第14話
「シューベルト侯爵家のノアに、決闘を命じる」
「大公殿下!
それは、我がシューベルト侯爵家への侮辱でございます!
ノアの言う事より、身分卑しき徒士家の部屋住みの言う事を信じると、そう申されるのですか!」
「シューベルト侯爵。
では貴君は、我が直臣を、嘘つきの卑怯者だというのかな?!」
「いえ、そうは申しませんが、何か聞き間違いがあるのではないでしょうか。
じっくりと、我が家と彼らが話し合えば、聞き間違いも正されると思いますが」
「それは、我が直臣を買収すると言っているのか」
「いえ、決してそのような事は言っておりません。
ただ、血気盛んな若い者が、女性を巡って話をしていれば、熱くなって、色々と聞き間違えると思ったのです」
「その若い娘とは、余の娘である、レーナの事であろう!
レーナの事を、忌み子の破廉恥と申したというではないか!
尻軽を折檻してやると、鞭を見せつけたと言うではないか!
貴君は、息子にどのような教育をしているのだ!」
「殿下!
殿下の御子は、ユリア様御一人でございます。
そのような事を申されたら、帝国が黙っておりませんぞ!」
「また帝国の名を出して、余を脅そうと言うのか?!
もうその手は通じんぞ。
隠忍自重の日々は終わった。
貴君ら帝国の脅しには屈さぬ。
我が直属騎士団と直属徒士団の陣容は、帝国にも劣らん。
それに帝国が攻め寄せてきたら、城に籠って籠城するだけじゃ。
我らが城に籠れば、大魔境の魔獣は帝国領に流れ込む。
いや、その前に、貴君ら貴族領を蹂躙しよう。
貴君ら臆病者に、魔獣と戦う気概があるのかな?」
「殿下。
どうか御許し下さい。
臣はただ、帝国から大公家を護らんとしただけでございます。
好きで帝国の命に従った訳ではありません。
ただただ、大公家を護らんとしただけでございます」
「ならば今回の件を、どう始末する。
ノアを処刑するか?
それとも決闘を受けさせるか?
好きにいたせ」
「それは、それは、御寛恕を持ちまして、御許しいただけまいでしょうか?」
「レーナにかけた暴言の数々、どう詫びるというのだ?
貴君が帝国ではなく、大公国に忠誠を尽くすために、レーナを大公家から出させたというのなら、暴言に対する詫びを入れるべきであろう!
どう詫びるのだ!」
「ノアに頭を下げさせます。
殿下に詫びを入れさせます。
殿下に忠誠を誓わせます」
「愚か者!
詫びるのは、余ではなくレーナであろう。
レーナの前で、頭を地に付けて詫びろ!
それが嫌なら、決闘の仕来りに従って、闘技場で命の賭けて名誉を回復しろ。
それとレーナに詫びるのは、ノアだけではなく、貴君もだシューベルト侯爵」
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