賑やかな精霊の森。
どうも、精霊です。
今日は帰って来て早々に修羅場だったわ。
精神的なね。誰かが怪我するような修羅場じゃないんだけどね。
しいて言うなら、俺の心が傷だらけかな。
毎度お馴染み、精霊の森にお住まいのテンタ、セイコ、シャラク。
事の始まりは朝ごはんを一緒に食べられなかったこと。
いつもは待っててくれて、4人で一緒に食べるんだよ。
それなのに先に3人だけで食べちゃってさ。
まぁ、そんな日もあるさと自分に言い聞かせ、3人に魔法の授業をする時間が来た。
そしたら、精霊の森に滞在中の魔法医に教えてもらうから授業いらないって言うんだよ!
おかしいでしょ?
俺ちょっと嫌われたかな、とか落ち込んだよ。
仕方なく一人で果実の収穫してたら、視線を感じるんだよね。
3人分ほど。
「おーい、どうした?」
って俺が声をかけるでしょ?
木や茂みから3人が出てくるでしょ?
何も言わずにどっか行こうとするんだよ!
「お願い。無視しないで。オジサンなに間違えたかな? どの辺りの事を反省したらいいのかな?」
そしたらテンタがね
「泣くの?」
って聞くんだよ!
「泣かない! オジサン泣かないから構って!」
それから3人は顔を見合わせて「じゃあ一緒に夜ご飯の用意をしよう」って言うからさ、俺めちゃくちゃ喜んだよね。
そしたら森にいる人間たち全員分のカレーを作ろうって言うんだよ。
これなら他の人間たちにもチヤホヤしてもらえるかもしれないし、一石二鳥!
そんで俺は玉ねぎ担当。
あれってどう足掻いても泣けてくるんだよね。
そしたらね、すかさず顔の下に小瓶が差し出されたんだ。
3人はね、俺の涙が欲しかったと白状しましたよ。
1日中、あの手この手で俺を泣かそうと頑張ってたらしいよ。
泣いてあげるから、先に言ってよ……。
本当に泣くとこだったじゃん……。
理由はお察しの通り「自分の精霊獣が欲しかった」そうです。
まったくねぇ……嫌われた訳じゃなくて良かったよ。
カレー美味いよ。
人間たちがカレーを祀りそうな勢いなのが気になるけどね。
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