第5話 ジルリファの幸せ?


晴々とした朝。私は悩んでいた。

破滅フラグをどう回避すればよいのだろうか。

断罪イベントに対しては、いじめなければいいんだろうけど…。

ゲームの強制力が働いてしまったらどうする…?

というより、私としてはキャラの幸せを見守りたいの!

そして、自分の破滅フラグを折りたいの!

…駄目だ。何も思いつかない。

ここは、あの神に頼もう。

私は早速神に手紙を書いた。




「……で?僕を頼ったと?」


「はい。聡明なジルリファ様なら…と」


「そ、そう。……やっぱり、その呼び方いいね」


「ジルリファ様?」


ほんのり赤くなっているジルリファ。

ふっ、うぶだな。


「ジルリファ様~?」


「ちょっと?からかってる?」


私が何度もジルリファ様と呼ぶと、ジルリファは顔を赤くしながらやめてよ、と言った。

ショタが…!!可愛すぎるでしょ。

頑張ってヒロインとくっついてね!

私、ジルリファが一番好きだったんだから!


「……


「───なっ!?ジルリファ様!それは」


「なんだい?セレス?婚約者なんだから普通だろう?」


「愛称は特別じゃないですか」


恥ずかしさに耐えきれず、顔を覆うと、クスクスという笑い声がうなじにかかる。

からかいやがって!


「でもローガンは?」


確かに、ローガンにはセレス姉さんって呼ばれてるけど…。


「ローガンは弟じゃないですか…」


何を当たり前なこと言ってるんだ?


「ふぅん…?」


ジルリファはどこか楽しそうに笑う。


「それよりっ、対策ですわ!」


「うん。そうだね」


「どうすればいいのでしょうか?」


「セレスがさ、僕と結婚すればよくない?」


結婚すれば…?

アホか!こっちはヒロインとくっついてほしいんだけど!?

それが…、ジルリファの幸せ──


その事をなんとなく伝えると、ジルリファは眉を寄せた。


「あのさ、僕の幸せは僕が決めるから。ヒロイン…とかと結婚する気はないよ?

経済的メリットを考えてもセレスと結婚した方がいい」


「……でも、私はヒロインをいじめます」


破滅フラグが…とかいってる場合じゃない気がした。

これは、ジルリファに幸せになってもらわないと。


「そんなセレスも好きだよ?」


「うっ…。ジルリファ様は、ヒロインが…」


「セレス、もうこの話はやめよう。明後日は魔力検査の日だ。準備をしないと」


「はい。ごめんなさい…」


ゲームでは、ジルリファは水。ローガンは火で、セレスティーナは闇だったな。


「僕の可愛いセレス。また明後日ね。明日は少し用事がある」


「はい」


「好きだよ」


そんなこと、言われたら言うことは一つじゃん?




「私…は、ジルリファ様の幸せを願っております」


「徹底してるね」


「ふふ、それでは、また」


「またね」


明後日の魔力検査、頑張ろう。







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