第5話 秘密の花~ウツギ~

白石さんと話してから何時間かたっていつの間にか放課後になった。

あぁ、もう放課後だ。

家に帰りたくないな…このまま学校で勉強してたい…。

「ねぇ、桜井さん!一緒に帰ろう!」

「えっ」

突然そんなことを言われて驚く私。

私と一緒帰る‥?白石さんと?それって…もしもあの男に会ったら…!

「絶対ダメっ!」

嫌な想像をして叫んでしまった。 

すぐにハッとして白石さんを見るとすごく驚いていた。

どうしよう。白石さんはただ一緒帰りたかっただけなのに…。

「えっと、ごめんね…」

違う、謝らせたかった訳じゃないのに…。 

気まずくて私は荷物を持って教室から出た。



バタンッ…

いつの間にか家に着くとあの男の怒鳴り声とお母さんの鳴き声が聞こえる。

あぁ…そうだ。

ここは家なんかじゃない…。

私には落ち着ける場所なんてないんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る