今後の目標。

 どうも、精霊です。


 今日は龍の奥さんから、キングが正気に戻ったって連絡が来たよ!

 やったね。

 とは言い切れないんだよね……。

 あの背中にちょびっと生えた羽が消えちゃったらしくてさ。

 もうキングには一回、卵からやり直してもらうしかないかなって話してたんだよ。堕ちる前に時間を戻してさ。

 戻すんだから記憶も無くなると思うけど、仕方ないよね。

 それには時間の魔法を使える人間を探さなきゃいけないんだけど、難しいんだよね。だから、なかなか使える人間がいないんだよ。


 それに関しては焦る話ではないからね。

 それより急いでたのは魔人のこと。俺はあの魔人を探してたんだけど、今日ついに見つけたんだ。

「お前、キングに何を言った?」

『遊んでって言ったんだけど?』

「嘘を吐くな。卵だったキングに精神操作の魔法をかけたのもお前だろう!?」

『美味しそうな卵を食べようとしただけなのに。お腹を空かせた子供が卵に手をつけて、どうして怒られなきゃいけないの?』

 魔人はその言葉を皮切りに、コロコロと口調を変えて喚くは泣くは、そうかと思えば冷めた目で睨み付けるはで訳が分からない。


『人間なんて子供を見もしないのにポンポン産む、ただのクズじゃないか!』

『ふぇん……話しかけてるのに』

『聞いてよ!』

『お腹すいた!』

『クズの味方するお前もクズだよ!』


 そんな感じで魔人が泣き叫ぶから怒っていたら、人間に見られたよ。

「幽霊とはいえ、子供には優しくなさって下さいませ」

 とか言われちゃってさ。

 こいつが元凶だって言っても『怖いよぉ』って魔人が泣くから信じてもらえないし。

 参ったよ、まったく。

 深海石を核に持っただけの幽霊だから、ふらふらっとどこかに消えちゃったし。

 どうにかして捕まえよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る