暗い道が出口らしい。

 どうも、精霊です。


 海底に来ちゃったからね、俺は水の精霊だから海から帰れるんだけど、キングはそうもいかなくてさ。

 水龍にフーンを預けて二人で暗い方の道を歩いて帰る事にしたんだよ。

 そこにね、やって来ました。例の魔人。

「なんにもなかったの? つまんない」

「お腹すいたよぉ」

「生きてるじゃん。困るって」

 とこんな風に立て続けに話すんだよ。その度に話し方が変わってさ。

 わぁっと泣き出したりもするし。


 そんで俺は確認したんだよ。

 そしたら、やっぱりあったわ。深海石。

 胸の辺りで黒藍色に光ってた。

「人間の味方する精霊なんて大っ嫌い」

 魔人が俺にそう言うんだよ。

 そういう事かってね。理由があるなら俺、落ち込まない。


 けど魔人がキングに近づいて耳打ちした。

 何を言ったのかは分からないけど、キングは暴れだしたんだよ。

 魔人は俺が何か言う前に消えてて、残ったのは暴れるキングと俺だけ。

「人間は捕食される側ですよ!」

 なんて叫んで、目はどっか違うとこ見てるし。

 しばらく頑張ってみたけどキングは全く落ち着く気配がなくて、仕方なく俺はキングを氷漬けにしたんだ。

 もちろん生きてるよ。

 けど、卵の時に染み付いた恐怖だよな。

 あの魔人、なに言いやがったんだよ……。

 これからどうしたもんかな。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る