第4話 友の名残り
結宇に言わせれば、夏は嫌いな季節である。
ご遺体の保管のために、他の季節よりもドライアイスが必要になるとか。ご遺族がイライラしている場合が多い気がするとか。
昨年からは、突然蘇ったと言う自称ノルウェー国王のために、死者のイメージが変わってしまったからだとか……原因は諸々だが、何より、夏は変化の季節だった。
三年前の夏の日、結宇は学校に通うことを止めた。当時中学二年生、夏休みの最中、暑い日のことだった。
日差しを避けて畳の上に転がり、額の汗を拭い、『彼女』に二週間も会っていない、そして、それに全く心を動かされていないと気付く。何の前触れもなく実感したその事実を、結宇は驚きも衝撃も無く受け入れた。
どこかで風鈴が鳴っている。
「こんなものか」と思う。
毎日のように顔を合わせていた友を失った。それは、想像していたよりもあっさりと結宇の胸に受け入れられた。
始まりは、中学への進学まで
揃いの襟章を光らせた春の日、クラス分けが貼りだされた掲示板の前で、別のクラスになったことを嘆きながら、いくつもの約束を交わした。
休み時間になったら遊びに行くよ。お昼は一緒に食べよう。一緒に帰ろうね。
まるで、友情を確かめ合うように。
「すーちゃん、こっちでお弁当食べようよ」
そして、それらの約束は確かに実行されていた。
隣の教室。壁一枚向こうの別世界に足を踏み入れられたのは、彼女のお陰だった。浮き足立った見知らぬ生徒の波、その向こうに目的地を見つけている結宇は、迷うことなく進んで行けたのだ。
「隣のクラスのすーちゃん。幼馴染なの」
彼女は、結宇のことを『すーちゃん』と呼んだ。
その由来を面白がって知りたがる同級生に、友人は笑って応じる。『周詞』って珍しい名字だね。振られた話題に結宇は黙って笑顔を作った。
最も無難な反応をしたつもりだった。だから、「もっと面白い反応を期待したのに」という表情を見て、結宇は困惑した。
何か言わなければ。同級生たちをがっかりさせてしまった。折角、あの子が昼食に誘ってくれたのに。どうしよう、どうしよう。彼女にまでがっかりされてしまったら。いや、そんなことはない。あの子は初対面の同級生たちとは違う。こんなことで、私に幻滅したりしない。……そうでしょう?
……視線を上げると、目が合った。
「周詞さん?」
「!」
覗きこむ双眸は、葬儀会社の職員のものだ。ハッと白昼夢から目覚める。
「す、すみません」
ぼんやりしてしまって。
「椅子を並べ終わったら、焼香台の準備もお願いね」
「分かりました」
通夜の席の準備も慣れたものだ。部屋の中央を避け、左右に椅子を並べていく。整然と並んでいく椅子は、白昼夢の続きを、学校の景色を思い出させた。
緊張した面持ちの生徒と体育館。入学式の記憶。
整列する机と椅子の教室。高揚と不安。
知っている顔と、知らない顔。
あの子は、どんな顔で、あの日の結宇を見つめていただろう。
もう、思い出せない。
結宇らの通う中学は、周囲四つの小学校からの進学者で構成されていた。しかし、生徒数はそのまま四か所分の和にはならない。半分近くの生徒が、中学進学を機に地方へ疎開するからだ。
かつては首都に一局集中していた政治経済の機能は、裏を返せば、首都が攻撃を受ければ、日本全体の機能が一度に損なわれる危険性を孕んでいた。
万が一、迎撃が失敗し、首都への攻撃を許してしまった時に備え、日本の首都機能は三つの地方都市に分けられた。そのため、進学や就職を期に、疎開という体で新首都へ移住する者が増えたのだ。
そういうわけで、進学と当時に顔馴染みは減り、見知らぬ顔の割り合いが増えた。結宇の運が悪いところは、ただでさえ少ない同小卒のクラスメート全員が、交友を深めていなかった相手だったという点だ。
男子生徒二人、女子生徒二人。結宇を見て「あ」と気付いた表情こそすれ、それ以上の発展はなかった。
でも、隣のクラスに行けば彼女がいる。壁一枚隔てているけれど、会えないわけではない。そう、時間さえくればいい……寂しい気持ちに言い聞かせながら、授業を一つ一つとこなし、時を待つ。
「すーちゃん、一緒に帰ろ」
授業が終われば、彼女はいつも結宇を迎えに来きた。学校から自宅まで、小学校時代よりも少し距離のある通学路を並んで歩く。気兼ねするものなど何もない時間は、思い出を語るのも、二人だけの内緒話に声を潜めるのも自由だ。
「ねえ、あの、数学のさぁ……」
その内容に変化が生じたのは、装いが薄くなる季節だった。気楽な軽口ではなく、授業の内容についての会話が増えたのだ。
ついに来たか、と結宇は思う。決して侮るわけではないが、幼馴染のこの少女、数字に関するものがこと不得手なのだ。
数学がまだ算数だった頃、一番苦労したのは分数だった。結宇にいわせれば、計算など公式と手法を覚えてしまえば、後は当てはめていくだけのものなのだが、彼女はどうしてそうなるのか考え出すと、計算どころではなくなってしまうらしい。
分数の割り算において、何故分母と分子を入れ替えなければならないのか。その謎は幼馴染を随分苦しめたものだ。
だから、数学において『負』の概念を学び始めた頃、また世話を焼かなければならないだろうという予感は既にしていた。
「マイナスの数字って、どうして掛けるとプラスになるの?」
ほら、当たりだ。
彼女が納得するまでじっくり教えてやるのが、結宇の役割である。これだけは、他の誰にもできない役目だと思っていた……いや、今も思っている。
「すーちゃんは教え方が上手だね。先生よりずっと分かりやすい」
感謝の言葉は照れくさいが、そうか、自分にもそんな特技があったのかと得意に感じた。
今となっては、教え方が上手なのではなく、単に相手が納得するまで粘り強く付き合っただけなのではないかと思う。結宇が手を変え品を変え、何通りもの方法で説明するのを、咀嚼し、自分の中に落とし込むのは、結局、彼女自身にしかできないことなのだ。
しかし、小さな自負には、結宇を励ます力があった。
片親に育てられ、いつしかその母までも家に帰らなくなり、遂に祖母の元で生活するようになった自分には、何も良い所など無いのだと信じていた。
長所がない子供だから、父も母もいなくなってしまったのだ……結宇は度々考えては落ち込んでいた。けれど、「そんなことはないよ」と否定してもらえた気がした。
実のところ、どうして両親がいなくなってしまったのか、結宇には分からない。
父親の姿は記憶の中に無く、母親は小学校に入る前から家を空けることが増え、そしてとうとう帰らなくなった……つまりは、そういうことだろう。
何故母はいなくなったのか。一度だけ育ての親である祖母にそのことを尋ねたが、非常に嫌な顔をされたので、結宇は母について知ろうとすることをやめた。
母は結宇を捨てたのだと、今はそう思う。それも、祖母が話したがらないような理由で。
確かなのは、父親とは死別したということだ。彼の位牌は、結宇が物心ついた頃には既に祖父のそれと一緒に仏壇に並んでいた。
線香の匂いと、祖母の唱える念仏。死者への手向けの中に、結宇は父の像を見た。
そして今、生前の祖母の姿を、読経と焼香の中に思い描く。
結宇が準備した式場で、通夜は厳かに進行していた。もっとも、扉の向こうに思いを馳せている余裕は無い。弔問客への通夜振る舞いの準備に、仕事を終えた僧侶の送迎にと、仕事は多いのだ。
忙しく過ごすのは、余計なことを考えさせない効果がある。
友人の勉強を助けるためにするべきことは何か。伝わりやすい説明か、図にして示す場合にはどうするか、一度に話し過ぎると混乱させてしまうかもしれない……では、一度にどれくらい教えるのが適切なのか。
思考に余裕ができた時間を、結宇は友人のために考える時間にした。そうして過ごす時間は、友の役に立てていると思えて充実感を覚えるし、そうしていると、ささやかな不安はどこかに行ってしまう。
補い合う関係というものは、きっとお互いを満たし、必要とするものなのだと思っていた。二人の間で、そうと口にしたことは無いけれど、きっと彼女もそう感じているのだと信じていた。
「あ、すーちゃん、今のはね……」
会話の最中に、挟まれるようになった注釈。結宇が知らない、彼女とクラスメートの話をする度、友人は思い出したように結宇を振り返った。
結宇の知らないところで起こった出来事。結宇とは共有しなかった、けれど席を同じくする他の同級生は知っている話題。そういうものを、彼女は面白おかしくて堪らないと言う風に、身振り手振りを交えて教えてくれる。
彼女は、こんな風に話す人だっただろうか。
「で、続きがあるんだよね?」
「うん、そうそう。それでね……」
注釈が終わると、再開するお喋り。賑やかな昼食の時間、結宇は幼馴染の焦燥をその双眸を見た。ああ、どうにか取り持とうとしているのだ。結宇とクラスメートが一緒に楽しめるように。
注釈で会話を妨げられる同級生のため、わざと大げさにして笑いを誘って、それでいて、結宇が会話から取り残されないようにしてくれたのだ。
別にいいのに、とは思っても言えない。彼女なりの気遣いだと分かるから。でも、結宇がわざわざ隣の教室にやって来るのは、他でもない彼女に会うためなので、他のクラスメートと会話が弾まなくても、別に構わないのだ。
むしろ、クラスメートに気遣って、道化のように話す彼女を見るのは嫌な気分だった。
しかし、そうさせているのは自分ではないか。他のクラスメートと親しくなろうとしない限り、彼女にそれを続けさせてしまうのではないか。
変わらなければならない。自分のためだけではなく、友人のために。でも、どうやって?
考えた末、結宇は皆が好む話題を覚えようと考えた。
こんな世の中だが、少ないながら娯楽はあった。ファッションにはささやかながら流行があり、音楽やパフォーマンスにより賞賛を集めるタレントは常に新しい刺激を発信している。その中から、よくクラスメートが口にするものを、自らも学ぼうと思ったのだ。
そして、それが非常に難しいことに気付く。
今まで興味のなかった情報に触れても、どれがどう良いのか分からないのでは、話題について行こうとしても常に後手になってしまうのだ。
それに、兄姉がいる同級生には、どうしても置いて行かれてしまう。彼女らは姉なり兄なりから流行を学ぶ。結宇たちにとっては、一足先にある大人の流行を。それが持つ新鮮さは、ようやく子供を抜けつつある同級生らにとっては、一番魅力的なものだった。
頑張って、さも興味があるようにきゃあきゃあ騒いでみたり、いち早く流行を捕らえた同級生を羨ましがったりしてはみたが、結宇の演技など鋭い思春期の目には、あっさり見破られていたのだ。
それが証拠に、
「……私、周詞さんってどうかなって思う」
「分かるー。あれ、うちらにすり寄って来てるよね」
「だよね。うちらの会話に割り込んでくるのに、全然興味ないって感じでさ」
「うざいよね」
ある日、偶然耳にした同級生たちの本音は、結宇の努力など無意味だったことを示していた。結宇が聞いているとも知らない彼女らは、仲の良い者同士、同意見だと察するや会話を加速させていく。
やがて彼女らの話題が移り変わってしまうまで、結宇はただ身を潜めて聞いていた。
膝が震え、喉は干からびて熱い。どうしよう、何もかも無駄だった。
ああ、でも、そうだ。あの子のことだけは悪く言われていなかった。よかった。この上、あの子まで陰口を叩かれていては堪らない。
それに、毒づく彼女らはあの子の前ではこの話題を出さなかった。あの子が結宇へ寄せる友情を考えて、時と場所を選んでいた。さっきのは理性ある陰口だ。
どうやら、陰口を言う同級生らも、結宇たちの友情についてはある程度認めるものがあるらしい。そう思うと、気持ちはすっと軽くなる。
誰にどう言われようといいではないか。彼女らが結宇たちの友情へ干渉するつもりがないならば、二人の関係は今まで通り。何も変わりは無いのだ。
よかった。ほっと胸を撫で下ろす。
そして、その読みは当たった。
陰口こそ叩けど、同級生たちは露骨に結宇をグループから外そうとする動きも見せず、今まで通り顔に笑みを張り付けてくれた。結宇が黙ってさえいれば、友は級友の陰口など知らず、今まで通り過ごすことができる。何も変わらないのだ。
変わらないと思っていた。
「すーちゃん、夏休みの宿題なんだけれど」
「うん」
毎年恒例の夏休みの課題。中学に入っても一緒に……いや、中学生になったからこそ、彼女には手伝いが必要だろう。誘われるまでもなく手伝うつもりだった。
「これからは私、自分で頑張るからいいよ。手伝わなくても」
「え……」
「それに、ほら。すーちゃんち、おばあちゃんだけで大変でしょ? 私のことまで気を遣わせちゃ悪いし」
「……」
そんなこと、今まで言ったことなかったじゃないか。
ずっと、ずーっと。小学生の頃から、結宇が祖母と二人暮らしだったことを知っていて、それでも、二人の間にそれを持ち込んだことはなかったじゃないか。
なのに、どうして。どうして、目の前の友人は言い訳を求め、視線さまよわせ、続く言葉を探しているの。
「わ、わたしは……大丈夫だよ?」
言ってほしかった。「もしすーちゃんが大丈夫だったら」と。
そうだ、きっと誰かに何か言われたんだ。この子は優しいから、誰かに「周詞さんの家庭の事情を考えなさい」などと吹き込まれれば、素直に身を引こうとするだろう。
そんなことなど考えなくていいのに。
「ううん、すーちゃんは気を遣わなくていいから。ね?」
……なのにどうして、優しい言葉で突き放そうとするの。
「……」
尋ねることはできなかった。
眼球の後ろが重くなり、結宇の頭はどんどん下を向いていく。一歩先行く彼女は、そんなことには気付かない。最早、まだ高い日が落とす影だけが見える。
黒い、黒い輪郭。死者を悼む色。気付けばそこかしこに、終業式を終え、足取りも軽い影がいくつも見えた。
並んで、並んで。前へ、前へ。夏休みへ。
止まった足だけが取り残される。
「すーちゃん?」
振り返った彼女に、どんな顔を見せただろう。何を言っただろう。
もう、思い出せない。
結論だけ言えば、あの子は夏休みをクラスメートらと過ごすことを選んだ。
夏休み明け、もう見慣れた制服で現れた彼女らの雰囲気は、何も教えられなかった結宇にも分かるくらい親密になっていた。いつ、あの子がやって来るかとそわそわしていた結宇を尻目に。
もしかしたら、恨みがましい眼差しを彼女に向けてしまったこともあるかもしれない。けれど、あの子は結宇になにも言わなかった。弁明の一つも。
意気地のないことに、結宇もまた敢えて彼女に尋ねることはなかった。
これについては、後々少しばかり後悔したものだが、ともかく、当時は「私を遊びに行くのに誘ってくれなかったの?」だとか「他の子たちと一緒がダメなら、二人で遊びたい」だとか、自分の希望を伝えることがひどく悪いことに思えたのだ。
それらは薄氷に投げ込まれる石だと……未知なる陽光の下、溶けだした氷を破壊しかねないものだと、結宇は感じていた。
薄くなった氷は、石など投げ込まれなくてもいずれ自壊する。どこかで分かっていながら、砕けそうなそれをどうにか守ろうとしていた。
けれど結局、叩き壊してしまったのは、結宇自身だったのだろう。
中学二度目の夏休み、結宇は自分が彼女のことを考えなくなったことに気付いてしまったのだ。何もかも、虚しくなった。
唯一無二の友だと思っていた。先に心を離したのはあの子だったかもしれないが、ついに結宇の心も離れた。明日会うことを楽しみにする気持ちも、次に会った時に何を喋ろうかという夢想も、勉強で困ってはいないかという憂慮も、皆どこかに行って、もう戻っては来ない。
何もかもが空っぽになった気分は、軽くはなかった。
空虚な重さを湛えた体だけは、奇妙にするりと動き、結宇は祖母に宣言する。
「私、夏休み明けても学校にいかないから……」
何も言わずに結宇を見つめる祖母は、皺に隠れそうな目を僅かに見開き驚いたようで、しかし静かに「そう」と答えただけだった。
てっきり怒られるとばかり思っていた結宇は、安堵と共に拍子抜けした。誰に学校に行かせてもらっているのかと言われてしまえばぐうの音も出ないし、祖母を納得させられるだけの理由を伝えられる自信もなかったのだ。
いじめに遭ったわけでも、勉強が嫌なわけでもない。でも、義務だけで通い続けることは、出来そうにない。あまりにも感覚的で、合理的とは言い難いそれについて、祖母は尋ねることなく結宇の言を受け入れてくれたのだ。
思えば、祖母なりに感じるものがあったのかもしれない。
なにせ小学校の間べったりだった友人が、中学進学後からほとんど姿を見せなくなった上、結宇も友人の話題を口にしなくなっていた。その変化は察して余りあるものだっただろう。
さて、二人の関係は、結宇が登校拒否を始めたことで終わってしまったかと言うと、そうではなかった。
「すーちゃん、今日のプリント持って来たよ」
「あ、うん……」
彼女は親切にも、結宇に課題のプリントをせっせと運んできたのだ。
なんでも、何らかの理由で登校できなくなった生徒には、自宅学習で一定量の課題を修めさせることで中学卒業と見なす措置をとることになっているらしい。少しでも多くの者に、義務教育課程修了の肩書を与えるために始まったものだそうだ。
そして、一番近しい友人だと周囲に思われていた彼女は、課題のプリントを数日に一度届ける役目を仰せつかったというわけである。
前触れもない最初の来訪では、結宇は自体が飲み込めず、ただただ目を丸くしていた。勿論、祖母から彼女の来訪を告げられた時には、ひょっとしたら……という気持ちがあったのは間違いない。
もしかして、結宇を心配して来てくれたのではないか、と。
だから、この成り行きを聞いて少なからず落胆もした。彼女が会いたいと思って来てくれたわけではなかったからだ。
「あ、あとね、これ」
「え?」
数枚の紙と一緒に差し出されたのは、紙のパックに入った菓子だった。
「これ、すーちゃん好きなやつだったよね」
「……うん」
「えへへ、あげる」
照れくさそうに、押し付けるように手渡されたそれを、結宇は押し返すことはしなかった。
「じゃあね」
「……うん」
胸の奥の温度が、上がった気がした。
自分から彼女との距離を取りながら、近付いてくれると拒めない。やっぱり、嬉しい。すごく、嬉しい。
帰って行く背中をそっと窓越しに見送り、考える。
何も言わなかったけれど、あの子なりに結宇が登校しないことを寂しがってくれているのだろうか。そうだとしたら……その可能性を考えた瞬間の、あまりに自己中心的な願望を、結宇は今でも時折思い出しては溜息を吐く。
自分から離れたというのに、相手が近付いて来てくれれば嬉しいだなんて。まるで反応を試したみたいではないか。もし、自らの決意の根源に友人を試すような気持ちがあったとしたら、あまりに幼稚だ。
あの子が、「学校に来なくなったのは、私のせいなの?」と尋ねなくてよかった。「そんなことないよ」と言える自信がない。言って、彼女がどのように応じるのか知りたいような、後ろ暗い欲。その願望の存在を、結宇はなんとなく感じていた。
無くなってしまったと思っていた彼女への……いうなれば友情というものが、まだ、しこりになって残っている。
素直にその存在を受け入れられるだろうか。
そうしたら、また、今までのように彼女と向き合えるだろうか。
そんな期待を温めながら、結宇は自ら学校へと赴かないまま、課題が届けられる日を楽しみに過ごしていた。
たまに話が弾むこともあった。多くは共通の思い出に関することで、ごくたまに学校の行事に触れる程度だった。
彼女が敢えてその話題を避けていたように思えたし、同時に、登校を止めてしまった結宇に学校の話題を振っても意味が無いと判断しているようにも思えた。
どちらでもいいのだ。本当は。
結宇が本当に待っていたのは、あの子の来訪そのものではない。
たった一言だけ、「一緒にいたい」と、それだけ言ってくれたら。
その言葉さえあれば、背中を押してもらえる。あれこれ悩んで、胸につっかえて、あの子と距離を取らせたこの気持ちに折り合いを付けられるような気がした。
「周詞さん、いい加減にしてよね」
言葉を待って過ごす日々は、突然に終わる。
ある日、連れ立ってやって来たクラスメート達。あの子を庇うように横に並んで、結宇を咎める視線で見据えた。
「あたしたち、皆大学行きたいって思ってるんだよ?」
「周詞さんのとこに来る時間で、
彼女らは、中学三年生になっていた。そして、自分たちの見据える将来への邪魔をしていると、結宇に訴えるのだ。
『後中』……すなわち後期中等教育は、古くは高等教育と呼ばれていたものである。中学と高校の間に設けていた受験を廃止し、中学三年の課程を一定以上の成績で終えた生徒は、希望すれば後期中等教育へと進級する。
受験を廃止した代わりに、後期中等教育課程へ進んだ者は基本的に大学への進学を前提に学ぶこととなる。履修内容はより高度になり、適性分野を育てながら、進学する学部を決めていくのだ。
(あの子が? 大学に?)
玄関口で騒ぐ声を聞きながら、結宇の思考は思い出の中へと飛んでいく。
勉強が苦手で、だから「分からないことを教えてくれる結宇ちゃんはすごい」と言っていた……あの子が?
とても想像できない。結宇の知る彼女とは結びつかなくて、知らず間抜けな表情を作っていたらしい。
「ちょっと、真面目に聞いてるの!?」
甲高い声が現実に引き戻す。
聞いている。示すように頷いた。
迷惑を掛けているのだと、結宇のために時間を割く身分ではないのだと……その彼女たちの言い分は理解した。
確かめるように、眼球を動かす。
本当に、あの子もそう思っているのか。喚く同級生たちの言葉は、きちんとあの子の代弁になっているのか、知りたかった。
かみ合うようにぶつかる視線。
僅かに歪められた顔は、「ごめん」と言っているようだった。
何に? 何を謝っているのだろう。
クラスメートを結宇の家に連れてきてしまったこと?
結宇を咎めるクラスメートを止められないこと?
自分の気持ちを、自分では伝えられなかったこと?
……クラスメートの主張が、真実だということ?
眼差しは答えてくれない。
でも、結宇にはするべきことが分かっていた。この場を最も穏便に収めるには、どうすればよいのか。
「……ごめん。私のせいで迷惑かけて」
うつむけば、ほっとした空気が伝わってくる。
不登校児に振り回されていた同級生を助けることができたという安堵。それから、結宇が謝ったのだから自分たちは正しいことをしたのだという達成感。そんなものが、吐息に混ざっていた。
「じゃあ、明日から課題くらい自分で取りに来てよね」
別れの挨拶は、半ば命令である。
「……うん」
去って行く背中を見送りながら、聞こえはしないだろう大きさで声を押し出した。
もしかして、あの子は一人戻ってきたりしないだろうか。しばらく玄関で立ち尽くしていたが、再び誰かが現れることはなかった。
「結宇ちゃん?」
「あ、おばあちゃん……」
「お友達が来ていたの?」
祖母は、あの子が孫娘のために度々訪れていたことを知っている。
「……うん、そう」
来ては、いた。だから肯定は嘘じゃない。
しかし、聞かれただろうか。さっきの会話を。
胸が痛いくらい脈打つ。ただでさえ、不登校児という負い目があるのに、更にかつての同級生たちから疎まれていると知っては、優しい祖母がどんなに気に病むことだろう。
知らないでいてほしい。どうか、聞いていませんように。
まるでその祈りが聞き届けられたように、祖母はこの日の出来事を結宇に尋ねることはしなかった。
彼女の臨終の日、その数日前までは。
死は、日常の一部のようにやって来た。
何だか具合が悪いと訴えた祖母は、受診先の病院で入院を言い渡されたのだ。
日に日に目を覚ましている時間が少なくなっていく祖母に、結宇はほとんどつきっきりで過ごした。そうしたかったのだ。
それが、今までの償いにならないかと期待していた。
結宇本人でも不出来な孫娘だったと思うのに、祖母がどんなに気を揉んで過ごしたことか。生命を全うしようとするこの瞬間にすら、結宇のことがどんなに気掛かりかなことか。とてもいたたまれない。
こんなに別れが早いならば、もっと良い子でいればよかった。
学校に行って、不安も心配も何もない、一人の平凡な子供としての姿を見せていればよかった。当の祖母が、見舞いに来る結宇には何も、それこそ恨み言も不安も漏らさないので、余計に苦しくなる。
「……ごめんなさい、おばあちゃん」
ある日の夕方、胸に溜まった苦しさは限界を迎えた。
謝罪となって現れたそれは、次いで涙を溢れさせる。
「ごめんなさいっ、ごめん……私、おばあちゃんに、迷惑かけてばっかり……」
濡れる目に夕日がしみて、今までの行いを責めているようだった。
一度言葉にしてしまえば、自分の欠点ばかりが思い出される。自分という人間には、良い所など一つも無いか、あっても欠点の方が勝っているに違いない。こんな奴のために、祖母は人生の終わり、人生の意味を決定づけるだろう年月を消費してしまったのか。
情けない、情けない。この期に及んでさえ、結宇は学校に通って普通の中学生に戻ることを考えていなかった。
「結宇ちゃん……」
「……おばあちゃん」
鼻をすする結宇の頭に、骨と皮になった指が触れる。
「いいんだよ。……結宇ちゃんと生きてて、おばあちゃん、幸せだったよ」
「……っ」
もう、泣き声しか出てこなかった。
申し訳なさと、死の間際に赦しを与えてくれた感謝と。そして、結宇もまた祖母と暮らした時間を大切に思っているのだと、止まらない涙が示していた。
祖母は旅立ったのは、それから間もない晴れた日のことだった。
祖母の妹をはじめ、近場に住んでいた親族による慎ましい葬儀。火葬が済むのを待つ時間、結宇はこっそり部屋を抜け、外に出た。祖母の最期の最後、煙になって去って行く姿をきちんと見送ろうと思ったのだ。
「?」
しかし、建物の外には立つ煙は見当たらなかった。環境に配慮するため、煙は直接外には出さないことは後から知った。
(……おばあちゃん……)
骨に対面するのは、少しだけ勇気が必要だった。
白く、小さく、まだ熱を持つ遺骨。これが祖母の肉に包まれていたのだと聞いても、なんだか実感が無く、よそよそしい。
しかし、灰に横たわる姿には穏やかさを感じる。
まさに臨終の姿。生き抜いた者が残す、芯の部分だった。
それは、語らない。
祖母は、結宇の母親の秘密を内に隠し、持って行ってしまった。
(……おばあちゃんは、お母さんがどこにいるのか知っていたよね?)
一度だけ、母と通話している祖母の姿を見た。真夜中のことだった。
険しい口調は、明らかに電話向こうの相手を責めていて、最初こそ何事かと驚いたが、間もなく一体誰と話しているのか見当がついた。
聞いてはいけないものを、聞いてしまった。根拠のない罪悪感が、結宇を自室へと引き返させた。
その日以来、いつかは話があるのだろうと覚悟をしていたのだが、母との繋がりを秘めたまま、祖母は逝ってしまった。
結宇が葬儀の仕事を選んだのは、祖母の名残りを求めていたから……というわけではない。一通りの葬儀を終えた結宇に、親戚の誰かが言ったのだ。「結宇ちゃん、頑張ったね」と。
頑張ったね、お疲れ様。
一つの仕事をやり終えた人間に与えられる労いの言葉は、久しぶりに聞いた。そうして、どうやら葬式と言う大仕事を無事終えられたのだと気付く。
気付きは、結宇に新たな自信を与えた。
自分にも、やれることがまだあるようだ。もとより、自信をもって誰かにアピールできような特技などなかった。でも、自分にもできると分かったことならば、今後も続けていくことはできるのではないだろうか。
結宇が葬儀の仕事を選んだのは、そういう『自分にもできるようだから』という理由だった。もっとも、葬儀を依頼する側から依頼される側になった直後は、予想外の仕事の量に挫けかけたものだが。
それでも、全くの他人の葬儀というのは何だか不思議で、興味深く結宇の目に映った。
やれ国際問題だの防衛費だのと騒がれているが、だからといって国外からの攻撃で大勢の死者が出るということはない。少なくとも、結宇は経験したことがない。
防衛システムは基本的に無人であり、何世紀か前までは当たり前だった、有人の戦闘機や巡洋艦は存在しない。システムは今のところ順調に稼働していて、故に、日本人の死因の多くは平和な時代とほとんど変わっていない。葬式の内容もしかりである。
例えば、惜しまれながら、会食の頃には参列者が互いに思い出を語り、穏やかな表情で終わった式。
相続問題で、早くから雰囲気が悪い式。
あまり馴染みのない異教の文化に基づいた式。
最も悲しく、胸が締め付けられるのは、子供や嬰児の式。
人生の長きも短きも、等しく与えられた最後の一幕。
ある日、その舞台で見つける、見知った顔。
「あら? 周詞さん?」
「え?」
声を掛けて来たのは、向こうからだった。
「やっぱり周詞さんでしょ? 久しぶりね」
「あ、お、お久しぶり、です……」
本当に久しぶりだ。あの子の母親と会うのは。
どんな顔をすればいいのだろう。一瞬尻込みするが、懐かしそうな笑みを見ると、そっけなくするのも
「す、すみません。私、その……」
仕事中なので……そう一言添えて逃げようとしたところを、
「ああ、待って待って。ねえ、
「!」
あの子の名を聞くのは、一年ぶりになる。
振り向いた顔は、記憶の中よりも少しだけ大人びて、不機嫌そうに見えた。
「……」
何も言わずにぺこっと頭を下げたのは、楽しくお喋りをする場ではないからか、従業員と客の立場をわきまえたからか。
結宇もつられるように会釈を返し、今度こそ仕事に戻る。強烈な気まずさと、微かな懐古。彼女の着る制服がより一層懐かしさを刺激した。
(……?)
だが、なんだろう。何か違和感がある。
制服は学生の正装だ。葬儀の場で着用していても不自然ではないはずなのに。
気を紛らわせるように思考を走らせると、ようやくその正体に思い至る。
(後中の制服じゃない……)
あの子の制服は、中学を卒業しながら変わっていなかった。それは、後中に上がれず、浪人生活に入ったということを示していた。
猶予は、確か二年。その間は後中予科生として、正式な合格を目指すことになる。
「あの、ちょっといい?」
「!」
二度目の接触は、あちらからだった。
滞りなく執り行われたお式。故人の親戚として参列したあの子は、会食の席を抜けて、控えていた結宇のもとまでやって来た。
「えっと……」
先輩スタッフを窺うと、許可を示すジェスチャーが返される。
気遣いがありがたいような、ありがた迷惑のような、複雑な気持ちだ。一体、彼女はどういうつもりで結宇を呼び出すのだろう。緊張の走る頬に笑みは無く、ついて行っても楽しくお喋りするような雰囲気ではないと分かる。
それなのに、心のどこかで期待を捨てきれないでいた。もし、二人の間のわだかまりが解ければ、また……そんな淡い期待を。
「ねえ、どういうつもり?」
一度外に出て、建物の影まで結宇を連れ出した友香は、強張っていた表情を、いよいよ険しく変えた。
「何でこんなとこにいるの? 私を笑うつもりだったの? ……結局、後中に落ちる馬鹿だって……?」
「そんな、私は……」
尋ねる口振りは、内心で決めつけていることを表していた。
勿論、結宇にそんなつもりはない。割り切れない気持ちはあれど、だからと言って誰かの失敗を笑ったりするなんて、以ての外だ。
早く、早く伝えなければ。ここで働いていたのだって、ただの偶然だ。本当だ。信じてほしい。
それなのに何故、舌は固まったままなのだろう。
「私が落ちたのと、周詞さんとケンカしたのとは、何の関係もないでしょ? わざわざ言いに来たわけ? 私が勉強を見てあげていれば大丈夫だったのに……って」
「ケンカって……」
どうしてそんなことになっている?
喧嘩なんてしていないではないか。そういう、簡単な仲違いではなかったではないか。もっと、複雑で言葉にし難い、そういう関係の変化ではなかったのか。
言わないと、何か、反論を。明らかに、結宇と彼女とは、これまでのいきさつへの認識が違う。だめだ。このままでは、このままでは……。
いや、取り返しなんて、もうつかないではないか。
焦る心がすっと冷める。どうにもできないと分かってしまったものを、どうしようと言うのだ。不満をぶつける声は、今やただの耳鳴りだ。どうにかやり過ごそうと目を閉じ、うつむく。
あの子は、結宇を「周詞さん」と呼んだ。
『友香』と『結宇』。どちらも「ゆうちゃん」になってしまうから、「すーちゃん」って呼ぶね。幼い日の彼女は、そう言って結宇に「すーちゃん」と名付けた。
友香が考えた、友香だけの結宇の名前。もう、誰のものでもなくなってしまった名前。
「……もう、付きまとうのはやめて!」
大股で去って行く足音。
終わったのだ。
「……」
仕事に戻らなければ。会食が終わる頃だろう。仕出しの片付けをして、会場の掃除もしなければ。仕事中だ。
「うっ……」
しなければならないことがある。泣いてはだめだ。分かっているのに、次から次へと溢れてくる。
「う、うぇっ……」
涙は存外熱い。大粒のそれらが作る染みを、ただ見つめていた。
戻ってこない結宇を探しに来たスタッフに見つけられた後、結宇は常より早く仕事を帰された。もとい、結宇の異常を察した上司によって、帰宅を命じられたという方が正しい。
普段より早い時間。帰りたくないなぁ。
ふらりと足を向けた公園は小さくも緑豊かで、泣き虫を一人、木陰に隠してくれるくらいの余裕はありそうだ。
そういえば、緑地政策とかで都道府県内の緑地帯割合を調節する決まりがあった。やたら緑だけ豊かで、申し訳程度に遊具の設置されたここも、その一つなのだろう。
きぃ。錆びたブランコが鳴る。ほっとしたような、寂しさが増したような、不思議な気分だ。
「……うっ、くうっ」
この涙の正体は何だろう。今更、友香に振り向いてもらえるとは期待していなかったのに。でも、あんな風に拒絶されるとまでは考えていなかった。
「結宇?」
「え?」
不意に名を呼ばれ、顔を上げる。
「どうしたお前、何をしておる」
そこには、見慣れた柴犬がいた。何故と思ってよく見ると、首輪が無い。
「……何勝手に抜け出してんですか」
「お前こそ、一体どうしたのだ。こんな場所でそのような」
「……」
泣き顔を見られたくなくて咄嗟に拭うが、もう遅い。犬は四足の速度を僅かに上げて、結宇に近付いて来た。
「……ほっといてください。散歩なら、勝手にどっか行って、適当に帰って来てください」
「馬鹿な。臣下のために心を砕かない王などいるものか。何でも話してみるがいい」
「いいから! ほっておいてって言ってるでしょう!」
構わないでほしい。胸中を誰かに明かすつもりは毛頭無いのだから。
声を荒げて追い払おうとする。
「おい、結宇」
犬は動かない。四足を踏ん張って、そこにいた。
「っ……何で、こういう時ばっかり……こんなとこにいて……もうっ!」
情けない姿を見られるのは嫌だ。ただのペットならば気にしないかもしれないけれど、この犬はただの犬ではない。
「なっ、何なんですか! おかしいですか? 私のこういうところを見て、滑稽だと思ってるなら……!」
ああ、この言い方はさっき聞いた気がする。
あの子も、こんな口のきき方だった。
きっと、彼女もこんな気持ちだったのだろう。一番見られたくない姿を見られてしまって、自分を繕うために相手を言葉で責めたのだ。胸の中で何かがはまり込むのを感じた。
もう元の関係に戻ることはない今になって、心の内を理解してしまった。何とも皮肉なことである。
「……なあ、結宇。あまり我を見くびるな。弱わっている姿を見て、憐れみこそすれ、蔑(さげす)みはしない。まして弱みと見て利用するなど、もってのほかである」
言葉を途切れさせた結宇へ、犬……もとい、スエイニンが
「……言いたくないならば、もう聞かぬ」
「……」
「だが、適当なところで落ち着け。気持ちに妥協点を見つけたら、家に帰ろう」
なあ、良い案だろう。同意を求めるように体を擦りつける犬は、力なく垂れていた結宇の指をなめた。
「やめてください」
「む?」
「中身がおっさんだと知ってると、なめられてもあんまり嬉しくないんです」
どっちかと言うとキモいです。
「なっ! 我が気を遣ってやれば、お前!」
あはは。小さく出る笑い声。
そろそろ帰ろうかと、そんな気持ちが湧いてくる。
それでも、涙はまだ止まらなかった。さっきよりも細く、ぬるくなったそれ。
きっとこれは、追悼の涙だ。失われた二人の友情を悼み、受け入れるために流されたのだ。
さようなら、さようなら。
懐かしむことはあっても、もう、友の姿を求めることはないだろう。
鼻をすすりながら、結宇は顔を上げる。泣いて腫れてひどい顔だったが、目には力が戻っていた。
もう大丈夫、帰ろう。自分に言い聞かせて地に足をつけた。
ひとしきり泣いていた姿を、偶然通りかかった芙由が見てしまったことには、結宇は気付かなかったが、また別の話だ。
もう一つ、柴犬の首輪が外れ難いチェーンタイプに変わったのだが、それもまた閑話である。
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