第12話 人類史以前の文明はあった!…かもしれない

地球の年齢をご存知でしょうか?

136億~138億歳とも言われています。

これだけ科学技術が進んだ現在でも、数億年の時差が生まれるほど気の遠くなる年齢です。

それでも、宇宙全体から見たらまだ若いというのですから驚きますよね。


その地球に、海や陸が誕生したのは46億年になってからです。

恐竜が生まれたのは、約2億年前。

化石が発見されていないだけで、その前からいた可能性もあります。

そして、私達人類が生まれたのは約20万年前です。


地球の歴史を、1つの長い定規に例えるとして1センチ1万年としましょう。

恐竜の時代は、20メートル。

とても長い時代、地球に君臨していたことになります。

それに比べて人類の歴史はわずか20センチ。

とても短いですよね。

最古の文明と呼ばれる古代エジプトの文明でも、約7500年~約3500年前です。

3ミリから7ミリの間ということになります。

地球の長い歴史の中では、私達人類の歴史とはミクロの世界の出来事なのです。


最近発表された面白い論文を紹介したいと思います。

NASAゴダード宇宙研究所の所長ギャビン・シュミット氏と、ロチェスター大学のアダム・フランク教授の共同研究の論文です。

彼らの研究テーマがこちら。

「地球に似た星や地球外生命体は懸命に探すのに、私達人類以外の人類が文明を築いていた可能性をなぜ誰も調査しないのか?私達人類以外の人類は、いたのかいなかったのか。」

気付きそうで気付かない。

灯台もと暗しの発想です。

確かに、今まで誰も調査研究してこなかった分野です。

なぜ、誰も気付かなかったのでしょうか?

確かに、私たち以外の人類がはるか昔、例えば恐竜時代にいなかったという証拠はありません。

進化の過程。と言われていますが、あくまでも推測の範囲内です。

地球はその長い歴史の中で、何度か短期間に急激な気候変動を起こしています。

例えば、恐竜絶滅の原因となった隕石落下による気候変動。

地磁気の逆転現象であるポールシフトによる気候変動。

これらは、過去に何度も起きている普通の自然現象なのです。

今から5500年前に起きたとされるのは、突発的温暖化現象と呼ばれる謎の気候変動です。

この時の地球の平均気温は今よりも15度も高く、南極の平均気温は21度という極端な温暖化が起こったのです。

南極の氷は溶け、極端な海面上昇を引き起こしたことでしょう。

高い山の上に登らなければ、生活出来なかったと思います。

このような度重なる気候変動に、文明の痕跡も動植物の化石も脆く風化していったのではないでしょうか?

私達よりも長く繁栄した恐竜は、数万体~数百万体もいた筈です。

それでも、発見されるのはごくわずかな化石だけです。

全体の1%も発見されれば良い方です。

恐竜の全体化石の発見は、ニュースになるほど珍しい発見なのです。

なぜ発見されにくいのでしょう?

いくら恐竜がいたとしても化石化するには、一定の条件が必要になりますよね?

条件が満たされなければ、風化して自然に戻ってしまうからではないでしょうか。


では、私達人類の文明の耐久度はどのくらいだと思いますか?

例えば、コンクリートの耐久年数は50年と言われています。

しかし、30年で崩れ落ちた例もあります。

最近話題の老朽化した水道管は、30年。

木造建築物も、放置すれば10年たたずに崩れてしまいます。

場所によっては、そこまで持たずに老朽化するでしょう。

エジプトのピラミッドも、約3000年経っていますが表面の風化は激しい状態です。

つまり、どれほど素晴らしい文明があっても、情報や技術が失われたり、突発的温暖化の影響や、自然現象の数々によってあっという間に風化してしまうのです。


7000年~3500年前に文明が生まれたと説明しましたが、それ以前に作られた建築物があるのをご存知でしょうか?

およそ1万年前に作られた、古代メソポタミア文明の遺跡ギョベクリ・テペ遺跡です。

1万年前というと石器時代でしたが、その時代の人類は原始人のような人類ではなく、今に残る遺跡を作れるほどの、知恵と知識を持ち道具を使いこなしていたということになりませんか?

ギョベクリ・テペの遺跡は、今も様々な調査が行われています。

今後も新たな発見がありそうです。

同じ時代の遺跡で、テル・アブ・フレイラ遺跡も古代メソポタミア文明の遺跡です。

100人~200人の集団で、道具を使って農業を行っていた痕跡が発見されています。

また、それよりも古い時代の遺跡も発見されています。

南アフリカ、ムプマランガにあるアダムのストーンサークルと呼ばれる遺跡です。

こちらは、調査の結果75000年前の物と推定されています。

当時の天文観察のための遺跡です。

古代の技術力には驚かされます。

さらにインドでは、9500年前の古代都市の遺跡が発見されています。

今も残るそれらの遺跡の数々は、全て石を加工して作られています。

つまり、石を加工出来る文明が存在した証拠ではないでしょうか?

しかも、その文明は最も耐久年数の高い石を加工して今に残したのです。


例えば当時、私達と同じレベルの文明があったとしましょう。

再生可能なエネルギーを使い、取り替えやすく加工しやすい物質で道具を作り、

快適な生活を送るために、風通しの良い家に住んでいたことでしょう。

しかし、それらの耐久年数は、石に比べれば、はるかに劣っていたはずです。

風化し自然に呑み込まれ、跡形もなく消えてしまうのではないでしょうか?


なぜ私達以外の古代文明の痕跡がないのか?

私達以外に人類はいなかったのか?

これからの研究によって、失われた文明の謎が解ける日が来るのかもしれません。


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