歳の分だけの過去。

 どうも、精霊です。


 今日は人間の町に行ってきたよ。

 診療所やお土産屋ができた精霊の森に次に必要な店は何かを考えるためにね。

 もちろん、お馴染みの三人とパペットと一緒にね。

 そこでね、ちょっと気になる事があったんだよ。

 茶店に寄ったんだけどね、そこにいたのは店主も含めて皆お爺ちゃんやお婆ちゃんたち。

 俺たちが入ったら急に表情をガッチガチにしてバラけるように帰るんだよ。

 さすがに俺でも疑うよね。


「なに、今の。どうしたの?」

「え? えぇ……何でしたかね。それより、今日はお代を頂きませんので、好きなものを食べてください。いつものお礼ですよ」

「ありがとう。そんでなんの話をしてたのか聞きたいんだけど」

「ただの歳よりの寄合ですからね、自慢話ばかりで困ったもんですよ」

「隠したい事があっても、隠してちゃいけない事もあるんだよね。今のそっちの雰囲気だったけど?」


 って感じの話が続いてさ、全く話そうとしないの。

 仕方ないからお茶と饅頭もらって皆で話をするふりして様子を窺うことにしたんだ。


「キングが正気に戻ってさ」

 店主、ほっとした様子で皿洗い。

「例のフーンは海底で元気にしてるよ」

 店主、にこやかにお茶のおかわりをくれる。

「次はいつ地の精霊のところに行こうか?」

 店主、あそこは美しいですねとご機嫌で相槌を打つ。

「変な子供の幽霊どこに行ったんだろうな」

 店主、ドーンと柱にぶつかる。

「大丈夫?」

「えぇ、問題ありませんよ。なにも」

 そう言いつつ足の小指を棚の角にぶつける。

 確定。


 という事でね、どうもあの魔人についての隠し事があるみたいなんだよね。

 これは調べないとね。

 でも口が固いから慎重にね。

 隠し事のメンバーも調べたいな。

 とすると、やっぱり水龍にまた会って魔人に深海石をあげた時の話を聞かなきゃいけないよね。

 お腹痛くなってきた……。

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