第7話 シナリオ風 口裂け女

・マンガ動画風またはアニメーション動画シナリオ

・あらすじ

昭和の日本を震撼させ、警察すら出動する事態を巻き起こした口裂け女。彼女はどこからきてどこへと消えたのでしょう?もしかしたら、姿を変えて私達の後ろにいるのかもしれません。口裂け女の都市伝説を紹介します。


1・(家から出てくる昭和なおばあちゃん、物陰に立つ女性に気づく)

おばあちゃん

「?何か御用ですか?」

女性

「……。」

おばあちゃん

「もし?どこか具合でも悪いのですか?」

女性

「……。」

おばあちゃん

「具合でも悪かったら、救急車呼びましょうか?」


2・(ぐるりと振り返る女性。口は耳まで裂けている。)

おばあちゃん

「ひぃぃぃ!」

口裂け女

「ねぇ…私…きれい?」

おばあちゃん

「…ひゃぁぁぁぁ!」

口裂け女

「ねぇ、私キレイ?」


3.(おばあちゃんの悲鳴を聞いて駆けつける家族)

「どうした?!ばあちゃん?!」

おばあちゃん

「ひぃぃぃぃ…口…。」

男の妻

「どうしたの?おばあちゃん?何かあったの?」

おばあちゃん

「口…口が裂けてる…。」

「はぁ?何かと見間違えたんだろ?」

おばあちゃん

「違う!女の口が裂けてた!」


4・(翌日、噂を聞きつけて集まってくる隣人たち)

隣人1

「昨日、ここんちのばぁさんが…見たんだってよ。」

隣人2

「あぁー、口が裂けてるって女だろ?」

隣人1

「俺の友達も見たんだってよ。」

隣人3

「うちの子も見たって言ってるのよね?」

隣人2

「しかし、ホントにいるのかねぇ?そんな口裂け女なんて。」


5・(薄暗闇の中、帰宅途中の小学生の女の子と立ちふさがるマスク姿の女性)

口裂け女

「ねぇ。」

女の子

「えっ?」

口裂け女

「私…キレイ?」

女の子

「えっと、たぶんキレイ…です。」

口裂け女

「これでも?」


6・(マスクを外し耳まで裂けた口を見せる口裂け女と悲鳴を上げる小学生の女の子)

女の子

「きゃぁぁぁ!!」

口裂け女

「これでも?」

女の子

「いやぁぁぁぁ!きれい!きれいです!」

口裂け女

「ふふふふふwww」


7・(家に駆け戻ってガタガタ震える女の子)

お母さん

「どうしたの?何かあったの?」

女の子

「…学校…行かない…。」

お母さん

「どうして?」

女の子

「出た…出たの…口裂け女…。」

お母さん

「はぁ?口裂け女?不審者でも出たの?」

女の子

「違う…口裂け女…。」


8・(女の子の家の前に止まるパトカーと集まってくる野次馬)

野次馬1

「また出たんだってよ。」

野次馬2

「ほら、あそこのおばあちゃんが見たって言う例の…。」

野次馬3

「口裂け女だろ?」

野次馬1

「だから言っただろう。俺の友達も見たって。」


9・(口裂け女の噂話をしているクラスメイト達)

クラスメイト1

「かよちゃんも見たんだって。」

クラスメイト2

「つとむ君は追いかけられたって言ってたよ。」

クラスメイト1

「すごく足が速いんだって。」

クラスメイト2

「べっこう飴持ってって助かった人もいるって。」

クラスメイト1

「ポマードが嫌いらしいよ?」


10・(職員室で会議をする教師たち)

教師1

「今朝も口裂け女が出るから、学校を休むという電話が。」

教師2

「そんなのいないって言っても信じないんですよ。」

教師1

「たまたま見間違ったのが広まったんでしょうけど。」

教師2

「しかし、本当に不審者だと困ったことになりますよ?」

教師1

「校長先生、いちおう警察にも連絡して巡回してもらうか、下校時に警備してもらいましょう?」


11・(下校する子供たちを見守る警察官数名と聞き耳を立てる子供たち)

警官1

「はい。気を付けて帰ってね。」

警官2

「知らない人に声をかけられたら、すぐに近くのおうちに逃げるんだよ。」

警官1

「おい、聞いたか?隣の県でも同じらしいぞ。」

警官2

「まさかぁ、口裂け女か?」

警官1

「口裂け女じゃなくても、不審者がいるのかもしれない。」


12・(警官の話しを立ち聞きしていた子供たちが他の子供たちと話をしている)

子供1

「お巡りさんが言ってたもん。」

子供2

「隣の県でも口裂け女が出たって。」

子供3

「嘘だぁ。うちのお母さんいないって言ってたもん。」

子供4

「私、べっこう飴持ってる。」

子供1

「お巡りさんは、嘘言わないんだよ?」


13・(コートに大きめの帽子をかぶって歩く女性の横を通り過ぎる子供たち)

子供1

「口裂け女だぁ!」

女性

「はぁ?」

子供2

「口裂け女が出たぁ!」

女性

「ちょっと待ってよ!何言ってんのよ!」

子供1

「逃げろ!ポマードポマードポマード!」

子供2

「ポマードポマードポマード!」

女性

「はぁ?今ポマードでも流行ってんの?」


14・(息を切らしながら後ろを振り返る子供たち)

子供1

「はぁはぁ。やっぱりいるんだ。」

子供2

「見たよね?今のそうだよね?」

子供3

「ポマードって言ったら逃げきれたよ?」

子供1

「やっぱり、ポマードって言うと助かるんだ。」

子供3

「べっこう飴も持ってたし。噂はホントだったんだ。」


15・(子供たちが防犯ベルを持ち始めたり、スマホやGPSを持ち始める現代)

口裂け女

「ねぇ。」

小学生の子供

「…。知らない人とは話してはいけない決まりです。」

口裂け女

「私キレイ」

小学生の子供

「それは、人それぞれ好みや趣味が違うので。」

口裂け女

「私…きれい?」

小学生の子供

「しつこいと、防犯ブザー鳴らしますよ?失礼します。」


16・(スマホで母親に報告する小学生の子供)

小学生の子供

「私キレイとか言う変な人がいた。」

母親

「はぁ?不審者じゃない。」

小学生の子供

「大丈夫。キレイとかキレイじゃないって言うのは、人の好みだって言っといた。」

母親

「あんたねぇ、そういうとこ嫌いじゃないわw」

小学生の子供

「防犯ブザー鳴らすよって言ったら、どっか行っちゃった。」


17・(薄暗闇の中消えそうになる口裂け女)

ナレーション

口裂け女の都市伝説は、江戸時代から語り継がれていたとも言われています。そう。タヌキやキツネに騙されるという昔話の1つとして。昭和の時代は、街灯も少なく人通りも多くはありませんでした。そのため見間違いの可能性もあります。


18・(暗い部屋で一人きりでスマホをいじる口裂け女)

ナレーション

しかし、均等に街灯が明るく道を照らし暗闇が失われ、防犯カメラに防犯ブザー、スマホが1人1台の現代。もし口裂け女が現れれば、すぐにSNSで居場所がバレてしまうでしょう。口裂け女が安心して人を驚かせられた時代は、もう終わってしまったのかもしれません。


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