ゴースト爺ちゃん。

 どうも、精霊です。


 まだキングとフーンは寝てるんだけど、俺はこれから寝るところなんだよ。

 ちょっと二人が寝てる間にゴースト爺ちゃんとブラついちゃってさ。帰って来たばっかりなんだ。


「ほれ、起きなさい」

 なんて爺ちゃんが起こしに来るから、どうしたんだと思うじゃない?

「付いてきなされ」

 なんて言われたから付いて行ったら横穴があってさ、精霊避けの結界が張られてたんだよ!

 裏側からじゃなきゃ気づかないように精巧に組まれてる魔法だったわ。

 負け惜しみじゃないからな。

「なんで精霊避けちゃってるの?」

「精霊を迷宮で迷わせる訳にいかんからじゃ。まさか上から入ってくる変わり者がいるとは思わず、すみませなんだ」

 って事よ。

 けど爺ちゃんの目的地はさらにその奥にあったんだ。

 むわっとした空気。水の音。

 その先にあったのは地下の川。それも温泉の川だったんだよ!

 天井には青紫の光がキラキラしててさぁ、本物の夜みたいだったわ。


「爺ちゃん、あの光って魔法だろう?」

「あぁ。この塔をぐるりと覆う空間魔法じゃ。この塔をつくった何者かの残した大掛かりな設置魔法でしてな、あなたにさえ壊せはせんて」

「誰がつくったんだ?」

「たかだか5百年、生きただけのワシには知る由もない。しかし、いい湯じゃろう」

「いい湯だなぁ」

 ってな訳で、二人で温泉に入ってきたんだよ。

 俺だけを連れてきたのは、あの二人が邪な存在か判断が付かなかったからだそうだよ。

 やっぱそう見えるよなぁ。


 あのゴースト爺ちゃんお喋りでさぁ、自慢話が長いんだよ。


「昔は角イルカといい勝負をしたもんだ」とか、「迷い込んだ人間に剣捌きを教えてやった」とかそんな話。

 昔話なら俺も負けないけどね。

「水龍に育てられて、人間の学校で魔法の勉強をした」とか「水龍の小間使いをしてて酷い目に遭った」とかね。

 話してて泣きたくなってきた。

 そんで、年寄りが二人で温泉の川に浸かって昔話に花が咲いてさ。

 楽しかったよ。

 おかげで魔力も気力も満タン!

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