水龍ってこんな奴。
どうも、精霊です。
水龍に幽霊な魔人の子供について話を聞きたくて海底まで行ってきたよ。
あのベベルの塔の苦労は何だったんだってくらい簡単に行けるんだよね。
潜ればいいんだからさ。
でも人間や魔物たちだと海底まで潜るのは大変だろうから、あれはあれで有効活用されてるのか?
しかしね、水龍の近くまで潜るとピリピリしてるんだよ。物理的に。
雷、垂れ流し中だよ。
「我は150年ぶりに楽しくてな、雷が収まらぬわ! はははっ! 150年ぶりにな!」
はい、すいません。150年ひたすら逃げ隠れしてました、放浪息子です。すいません。
ちなみにフーンは錬金術だけじゃなくて、魔法が少し使えるようになってたよ。
ヒールね。ちょっと元気になれるあれね。
人間の教科書に載ってる最古の魔法ね。
きっと水龍にこき使われて覚えるしかなかったんだろうけど、甘い!
ヒールなんか水龍の前には無力だよ!
そう教えてあげたら「じゃあどうしたらいいんだ!」って泣きだしちゃったよね。可哀想に。
しかし、それでこそ罪滅ぼしなのかね。
前より晴れやかな顔してたな。
そんでまぁ、俺の事なんだけどさ。
俺↓
「幽霊に深海石をあげた時の話を聞かせて」
水龍↓
「ちょっとお前で遊ばせて」
こんな訳だよ。遊ばれてきたよ。
身も心もズタボロだよ……。
なんかね、暇をもて余した水龍さんは魔法や魔力の研究をしていたらしいんだよ。
分かる?
150年ほどさ。
フーンにヒールを教えたのも水龍だって言うんだよね。
道理で魔法の形が古いと思ったよ。
昔、この深海にいた巫女の魔法を参考にしたんだって。
そんでこの水龍が、研究だけで満足するわけないんだよね。
どちらかというと、やりたいのは開発。
そうだよね「新しい魔法を開発しよう! 魔法の可能性を発掘しよう!」とか言い出すよね。
頑丈な実験相手が欲しいんですよね。
分かります……。
もうさぁ、分かりたくないよ!
海底でも消えない炎とかぶつけられたくないよ!
種族を無視しないでよ!
あなたは水龍です!
水龍は火を吹いたりしません!
「古きに囚われるな」
とか言っちゃってさ。なに真面目に説教してるの! 疲れるわ……。
これで終わりだと思わないでしょ?
そうだよ、終わらなかったんだよ。
「海底から海面にまで続く氷の螺旋階段を作ったから強度を試させろ」
と言って始まったのは、水龍との螺旋階段での追いかけっこ。
なんで……
龍は雷の魔法しか使えないんだよ!
そういう約束なの! お願いだからお約束を守って!
そうかと思えば、海底で羽ばたいただけで渦潮が発生するんだよね。
あなたに海は狭いようですねって感じだよ。
そして極めつけは俺を触れるように、つまり体をくれちゃったんだよ。
触って遊べる水精霊です。
まぁ、これに関しては感謝してるよ。
人間とワチャワチャできそうだからね。
さらに!
この話にはオチがある!
水龍↓
「魔法を使えるなどと言うのは嘘だぞ」
俺↓
「嘘!? じゃあ、あれは!?」
水龍↓
「フーンに教えてもらった錬金術である」
俺↓
「フーンに教えたヒールは!?」
水龍↓
「遠い昔に見たままを教えただけよ。覚えたのはフーンだ」
つまり、水龍のところにフーンを預けた俺が元凶だったわけだよね。
恨むなら浅はかな己を恨めってね。
水龍は「楽しかったぞ。しっかりと遊ばせてもらったわ」とか言って満足そうだったよ。
だから俺が「だったら例の幽霊の話をしてほしい」と言ったら「慌てる話ではないからまた次に」と言って帰されたよ……。
まぁ、水龍が慌てる話じゃないって言ったんだから、それは信用できるんだけどね。
これ、また遊ばれるパターンだよね。
諦めよう。
人生、諦めが肝心だよね。
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