人の記憶とは人の人格を構成する上で大切で、それでいて辛い悲しい記憶は人を蝕む。記憶がなくなった人形のようになった主人公に、主人公の記憶を移された天使人形レヴィは、人形師の主人公の辛い記憶を愛に変えて主人公を人間に戻す。病気のせいで記憶が失われていくことには変わりないけれど、レヴィのおかげで主人公はきっと穏やかに時を迎えることができるだろう。繊細な宵澤ひいな様らしい小説でした。
事故で記憶が消えていくコルサコフ症候群に陥ってしまった、人形作家の主人公のお話です。良い、お題の使い方です。