第32話 かめ……?
みんなの準備が出来てアトラ姉ちゃんが岩を叩こうとしたら、ウール王女が大きな声で叫ぶ。
「トームル!
かー、めー!」
え……、かめ?
ウール王女が指さす地面には、亀はいない。
もしかして、カメムシ?
でも、その地面をよく見ても、草しか生えていなかった。
虫もいなくて、何をこんなにウール王女が興奮しているのか全く分からない。
ヒミン王女も困っている。
「ウールがなぜこんなに興奮しているのか分からないです。
指さした地面には何もないのに……。
アトラさん、岩を叩いて下さい」
「ああ、分かった。
じゃ、叩くよみんな」
アトラ姉ちゃんはそう言うと、大きなハンマーを振り回して思いっきり岩を叩いた。
ゴォーーーーーーーーン。
ハンマーで岩が振動して、低い音が響き渡る。
驚いた
俺の予想をはるかに超える数だ!
無数の穴から次から次へと出てくる。
待っていましたとばかりに、みんなが火炎魔法を使う。
俺は地面に降ろされていて、木につかまり立ちをしている。
ウール王女も降ろされていて、俺の方に近づいて来る。
さっきの興奮より、さらに興奮している。
「トームル! かー、めー!」
本当に、何かいるのか?
え……?
何かが目を覚ました感覚を感じる。
これは……?
それも……、地面の下から……?
ウール王女の指差した下から、何かが目を覚ましたのは間違いない。
もしかして、冬眠していた亀?
今は秋なので、冬眠はおかしい。
分からない。
オシャブリを吸う。
精神を統一して感覚を研ぎ澄ませる。
この感覚は……、かなり大きな亀?
地面の下に……?
マッ、ジィーーーーーーー!!
次の瞬間、地震が起きた。
かなり大きな揺れで、俺はウール王女と共に重力魔法を使って思わず上空に逃げていた。
「トームル!
かー、めー!」
ウール王女が再び興奮して地面を指さした。
地震が起きているのは丘だけだ。
しかも、丘の端から亀の手足が現れ始める。
巨大な亀がさらに体を動かすと、首が長く伸びてくる。
そして、後ろを振り向いて父ちゃん達を見た。
俺はとっさに父ちゃん達全員が入る防御魔法を発動した。
ドームの様なイメージで出したのだけれど……?
オ、オッパイ……?
またしても、オッパイの形をしていた。
巨大な亀は、父ちゃん達に猛火を吐いた。
猛火はオッパイに当たると、左右に流れていく。
フゥーーーーー。
危ないところだった。
大きな亀は首を前に向ける。
王女達の警護をしているラーズスヴィーズルのいる方に歩き出した。
ヤ、ヤバイ!
今度は彼らが危ない。
しかも、巨大だから進むスピードがムチャクチャ速い。
俺は彼らに防御魔法を発動した。
……?
またしても、オ、オッパイ……?
俺って、防御魔法はオッパイしか出ないのかな……?
その上を大きな亀が通り過ぎて行く。
も、もしかして……、彼らは潰された?
通り過ぎた後を見ると、防御魔法のオッパイが地面に大きくめり込んでいる。
その中に、彼らの動いている姿が確認できる。
よかったー。
もしかして、怪我をしているかもしれないけれど……。
あ、そうだ、父ちゃん達は!?
大きな亀の甲羅に乗っている父ちゃん達を確認できる。
しかし、揺れ動く甲羅の上で、彼らは立っているのが精一杯だ!
俺は一人一人重力魔法で亀から下ろしていった。
父ちゃんが大きな声で俺に言う。
「トルムル〜〜!
なんとかしてくれーー!!」
な、長い名前の亀……。
えーと、なんとかしてくれって言われても……?
デカすぎて、普通の攻撃ではダメだ。
ではどうすればいい……?
俺は
巨大なオッパイが上空に現れると……?
ヤッパリ、オッパイしか出ない……。
急降下して
ドッゴォ〜〜〜〜〜〜ン!
地響きとともに、土煙が上がっている。
倒したのか……?
土煙の中から無傷の
甲羅の上に乗っていた土などが落ちただけだ。
なんとういう防御力の高さ!
あれだと、火炎攻撃も効かない。
どうしたらいい、俺……?
このままでは、間違いなく町に大きな被害が出る。
あれだけの攻撃を受けても、平然と歩いてる。
俺は、ヤツを止めることさえもできないのか?
そうだ!
カミナリだ!
俺はオシャブリを吸って精神を統一する。
よし!
俺は
空に積乱雲が現れた。
ゴロゴロ、ピカァーーーーーー!
巨大なイナズマが、音と共に
やったか?
……?
動きが少し止まっただけで、再び歩き出した。
どうやら、
全く効いていない。
竜巻で、遠くに飛ばすのは?
倒せないまでも、町に被害が出ない。
俺は精神を統一して、巨大竜巻をイメージする。
イメージできたので
巨大な竜巻が、
ゴォーーーーーー!
竜巻が地面に着くと、周りの土砂も巻き上げている。
ここにいても吸い寄せられる。
重力魔法を強くして、竜巻に吸い込まれなようにする。
しばらくして巨大竜巻が消えると、
手足と首を引っ込めて、やり過ごしていたみたいだ。
あまりにも重いので、竜巻では飛ばせなかった。
もちろん、重力魔法も重すぎて無理だ。
俺にはもはや、
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