心の中で謝っておきましょう。


「ワシはイエローポーションの買い取りはしとらんが、それが基準の性能じゃ、覚えとくがよい」

「了解です」


 工程短縮でそれぞれの工程を覚えさせ、レシピにも登録しました。今後再現する能力が解放されるとは思いますが、出来れば早くして欲しいものです。

 用意した薬草を全て使い切ると、調合がLV18になっていました。同じくらい作ればLV20に届きそうなので、もう少し続けましょう。

 オババから追加で薬草を50本買い、作っていると、35個目でレベルアップの通知が来ました。

 本日作り上げたイエローポーションは85本。その結果が【調合LV20】であり、レシビ再現の能力です。これはとても便利です。説明を見る限りMPを使うようですが、調合道具を所持しているだけで使えるというのはとても便利です。


 テロン!

 ――――フレンドメッセージが一通届きました。――――


 おや、ハヅチからです。えーと、鞄が作り終わったそうです。今オババの店に向かっているけど刻印出来るかと聞いてきています。MPは問題ありませんし、時間もまだあります。そのため、オババの店で待ってると返信しました。作業場が必要になるため、不用意に場所を変えるわけにはいきません。


「ちわーっす。リーゼロッテいるか?」

「はいはーい」


 ハヅチから鞄と魔石を二つずつ受け取ると、そのまま奥に引っ込み作業開始です。


「【刻印】」


 表示された魔法陣を縮小し、貼り付けます。そして、次です。


「【魔石融合】」


 魔石(大)を埋め込み、識別で確認です。その結果は問題ありません。同じようにもう一つにも刻印と魔石融合を行いました。


「終わったよ」

「サンキュウ。それで、MPに余裕あるか?」

「んー、後2回くらいなら出来るよ」


 今思えば、刻印の大きさが違うとは言え、ウェストポーチ2個作って限界だったころが懐かしいです。そんなに経っていませんが。


「そうか、じゃあ頼む」


 ああ、時雨のPTメンバーの分ですか。初めっから別けずに渡してくれてよかったのに。そうすると、最低でも後4回ですね。ただ、無い袖は振れないので2回が限度です。

 追加で2回、刻印と魔石融合と識別を行い、MPはすっからかんです。


「これで今回は終わりだよ。回復待ってくれれば出来るけど、その分、お昼が遅くなるよ。……かかった時間の三分の一くらい」


 MPポーションは大量にありますが、今の手持ちは売り物です。無駄遣いするわけにはいきません。


「く……」


 ああ、悩んでいます。こうしている間にもMPは回復しつつありますが、同時にお昼も遅くなっていきます。さて、どうするのでしょうか。


「ど・う・す・る?」


 こういった場合のにこやかな笑みというのは相手にプレッシャーを与えるものです。ハヅチはそれに慣れているはずなのに、相変わらずたじろいでくれます。


「少しくらいいいさ」


 おや、切り替えてしまいました。もう少し面白い反応を見せてくれてもいいのですが、残念です。


「それで、少し聞きたいんだが、ウェストポーチの入荷はどうする?」

「あーそれ。ハヅチから定価で買い取ろうと思ってるよ」

「そうか。刻印して露店で売るなら、商人ギルドに登録しないと出来ないからな」

「そうだったね、忘れてたよ」


 代理販売は登録しなくても出来るのですが、露店や店を持つには商人ギルドに登録しなければいけません。商人ギルドにもランクがあり、いろいろと特典がつくそうですが、そこは調べていないので、わかりません。


「一応教えとくけど、露店や店用の販売メニューがあって、簡単な制限かけられるから、覚えとけ」


 詳しく聞いてみると、一定期間のトレード不可や、取得SPやスキルによる購入制限もかけられるそうです。転売を防いだり、プレイ時間が取れない人向けに商売したり出来るそうなので、一人一個にでもしましょうか。


「おっと、後2個作れるくらいにはなったよ」

「2個か……。リーゼロッテの追加分もあるんだが」


 ああ、材料があるから頼んでおいた分ですね。私としては急がないので、物だけ受け取っておきましょう。それにしても、だからなぜまとめて渡さないのかと。


「そっちはいつでも出来るから、まとめてちょうだい」


 二度、刻印、魔石融合、識別を繰り返し、今度こそ終了です。鞄を渡し、お昼の準備を――。


「これ、時雨から頼まれた代金だ」

「これくらいいいのに。……時雨達と行ったダンジョンの戦利品だし」

「時雨の気がすまないんだよ。何ならウェストポーチの追加でもいいぞ」


 ウェストポーチですか。残りは1個しかないので欲しいです。ですが……。


「うーん」

「リーゼロッテが自由に動けないと、俺達が面白い情報を手に入れられないだろ。受け取っとけ」


 そういったハヅチから申請されたトレード画面にはウェストポーチが10個入っています。300,000Gと考えると高い気もします。

「1回50,000Gだ。技術を買い叩く気はないが、相場がないから何とも言えん。貰いすぎだと思うんなら、行動で返せ」


 相場がわからなくて困っているのは私も同じです。ですが、そこまで言うなら貰っておきましょう。これで金策にもなりますから。


「はーい。お昼の時にでも魔術ギルドで手に入れた掲示板にも無いらしいスキル教えてあげる」


 ハヅチは今すぐ聞きたそうにしていますが、流石にお腹が空きました。聞こうか迷っているハヅチを残してログアウトです。





 いつもと比べ少し遅くログアウトし、お昼ご飯の準備です。材料を用意してあったので、焼きそばです。


「それで、魔術ギルドで覚えたスキルって何だ?」


 私は公式サイトにログインしたスマホにキャラデータを表示させます。こうしてみると、スキルも随分増えました。スキル別に表示出来るようなので、魔法系を表示させ、すっきりさせました。


「はいどうぞ」


 私の魔法系スキルを指折り数えて確認しています。


「治癒は光で、探索は2個、付与は4個、無魔法と魔術か……」


 おや、掲示板に出ていたと聞きましたが、条件まで特定されているとは……、流石ですね。


「条件は知らないよ」

「予想は付く。魔法系スキルで茜しか持ってないスキル、魔力操作だろ。無魔法はイメージ的にも合うし。魔術は……補助系のスキル数かな」


 大体の条件がわかっていればそこから推測出来るということでしょう。ちなみに補助スキルに該当するのは【魔力操作】【詠唱短縮】【魔法陣】です。他の人は【魔力操作】と【魔法陣】をLV30MAXにしていないので、詠唱系だけで魔術を取るのは大変でしょう。

 葵はスキルの効果を確認せず、スマホを返してきました。別に確認くらいしてもいいのですが。


「無魔法は使ってないけど、最初の魔法はマジックボルト、名前の通り、ボルト系みたいなもんだと思うよ。魔術は探索魔法と同じでレベルがなくて、カンストした魔法スキルの数に応じて、魔法スキルの性能が上がるみたい」


 該当するのはアーツのある魔法スキルだけなので、7個です。上昇率は低いようなので、あまり期待出来るものでもありませんね。





 お昼ご飯も終わり、午後のログインの時間です。ログアウト中もMPは回復するので、全回復しています。そこで、オババの店へ向かい、鞄への刻印から始めましょう。


「オババオババー」

「何じゃ小娘、ちっこい嬢ちゃんの方が礼儀がなっとるのう」


 どうやらリコリスは作業中のようです。声をかけるか迷っていると、会話が聞こえたのか奥の扉が開きました。


「リーゼロッテさん、こんにちは」

「おー、こんにちは。精が出るね」

「自由に使えて教えてくれる人もいるいい環境ですから」

「そういえば、この前のログアウト前に声かけたけど邪魔じゃなかった?」

「いえ、そんなことはありません。奥を使っていても、他の扉が開くとわかるようになっているので」


 そんな機能、知りませんでした。まぁ、ここをよく使うのが私しかいなかったからでしょうが。ただ、声をかけられるのがわかるなら、邪魔をすることはなさそうです。私も奥の部屋に入ると、まずは刻印作業です。午前中に渡された鞄に刻印し、魔石(大)を魔石融合します。とりあえず作りましたが、これはどうしましょう。流石にこれ以上リコリスに渡すのは貸しが増えすぎるため、本人が受け取りそうにありません。シェリスさんは商人なので対価を設定しなければいけません。とりあえず死蔵しましょう。

 次に、ハヅチから対価として受け取ったウェストポーチです。リコリスが奥を使えるようになってからは部屋から出なくてもオババから買い物が出来るようになりました。そこで魔石(小)を10個買い、刻印と魔石融合をしました。すると、この段階で錬金が29になりました。せっかくなので、上げきってしまいましょう。


「【魔石排出】」


 ダメですね。


「【魔石融合】」


 まだですか。

 …………

 ……

 何度か繰り返していると、ようやく通知が来ました。


 ピコン!

 ――――System Message・所持スキルがLVMAXになりました――――

 【錬金】がLV30MAXになったため、上位スキルが開放されました。

 【錬金術】 SP3

 このスキルが取得出来ます。

 ――――――――――――――――――――――――――――――


 これで、錬金術を手に入れました。流石に生産系は複合スキルがないようです。まぁ、複合するほどのスキルを持っていませんが。錬金術を取得すると錬金術セットが使えるようになります。これはオババから10,000Gで買う必要があるのですが、錬金の時に作れる消耗品の効果を少し底上げしてくれるようです。つまり、簡単なポーション系は調合で工夫しなくてもある程度の物が作れるということです。何をするかは決めていませんが、スキルも取ったことですし、購入しておきましょう。

 次は調合です。胃石(小)が79個あるとはいえ、ノーマルポーションは作れるようになるレベルがイエローポーションと比べると低いので、足りるか不安です。そもそも、イエローポーションがあるのにノーマルポーションは作りたくありません。ここは大人しくMPポーションを作るべきでしょうか。

 ただ、同じ素材を使う場合、素材が多い方が経験値がいいらしいので、MPポーションよりもノーマルポーションの方が経験値的にはいいようです。

 考えていてもしかたないので、薬草を追加してイエローポーションを17本作ってしまいましょう。次は、ノーマルポーションです。胃石(小)は79個あるので、しかたありません、全部使ってしまいましょう。もちろん、薬草は追加ですが、気にしないことにしています。

 結果は【調合LV23】でした。数は多くとも、やはり作れるようになるレベルが低い物だと経験値の入りが悪いようです。流石にLV25まで初心者用ポーションで頑張る気はないのでここまでです。

 現在、大量のポーションとインベントリを刻印したウェストポーチがあるので、夜には露店をしてみようと思っています。そのための準備として商人ギルドへ向かうのですが、まだここでやることがあります。私は持ち物装備である【蜃気楼の腕輪】に触れ、ウィンドウを表示しました。そこには腕輪の効果で表示するアバターを決めるためのメニューがあります。初期設定では通常のアバターのままなので、ここから変化させます。ちなみに、アバターの上に着包みを着ている状態らしく、体型変化に制限はありません。街中だけですが。

 流石に無駄なことをする気はないので、年齢を老婆に設定します。具体的な年齢の他にこういった表現でも設定出来るのは便利です。一応は成長シミュレートを元にしているようですが、どこかの団体からクレームが入ったらしく、シミュレートの結果をそのまま表示することはないそうです。


「えーと、シワ多め、鉤鼻長め、老け具合増々」


 最近のAIはこういった面でも優秀になっているので、本当に人がダメになってしまいます。装備も私が着ている物を表示することも出来ますが、流石に老婆の装備ではありません。よって、怪しい魔女風と記入します。

 ふむ、いい具合です。如何にも怪しげな老婆です。動きに関しては私次第なので、頑張りましょう。

 さて、設定も終わったので商人ギルドへ向かいます。

 商人ギルドの受付でランク登録をしました。これは冒険者ギルドと同じようで、Fランクから始まります。露店はメニュー操作で開くことが出来、インベントリとシステム的に保護されている鞄系アイテムの中の物を並べることが出来るようです。

 さて、準備も出来ましたし、今日は早めにログアウトしましょう。





 ログアウトした後は晩御飯の買い物です。今日は何にしましょうか。スーパーを見て回っていると、出来たてのかき揚げが目に止まりました。揚げ物は出来ますが、両親がいない日は禁止されているので、連休に入ってからは食べていません。そういえば乾麺のうどんが残っているので、かき揚げうどんにでもしましょうか。

 ただ、かき揚げは出来たてでも食べる頃には作り置きになってしまうのが残念です。まぁ、温め直せばいいので、気にするのは止めましょう。

 晩御飯になり、葵に連絡をしてから最後の仕上げをします。

 うどんの準備が出来る頃、葵がログアウトしてきました。相変わらずいい頃合いで出てきます。


「かき揚げ?」

「そ。美味しそうだったから」

「あー、買ったのか」


 そんなわけで晩御飯です。久々の油ものはいいですね。連休中に唐揚げも作りたかったのですが、禁止されてはしかたありません。両親が帰って来てからに期待しましょう。


「葵、夜は露店やってみるから、覚悟しといてね」

「……代金代わりにウェストポーチを用意してる時点で覚悟してるよ。後、代理販売の数抑えるから」

「何で?」

「茜が俺から定価で買って、刻印して売る。だから、俺は無理に売る必要はないわけ」

「あー、なるほど。それに、葵のを買った後に刻印付きのを見て絡まれるのを避けるって理由もある?」


 世の中には面倒な人が多いですから、対策とまではいかなくとも、何らかの手は打っておく必要があります。


「まーそこまで重要な理由にはなってないけどな」


 葵には話を通したので安心して露店が出来ます。蜃気楼の腕輪のおかげで怪しげな雰囲気を出せるので、楽しい露店になりそうです。





 いつものように準備を終え、夜のログインです。

 露店を開くプレイヤーの多い南側へと足を運びました。そこで、物陰に入ると、蜃気楼の腕輪を使い、怪しげな老婆へと姿を変えます。いつもの様に歩いては不審なので、老婆らしく歩いてみましょう。

 …………これは疲れますね。装備を初心者用杖に変えて杖をつきながら歩いていますが、どうにも難しいです。

 数少ない露店を見た中で、いつも空きがある場所は確認してあります。その辺りで手頃な木陰を探しましょう。しばらく歩くといい感じの場所が見つかりました。メニューから露店を選ぶと、2畳くらいのシートが表示され、一時的な専有エリアになりました。シートに腰を下ろし、商品の設定です。

 MPポーションを1,000G、ノーマルポーションも1,000G、イエローポーションは1,500G。それは全部定価と同じ価格です。性能は基本値なので購入制限を掛ける必要もありません。次にウェストポーチですが……、いざ出すとなると緊張します。10個ありますが、目立たない場所に1個だけ100,000Gで並べ、売れたら次が現れるようにしましょう。追加でこちらは制限をかけます。現実時間にして1週間のトレード不可だけあれば十分でしょう。あ、一人一個にもしましょう。今並べているのは1個だけですが、これに関しては販売時に同じグループに入れることで何度でも適用されるので、今後も同じウェストポーチを並べたとしても、一度買った人は買えなくなります。もちろん、違うアイテムは登録出来ないので、悪さは出来ません。さて、これで全部、おや? スクロールも商品として並べられるんでしたね。流石にこれの適正価格はわかりませんが、材料費で並べるわけにもいかないので、今回は保留にしましょう。

 最後に決定ボタンを押し、露店開始です。

 ………………

 …………

 ……

 暇です。時折人は来ますが、基本値のポーションを見てすぐに立ち去ってしまいます。また、ウェストポーチに目を向ける人はいますが、私物を置いているだけだと思っているようで、詳細を見ようとする人はいませんでした。

 暇なので後回しというか、放置していた魔術ギルドで入手した魔法スキルの試し撃ちをしましょう。無魔法のマジックボルトをここで使うのは目立つのでそれ以外です。

 まずは付与魔法です。付与魔法は、他の魔法と違い、LV1の時点で各種バフ・デバフを使えます。ただ、レベルを上げれば効果が上がるので、レベル上げは必要です。まずはアタックアップとアタックダウンです。STRだけではなく、いろいろな数値を加味した後の攻撃力を補正する魔法です。ここで大声を出しても目立つので、メニューから選択して魔法を発動します。効果中は上に向かって点滅する赤い光に包まれるようです。レベルが低いので効果時間が短く、すぐ切れてしまいました。次はアタックダウンです。これはアタックアップとは逆に下に向かって点滅しています。デバフをプレイヤーに使えるということは、PVPやPKなどに使えるということです。これは注意しておきましょう。その後も、防御を上げたり下げたり、魔法攻撃力や魔法防御力、速度も上げたり下げたりしました。

 次は治癒魔法です。LV1で使える魔法はハイヒールですか。一応上位魔法なので強力な魔法が使えるということでしょう。今は全回復しているので回復量はわかりませんが、ここまでですね。


「おばあさん、調子はどうですか?」


 おや、誰でしょう。


「そうさねぇ、陽が気持ちいいねぇ」


 あーシェリスさんです。蜃気楼の腕輪を使っている最中にはフレンド登録していても名前が見えなくなるように設定したんでした。


「凄い量のポーションですね。持ち運びが大変でしたでしょう」

「そんなことないぞい。前に見せたウェストポーチよりもよく入る鞄があるからのう」

「よく入る鞄ですか……。ん? 前に見せた?」


 設定を弄り、フレンド登録している人には名前が見えるようにしましょう。


「蜃気楼の腕輪を試してみたんですよ」

「リーゼロッテか。その姿で普通に話されると違和感が半端ないね」

「ふぉっふぉっふぉ、そうかのう」


 シェリスさんは会話をしながらも手早く露店を広げています。そこには杖や弓などの木工製品が並べられています。


「結構楽しんでる?」

「もちろんじゃ。それで、これを見てはもらえんかのう」


 そういって取り出したのは【ファイアボールのスクロール】100枚束です。他のは微妙な枚数なのでとりあえずはこれです。


「スクロール?」

「対応したスキルがなくとも魔法が使えるアイテムじゃ。もちろん、スキルがあった方が威力は出るがのう」

「魔法にもよるけど、需要はあるよ。ヒール系なら尚更かな」


 それはそうでしょう。スクロールであればポーションとは違い一瞬で回復します。それに、ディレイやクールタイムもありませんから。


「わしが使える魔法なら、いくらでも作れるでのう。何か欲しい魔法はあるかの?」

「私なら、ヒール系とファイアエンチャントかな。STR上昇系は力のいる生産が楽になるから。後は、リターンがあると帰りを気にしなくていいから楽だね」


 ほうほう、リターンですか。使えますが、材料費が跳ね上がりますね。まぁ、PTで使った場合、どうなるかわからないので事前に実験をしなければいけませんね。

 ですが、10枚くらいならいいでしょう。


「【刻印】」


 魔力紙にリターンを刻印しました。流石に1枚づつやる必要があるので時間がかかりましたが、とりあえず並べておきましょう。えっと、1枚1,000Gなので10,000Gでお試しです。


「……随分とお手軽で」

「ここまで来るのは大変じゃったがのう。ちなみに、実験しとらんから、PTは要注意じゃ」


 シェリスさんは私の並べた【リターンのスクロール】を眺めながら何かを考えています。時折、指折り計算しているので、これを使った場合の損益を考えているのでしょう。


「いらっしゃい」


 そんなことをしながらも時折来るプレイヤーの相手をしています。シェリスさんの露店で武器を買ったプレイヤーがそのまま私の露店を見て、ポーションの補充をしていきます。基本性能なのであまり多くを買う人はいませんが、シェリスさんのおかげですね。ただ、誰もウェストポーチには気が付きません。いえ、既にウェストポーチを持っているため、気にしていないようです。


「みんな前線に近いプレイヤーなんだけど、こういう何気なく置いてある物に気が付かないから、最前線に行けないんだろうね」

「……厳しいのう」

「フルダイブ型のVRMMOはカーソルを乗せればいいってもんじゃないからね。ほら、トッププレイヤーが来たから、見てるといいよ」


 シェリスさんの視線の先には空色の髪の女性がいます。装備から察するに、……いえ、察するまでもなく魔法使いです。あれが弓使いだったらもう何も信じられません。何処かで見たことある気がしますが、何処ででしょう。青いウェストポーチとの組み合わせが引っかかりますが、どうにも思い出せません。


「シェリス、武器の受け取りに来たわ」

「はいはい、修理出来てるから」

「ありがとう。……それで、何か面白い話、聞いてない? 例えば、魔法の付与とか」

「うーん、魔法の付与ねー。それが出来たら、いろいろと出来ることが増えるんだけど……」


 シェリスさんは言葉を発しながら私の方をチラチラと見ています。何でしょうか、私に何を言いたいのでしょうか。何とも歯切れの悪い言い方をしていますが、相手の女性は追求せず立ち去ろうとしています。ただ、これまでのプレイヤー同様、私の露店を覗いています。


「……そんなアイテム使って利益でるの? リーゼロッテさん」


 はっ! 何故気付かれたのでしょうか。いえ、私は名前を知らないはずなのに、名前を知られているとは。ですが、まだです。まだ、隠し通せます。


「リー何じゃ? ワシに何かようかのう」


 魔法使いの女性やシェリスさんが訝しむ目で私を見つめています。そんな目で見ても何も出ません。


「ユリアはこのお婆さんの知り合い?」

「この外見に見覚えはないけど、そのウェストポーチを大量に持っている人に心当たりはあるわ。これもその人から買った物だから」


 ……うーん、空色の髪の魔法使いの女性ですか。今のところ私しか供給源がないはずなので、持っている人は知っている人のはずですが。


「そういえば名乗ってなかったわね。ザインのPTメンバーのユリアよ」


 あー、ザインさんのPTメンバーでしたか。そういえば確かに面識がありました。私は蜃気楼の腕輪のメニューを呼び出し、発動を止めます。

 見た目が一瞬で変わったため、シェリスさんもユリアさんも驚いています。


「どうりで思い出せない訳です。改めまして、リーゼロッテです」

「あの指輪は消費アイテムでしょ」

「いえ、この腕輪は持ち物装備ですよ。なので、商品を作る以外の出費はありません」

「……そ、そうなの。……ところで、それ、本当に売り始めたのね。かなり盛況のようだけど」


 盛況? はて、一個も売れていませんが……。ああ、一個しか出していないから盛況だと判断したようですね。


「残念ですが、気付いたのはユリアさんが初めてです。流石はトッププレイヤーですね」

「案外見ないものなのね。まあいいわ、面倒事があったら頼って頂戴。力になるわ」


 私の目の前にフレンド登録を求めるウィンドウが現れました。新しいものを見つけたという実績があるので、仲良くしておいた方がお得だと考えたのでしょう。ですが、面倒事を持ち込んでくれと言われたのですから、遠慮なく頼りましょう。


「ありがとうございます。それじゃあ報酬の前払いということで情報を一つ。鞄に使える質のいい素材と魔石(大)があれば、もっと入る鞄、作れますよ」


 そう言って私は自らの鞄を叩きます。その仕草から、私の鞄がインベントリ(大)を刻印してあることに気が付いたはずです。ハヅチには悪いですが、ある程度の情報はこちらでも集めておきましょう。トッププレイヤーなら、いい情報を持っているはずです。


「それは、どの程度の素材かしら?」

「これは下級悪魔の皮膜なので、同程度なら、確実です。他の例はないのでわかりませんが」

「貴重な情報ありがとう。いろいろと探してみるわ」


 そう言ってユリアさんは去っていこうとしています。


「あれ? エスカンデの門を開けた方法はいいんですか?」


 私の言葉を聞き、ユリアさんは動きを止めました。そして、ゆっくりと振り返ります。ユリアさん、いえ、ザインさんのPTとしてはその方法が気になっているはずです。


「……教えてくれるの?」

「それ相応の対価は貰いますよ」


 私が伸ばした手を取るべきか悩んだユリアさんはおずおずと手を伸ばしました。これは、同意と見ていいでしょう。それでは遠慮なく。


「え……、あ、ちょっ、な、何……を、くっ」


 大人の女性が艶やかに悶えています。私はMPをゆっくりと伸ばし、丹田と呼ばれる場所まで伸ばします。それにしても今までと比べてMPの進行が遅く、時間がかかっています。もしかしたらお互いのスキルレベルの差が関係しているのかもしれません。そして――。


 ピコン!

 ――――System Message・スキルを伝授しました―――――――――

 【魔力操作】を伝授しました。

 SPを1入手しました。

 ―――――――――――――――――――――――――――――


 ああ、終わってしまいました。もう少し楽しんでいたかったのですが、終わった以上は手を離しましょう。


「魔力……操作」

「それがあの門を開けた方法です。報酬も貰いましたけど、スキルの説明には別途報酬が必要ですよ」

「待って、私は何も……」

「何を貰ったかは秘密です」

「……わかったわ。これ以上は何も聞かない。だって、情報をもらってばっかりじゃ、私のプライドが許さないもの」


 それだけ言うと、今度こそユリアさんは去っていきました。最後の台詞、かっこよかったです。ああいうのには憧れますが、自分がなろうとは思いません。どんなことにも向き不向きがありますから。


「リーゼロッテって案外顔が広いんだね」

「偶然ですよ。ユリアさんはいざという時の後ろ盾になってくれるようなので、サービスは大事ですし」


 ふふふ、向こうからすれば、僅かであっても借りがあると思うはずです。何せ、私が貰った対価はSP。けれど、それはユリアさんにはわからないことです。


「おっと、お客さんですね。私は老婆に戻ります」


 蜃気楼の腕輪の機能を使い、作ってあった姿へと変化しました。この格好で露店をすると決めたのですから、いつまでも元の姿を晒していては意味がありません。


「何というか、マイペースだね」

「そうかのう。じゃが、巻き込まれるよりは、巻き込んだ方がよいに決まっておるわい」


 その後も着実にポーションが減っていく中、スクロールに気付いたプレイヤーが、数人現れました。中には驚きながらも、空間魔法を使えるPTメンバーがいると呟きながら去っていく人もいたため、あまり数は減っていません。結局、ウェストポーチはなくならないまま、今日の露店は終了しそうです。


「あー、面倒なのが来た」

「どうしたんじゃ?」

「いやー、前線のプレイヤーなんだけど、私とは合わなくてね。ただ、向こうには気に入られちゃったから、どうにもこうにも」


 何とも歯切れの悪い言い方ですが、面倒くさい相手ということだけは伝わりました。ただ、面倒な絡みをしてこない限り、どうでもいいことです。


「おう、シェリス、どうだ、俺の作るクランに入る気にはなったか?」

「いや、攻略クランに入る気はないよ。やるなら生産者同士でやるからね」

「そんなこと言わずに入れよ。木製武器を使うメンバーもいるから、いい修練になるぞ」

「同じことを何度も言うのは好きじゃないんだよね。いいかげん怒るよ」

「ハハ、すまんすまん、今日はこのくらいにしとくぜ」


 この男は何も買わずにシェリスさんの露店から立ち去ろうとしています。まぁ、買うのは義務ではありませんが、断られている勧誘のために足を運ぶとは、随分と暇人ですね。

 最後に、申し訳程度に私の露店を眺めていますが、絡んでこないことを願う限りです。


「……ん?」


 あ、嫌な予感がします。


「おい婆さん、これは何だ!」

「おやおや、どうかしたんかね?」


 こういうのに限って目ざといわけですが、ここは三十六計誤魔化すに如かずです。今日はこういうロールプレイなので問題ありませんし。


「このウェストポーチだ。インベントリの刻印って何だ!」

「ああ、ああ、それはのう、ポーションを沢山入れるんじゃよ」


 嘘はついていません。何せインベントリにはポーションが81本も入るのですから。


「そういうことじゃねえ。どうやって手に入れたんだ!」

「入荷元は秘密じゃ。そういう約束じゃからのう」


 これで私は作り方を知らないと判断してくれればいいのですが、勢いに任せて押してくる相手です。どうなることやら。


「そうか、それじゃあ、その相手を教えろ。それに、在庫を全部売れ」

「一人一つという約束じゃ。それに、入荷元は秘密じゃ」

「おいババア、グダグダ言ってないで早くしろ。俺は忙しいんだ」


 ここまでして諦めないとは本当に面倒くさいです。何せ、ウェストポーチを掴んではいますが、まだ買っていないのですから。さて、どうしましょうか。


「そうですかい、そうですかい」


 あー、らちが明かないため、だんだんと苛立ちを露わにしてきました。いっそのこと、奥の手を使ってしまいましょうか。もちろん、ユリアさんではありません。

 準備のためにボタンを押すかのように手を上げ始めました。


「おばあさん、このウェストポーチ、色違いはあるのか?」


 絡まれている私を気遣ったのか、横から声がかけられました。周囲をよく見てみれば、遠巻きに眺めている人が多くいます。確かに、傍から見れば見世物ですね。


「はいはい、何色が欲しいんじゃ?」

「赤を頼む」

「並べるぞい」


 私は同じ操作でウェストポーチの赤を並べました。すると、すぐに一つ売れたというシステムログが流れました。


「凄いねこれ。仲間にも教えてあげなきゃな。サンキュー」


 てっきり面倒くさい男が邪魔するかと思ったのですが、何も言わず静かに佇んでいます。微かに震えているようですが、知り合いなのでしょうか。

 おや、半分くらい残っていた【リターンのスクロール】も無くなっています。補充は無理なのでこのままにしておきましょう。


「……いなくなったか。おいババア、さっさと全部よこせ」

「一人一つという約束じゃ」

「あーもう! いいから早くしろ」


 しっかしこの人は何でこんなにも語彙が乏しく、人の言葉を聞かないのでしょうか。


「オバアさん、ウェストポーチ、他の色もあるんなら見せて下さい」

「はいはい、ちょっと待ってておくれ」


 声の大きな人がずっと絡んできていますが、それを気にせず買いに来る人がいます。初めはシェリスさんに絡んでいたので、この辺りでは有名な人なのでしょう。それでは、勇気ある人のために全て並べてしまいましょう。1個減ったので、ウェストポーチの在庫は10個になりました。色とりどりなので、気に入った色があるといいのですが。


「ちょ……、10個もあったのか」


 騒がしい人を気にせず買いに来た人の呟きが聞こえたのか、周囲がざわめいています。今なら買える位置にいる人にとっては10個も、ですが、周囲で見ている人にとっては10個しかありません。しかも、ちゃんとした効果を知らない人達です。この人も露店を見る前に聞いてきたので、さっき買っていった人から連絡でも貰って来たのでしょう。あまり覚えていませんが感謝しておきます。


「それじゃ、これにするよ」

「毎度あり。大事にしとくれよ」

「凄いなーこれ、インベントリが倍になったぜ」


 それだけ言うと、いくつかのポーションを買って去っていきました。けれど、置き土産があります。インベントリが倍になる。その発言を聞き、このクソ仕様に不満を持っている人は動くしかありません。騒いでいる人を遠巻きに見ていた群衆がお互いを牽制しながらじわじわと近付いてきます。騒いでいる人は商品であるウェストポーチを持ったまま文句を言い続けていますが、気にしなければ聞こえません。

 そして、露店のメニューが使える距離までプレイヤーが近付くと、ウェストポーチが一つ売れました。それを皮切りに商品を買える位置にいるプレイヤーが一斉に露店のメニューを開いています。その光景に驚き、瞬きをしていると、商品が消えていました。買えなかった人が悔しかったのかポーションを買って気を紛らわしている様子は見えたので、勢いというのは恐ろしいと実感しています。


「な……、誰だ、俺のを買ったのは!」


 騒いだ男が手にしていたウェストポーチは購入処理をしていないため、まだ私のアイテムです。そして、それは露店に並んでいた物であるため、購入対象です。騒いでいた男は手にしていたはずの感触を確認し、まだ騒いでいます。ですが、一人の声は、大勢の声にかき消されるもの。


「な、なぁ、次はいつ入荷するんだ?」

「色の指定は出来るの?」

「これで少し楽になるぞ」

「予約したいんだが」

「よっしゃー、自慢だー」


 などなど、言いたいことをいい続けています。私は昔の偉人ではないので全員の言葉を聞き分けることは出来ません。さて、どうしましょう。


「さてさて、次の準備もあるから、そろそろ行くかのう」

「ちょっと待て」


 露店を畳んだ私の肩を正面から掴んできます。蜃気楼の腕輪の効果で、怪しい老婆の着包みを着ている状態なので、感触はありませんが、動くのには邪魔です。直接触られているわけではないので、何をされてもハラスメント警告はでなさそうです。


「何かのう」

「俺の分はどこだ」

「はて、何のことじゃ?」

「俺が買おうとしていた分だ」

「早いもん勝ちじゃ。騒がせてすまんのう」


 隣で露店をしていたシェリスさんに謝辞を述べ、私を掴んでいる手を無視して動き始めました。何人かはついてくるようなので、振り切りましょう。見える所で腕輪の効果を解除すると面倒ですから。


「……【リターン】」


 魔法陣を使った魔法の発動速度に勝てる人はいません。そのため、街の中央にあるポータルに戻り、人混みに乗じて腕輪の効果を解除しました。後は、演出のために手にしていた杖を悪魔の杖に変更して終了です。

 結構長時間露店をしていましたが、普段のログアウト時間を考えるとまだ余裕があります。まずは、収入の確認ですね。

 ノーマルポーションとMPポーションが1個1,000Gで83個と46個、イエローポーションが1個1,500Gで102個、スクロールが1個10,000Gで10個、ウェストポーチが1個100,000Gで11個なので、1,482,000Gですか。なんというか、ウェストポーチのお陰で凄い収入になりました。手持ちと合わせると、3,270,630Gとなりました。所持金の確認を終えると、ポータル付近が一斉に光り、多くのプレイヤーが現れました。そのプレイヤー達はすぐに周囲を見渡し、何かを探しています。恐らく、露店で買えなかったプレイヤー達のはずなので、近づかずにいましょう。

 確認も終わったので、次は西の荒れ地へと向かいます。理由は簡単。所持している魔法で唯一使ったことのないマジックボルトを使いにいきます。当然、グリーンサボテンテンにリベンジはしません。何せ、銅の肘当ての耐久が10%を切っているので、いつ壊れてもおかしくありません。まぁ、壊してといわれているので、気にしなくてもいいのですが。

 西の荒れ地でイエローサンショギョに対し、マジックボルトをぶつけました。無属性ということもあり、純粋な魔法攻撃力と魔法防御力との勝負です。動きが遅いので、簡単に当てられ、何発か連打して終了です。黄色い鱗を1個獲得しました。

 それでは今日はここまでにします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る