第5話 3年前と第三次世界大戦勃発。

疲れた。昨日はそう言って寝た。今は何時だ?


そう。12時。


昼の、12時。


「・・・・・・やばい、この歳にもなって遅刻とかありえないだろ・・・・・・。」


これからどうなるのか予想をする。


入室すればすぐに室長に絡まれる。

悠馬になんか言われる。

喧嘩して怒られる。


これは何としてでも避けなくてはならない。


私は作戦を練る。




しかし、練っている間に研究室の前まで来ていた。


ここで急に頭の中で子供の時見た映画の「バトゥルシップ」のBGMとフレーズが流れて来る。


「死(指導)は避けられらない。あんただって死ぬ(怒られる)し、俺だって死ぬ(怒られる)。だが、今日じゃない。」


ここで今の時間を見る。12時30分。今はみんなお昼休憩中だ。大抵の人物は休憩所に居るだろう。


・・・ここで攻めるしかない。勢いよくパスを叩きつけ中に侵入する。


敵勢力はこのブロックには無し。このまま自分のデスクにスライディングー!とはいかず、すすすと席に着く。



だが、そこには室長がいた。



「柊君今日は寝坊?」



終わった。もうオチが分かってしまう。



「・・・・・・はい。」


「君が遅れるなんて珍しいよなぁ。どったの?」


「あなたのせいですよ!!」


「何が何が??」


「もー、うるさい!仕事できないから帰った帰った!!」


普通はありえないだろう。自分より上の人に帰れ!とか。


室長のキャラのせいなのか、この研究室は何故かそういうのを気にしないらしい。


だから俺も言うときは言うようにしている。


・・・するとその時、ガタッと誰かが立ち上がる。


「おい!柊!室長になんてこと言ってんだ!お前に礼儀という単語はねぇのか!!」


悠馬だった。何となく予想していたが、ここで突っ込んでくるとは思わなかった。


「室長がいいっつってんだからいーだろ別に!!」


これは本当の事なのですぐ口から出てくる。


「人を殺していいって言われたら殺すのかお前!」


・・・はぁ?お前子供かよ。と言いそうになった時、


「まあまあ、室長がいいって言ってるんだからいいんじゃない?」


と言う感じで遥が援護射撃をしてくれた。さすがに遥の言葉は心に響いた(?)ようで、


「じゃあいいよ」


と言ってきた。・・・何かいいんだよ。俺は何も良くないよ。


「柊も終わったんだからそんな嫌そうな顔しない!」


俺はすぐ顔に出るらしい。そんなつもりはないのだが。そういうもんなのかな。


「さーせんした。」


「早く席について仕事する!ほら!室長も!!」


「「「はーい」」」









・・・・あれから丁度3年後・・・・・・・・・・・・・・・・・・


今日は水曜日で、俺は今研究室にいる。


本来なら今頃8000t級攻撃無人イージス艦の進水式を見ていて、終わってから真弘と2人で「HUNTER KILLER」という潜水艦の映画を見る予定だった。


しかし、進水式が始まる15分前に緊急招集(ブラック)の通知が来て、妻と慌てて研究室まで車で来た。


妻は研究室には入れないので前の休憩所で待っていて貰っている。


全員が揃うまで俺が来てから3分前掛かった。そこから2分ほどして室長が自分の部屋からドタドタと出てきた。


「今回はかなりの問題だ。今から言うことは軍事機密の最上位、STAGE7だ。分かったな。・・・・・・そうだそうだ、今からの話を聞きたくないやつは居るか?そいつには退出を認める。」


誰も動かない。というか全員首を横に振っている。


「よし、説明するぞ。実は2時間前、偵察衛星で、大華人民帝国とソシア連邦の妙な動きを探知した。その情報を防衛省に上げた途端、


アルリカと一緒に20分前、ふたつの国から同時に宣戦布告を受けた。という通知が来た。


要するに、今から始まるのは160年振りの戦争、"第三次世界大戦”だ。」


第三次世界大戦という言葉を聞いた瞬間、全員が動揺する。


「これにより我々は1部を除いて移動となる」


移動!?なんだよそれ!


「今から渡すプリントに書いてあるから各自それに則って行動するように。以上。」


冷静に考えてみる。3年働いて来て室長がここまでテンションが低いのを見たことがない。


かなりやばいという事が見てわかる。


俺用のプリントが回ってきた。そこには




_____________________________________________



移動命令書


東歴2052年12月2日


防衛大臣 高橋 康敏



旭川柊艦艇関係研究官は明後日12月4日


より東歴2053年12月17日まで第二艦隊旗


艦 「しょうかく」 の特別装備研究官を兼任


する。明後日一〇三〇まで海上防衛軍若


泉基地、第16埠頭へ集合せよ。






以上

_____________________________________________





話が終わった後、聞きに行くと遼、悠馬、遥の3人は補佐官から研究官になったらしい。


嬉しいことだが、時が時なので喜べない。


「なんでこのタイミングで戦争なんか・・・・。」


と遼が小さい声で嘆いていた。確かにそうだ。


俺なんてこれから闘いに行く艦に乗るんだ。


死ぬかもしれない。


でも、それを覚悟してこの仕事に就いた。






そう思いながら研究室を出る。するとすぐに真弘が寄ってきた。


「戦争が始まるって本当なの?」


スマホを片手に聞いてくる。大日本が国民に向けて公表したのだろう。


「うん。・・・ごめん真弘。俺、空母に乗ることになったんだ。もしかしたら死ぬかもしれない。」


「本当に!?」


「これがその紙だ。」


そう言ってさっき貰ったプリント(本当は他人に見せてはいけない)を見せる。


「・・・ううーん。・・・・・・よく分からないけど、良かったんじゃない?いや、いい意味でだよ!」


「そうかもしれないけど・・・・・・。」


柊のネガティブな発言を聞いた真弘は、鳩尾にすごい勢いでパンチを入れる。


「ぐはぁっっ!!」


当然、殴られた柊は勢いよく床に倒れる。


「・・・・・・何落ち込んでるの!!その特別なんちゃらってのは貴方にしか任せられない仕事なんじゃないの!?


逃げたいなら逃げればいい!でもあなた以外に誰がその仕事出来るの!」


「確かにっっ!そうだったっっ!!・・・・・・けどっっ!・・・ぐふっ!」


運がいいのか悪いのか、バタバタと柊がもがき苦しんでいる所に、書類まとめが終わった大勢の研究官がやってきた。


丁度みぞパンチをしている所に居合わせた悠馬は、


「しゅっ、柊の奥さん、間違いなく強ぇ・・・。」


と言う。するとさっきまで静まり返っていたが、どっと笑い声が聞こえてきた。


「すっ、すいませんでしたっ!いっ、今すぐ避けますっ!」


と真弘が混乱し始め、柊の首を掴み後ろに下がる。


「待ってっ!!死ぬっ!死ぬぅ!!」








そんなことをしてから家に帰って、荷物をまとめて出発の準備をする。そしてのんびりする。寝る。映画を見に行く。美味しいものを食べる。寝る。





のんびりしているうちに出港日になった。





30分位前に着いて、第16埠頭に停泊しているしょうかくの周りを2人で歩いていると声をかけられた。


「旭川特別装備研究官でしょうか?」


「ええ。そうです。」


「自分は第二艦隊 旗艦しょうかくの飛行隊長、佐藤優熙(さとう ゆうき)三佐です。本日より旭川研究官のサポートをさせていただきます。」


「よろしくお願い致します。」




「最後に奥様と何か話したいことはありますか?」




「・・・話すこと話したからもうないもんね!」


「そうだね。」


そう言って佐藤三佐の方を見る。


「大丈夫です。いつでも行けます。」



「了解しました。では案内します。」



来年まで会えないと思うと涙が出そうになる。


「・・・じゃあまた来年!」


「来年!」


と言って手を振りながらしょうかくに乗り込む。やはり別れは悲しい。






「えー、まずは部屋を案内します。」


「はい。」


「ここを左に曲がって、次を右です。・・・次をまた右ですね。・・・、そこの右から13番目の部屋が旭川研究官の部屋です。先にカードキー渡しておきますね。」



「ありがとうございます!今、中に入ってもいいですか?」


「5分後にまた来ますので、それまではご自由にしてもらっても構いません。」


「ありがとうございます!!」


そう言って扉にカードキーをバシッと叩きつけて中に入る。中にはベッド、テレビ、冷蔵庫、エアコン、時計、IHなどがあった。そして何より、


「部屋が広い!!」


部屋は家電のスペースを除いたとしても6帖ほどの広さがある。てっきり2帖位かなと思っていて、寝返りうてるかなと心配していたが別に気にしなくていいようだ。




早速荷解き、ベットメイクをする。持ってきた荷物が少なく、またベッドも最新型なので3分程で終わってしまった。


「ふんふふふ〜ん♪どうしよっかな〜♪」


と鼻歌を混じえながら次何をするか考えていると、以外にも時間が経っており、佐藤三佐が迎えに来た。




「では、ざっと艦内を歩きますか。」


今の時間は一一〇七。出港は一三〇〇なのでまだ時間はある。





「ここが機関室です。」


「・・・・・・確かしょうかくはモーター駆動でしたよね?」


「はい。やっぱりガスタービンだとモーターに比べて重く煩く燃費が悪いので、こっちが積まれたみたいです。」


「へぇ〜、そうだったんですね。」


メモメモ。


「では機関室に入りますか。」


「はっ、はいっ!」





機関室の扉を開けるとシュッシュッ・・・、と中から何かが回っている音が聞こえてきた。


「・・・・・・この音ってモーターですか?」


「はい。現在は停止状態ですが、前進全速や後進全速の指示が出た時すぐ動けるようにモーターが回っているんです。」


「なるほど。」


メモメモ。




「次行行ってもよろしいですか?」


「はいっ、OKです。」




「じゃあ次は、・・・えーっと、・・・・・・旭川研究官は行きたい所ありますか?」


「・・・行きたい所ですか?うーん、じゃあ甲板でお願いします。」


「了解しました。」






佐藤三佐の歩くスピードは速い。時々置いていかれそうになる。


「ここの階段足踏み外しやすいので気をつけてくださいね。」


「はい。」


結構急な階段だ。しっかり一歩一歩登っていく。






「すいませんそこにカードキー当ててもらってもいいですか?」


佐藤三佐が、指を指しているほうをカードキーでタッチする。


「ここですか?・・・おっ!」


ウィーンという音と一緒に目の前の扉が開く。


「ようこそ!ここがこのしょうかくの中で1番広い、飛行甲板です!」


「おおーっ!!」


広い広い広い!!小学校のグラウンドが2枚位ありそうだ。


うっひゃー!


そしてカタパルト。電磁式のためそこまで大きく見えないが、数が多い。普通は多くて4つとかなのにしょうかくは6つ付いている。


「柊研究官!もうそろそろアルバート隊の訓練機が帰ってくるのでこっちに来てください!」


「はいっ!」


佐藤三佐の方へ走る。


すると、思ったよりすぐF/A-56Gがゆっくり降りてきた。そして、ダンッという衝撃と共に止まる。


56が止まって許可を得てから、もう一度奥の方へ行く。奥の方をよく見てみると、SHERAM、VLSなど、様々な物が付いていた。






「旭川研究官!次行きますよ!」


「はーい!」


佐藤三佐について行く。階段を降りてから佐藤三佐が


「次はCICに行きますか。」


と言ってきたので、


「おおっ!CIC楽しみにしてたんですよ!」


と言う。


「ほんとですか?多分色々な意味で驚きますよ。」


色々な意味?何かあるのかな?


「楽しみだなぁ〜」










┄┄解説及びあとがき┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

緊急招集(ブラック)


全員招集(非常時)。何かしらの被害を受けたor受ける可能性がある場合に発令される。


ブラック・・・上と同じ。

ホワイト・・・室長、副室長、研究官が呼ばれる(非常時)





軍事機密


STAGE7

指定されている情報が少しでも漏れたことを確認されたら、研究室員全員が国家反逆罪で逮捕。場合によっては死刑。


STAGE6

指定されている情報が少しでも漏れたら研究室員全員が監禁。漏らした犯人は国家反逆罪で逮捕。場合によっては死刑。


STAGE5

指定されている情報が少しでも漏れたら研究室員全員が事情聴取。漏らした犯人は禁錮60年となる。


STAGE4

指定されている情報が少しでも漏れたら研究室員全員が事情聴取。漏らした犯人は禁錮40年となる。


STAGE3

指定されている情報が少しでも漏れたら、漏らした犯人は退職処分。過失の場合は減給処分。


STAGE2

指定されている情報が漏れたら全員が減給処分。


STAGE1

指定されている情報が漏れたら、漏らした犯人は停職処分。



アルバート隊


25機で構成されている。アルバート隊の他にトレッド隊、アルキナード隊、アラバマ隊ヘッジライト隊、ロマンダ隊、タナビロマ隊の6隊ある。(多分アルバート隊とトレッド隊しか出ない。)



F/A-56G


3話みてね。









どうも。今月はこちらのみの更新に変更しました!さーせん!


なんか気づいたらPV88とかなっててびっくりしてます。


このまま増えていって欲しいですね(笑)。


今回も読んで頂きありがとうございました!!

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