第3話

「大丈夫かなあ…」

休み時間中、教室の窓の外を見ながら呟いた

タッキには食料と遊び道具を渡しておいて家からでるなと行ってあるから大丈夫だろう…

親は共働きで朝は俺より早いから見つかることもないはずだ。

漫画とかでよくみる

謎の生物を家に置いたまま学校にいくというのはここまで不安なものだったのか。

心配で授業もろくに頭に入ってこない。

まあいつも入ってこないのだが…

色々考えていると…

「わっ!」

「うわ、びっくりした!」

「なにボーッとしてんだよ勝」

「海斗…」

俺の数少ない友人の黒井くろい 海斗かいとが立っていた

「お前がボーッとしてるなんて珍しいな、

 考え事か?」

「いや、何でもない」

さすがに友人といえど少年が転生してきたなんて言えない。ましてやこいつにしゃべったら絶対口を滑らすだろう。

「なに?また何かあったの?」

隣の席の大部おおぶ優子ゆうこが割り込んできた

「勝に悩み事だってさ」

「だから何もないってば!」

俺ら3人は幼馴染みで小学校、中学校ともに同じなので割と仲がいい。

「もしかしてフラれたから?」

「なんでそのことを!」

忘れかけていた記憶がよみがえる

「もしかして図星?」

「違うけど!なんで!」

「友達が見てたみたいよ、ほら」

優子がスマホを見せてきた、恐る恐るみると


ー1E女子グルー

@ゆーこ

あんたの幼馴染みの高宮だっけ?

校舎裏で告白してたよ


え、まじ!


ばっちり写真まで撮られていた

「あああああああああーーーー」

椅子から崩れ落ちる

「あっはっは!黒歴史が一つ増えたな!」

大爆笑しながら海斗が言った。

「最悪だ…」

「まあ次は頑張れよ!」

海斗が笑いながら肩を叩いてくる

「そうよそんな落ち込まないの!」

「誰のせいだと思ってるんだ…」

この調子だとまだこのネタで弄られそうだ

すると…


ピーンポーンパーンポーン

ー1年E組の高宮君、校長先生がお呼びです至急校長室に来てくださいー


放送が流れる

「え、俺!?」

「お前なんかやったのか?」

「やってないよ!」

「とりあえず早く行った方が良いわよ」

「わ、わかった行ってくる」

急いで校長室に向かう。

なにか呼ばれるようなことしたっけ俺…

校長室の前には数人の教師がなにやら話をしていた

「あっ、高宮君!」

その中の一人が話しかけてきた

「先生、何かあったんですか」

「それが、学校の校門前で男の子が、

 『勝に会いにきたー』って叫んでて…」

血の気が引いていくのがわかる

「とりあえず中に入って!」

「は、はい」

コンコン

「失礼しまーす…」

校長室には校長が窓の外を覗いていて

ソファーには知っている顔が座っていた

「タッキ…お前…」

転生少年が座っていた

「お前家から出るなって言ったろ!」

「ごめんなさい!」

「まあまあ落ち着きたまえ」

校長が俺の方を振り向いてそう言った

うちの校長は最近赴任したばかりなのだが、見た目はかなり若く女子からの人気もかなり高い。

「私が呼んだんだ」

「こ、校長が…?」

「う、うん僕もちゃんと家にいたんだけど…



プルルルプルルル、ガチャ

「はい、もしもし」

「もしもしタッキ君かい?」

「な、なんで僕のことを!?」

「良かった、ちゃんと転生できたんだね」

「あ、あなたは?」

「君の世界の神の知り合いだよ、

 いきなりで申し訳ないが今から言うところ

 に来てくれないか?」

「でも勝に家からでるなって言われてるし」

「それに関しては大丈夫だ、しかもそこは

 彼がいるところだからね」

「ほ、本当!?」

「ああ、じゃあとりあえず地図を探して…」



ってことになって…」

「な、なるほど」

まさか校長が異世界との関わりを持っていたとは…ん、ならなんで?

「待ってください!それならなぜ、あなたが

 タッキの面倒を見ないんですか?」

「いや、私もそう思ったんだけどね…

 断られてしまった」

「は?断られた?」

「ああ『それじゃつまらないだろう?

 こう刺激がないとね』ってね」

「な、なんて自分勝手な奴なんだ…」

「ははは、彼を知るものはみなそう言うよ、

 だがサポートならある程度していいと

 言われているから僅かだが力になろうと

 思う、一人全部やるのは大変だろう?」

「はっ、はい!お願いします!」

一人でも知っている人間がいるというのは

かなり心強いことだ

「それで早速なんだがタッキを、この学校に

 入学させようと思う」

「え」

「本当に!」

タッキが目を輝かせて言った

「やっぱり世界を知るなら学校だろう?

 それでタッキを中学1年生として入学

 させようと思う」

「そ、そんな簡単にできるんですか!?」

「ん?もしかして私を普通の人間だと思って

 いたのかい?」

「え?」

そう言うと校長が何やら呪文を唱え始めたと

思ったら手のひらに小さな魔法陣を出した。

「え、こ、校長って、一体何者?」

「私はいわゆる"魔法使い"というやつだよ」

「ま、魔法使い!?」

「いや元々はただの人間だったんだけどね

 たまたま"神"と遭遇してしまってね、

『せっかく出会ったんだから君、僕の信者にならない?ちょうど人手が欲しくてさー』

 ってな感じにね」

「ええ…」

本当に神というのは自分勝手な奴らしい

「っていうか異世界の神なのにこっちに

 これるんですね」

「まあもはや何でもありだと思ったほうが

 良い、君も気を付けたまえ下手すると

 大変なことになりかねない」

「は、はい…」

ソファーでのんびりくつろいでいるタッキを見て改めて思った

「どうやら、本当にとんでもないことに

 巻き込まれたらしい…」


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異世界転生を願ったら、少年が転生してきた件 T @act0000

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