第170話 戯れ
翌朝。
目を覚ましたら。
はるはもう着替えて、パソコンのメールをチェックしていた。
「あ、日高おはよ」
「おはよ。朝からそんなの、やってんの?」
「うん。祥子さんからの指示も来てるから。終わったら、下で一緒に朝食たべよ」
「うん」
(しっかり名代、やってるんだな……)
こないだまでの、ひっくり返ってダダをこねて叫んでいた自分を、日高は少し恥ずかしく思った。
「顔洗ってくる」
日高が立ち上がった。
「………」
はるは、ゆっくり椅子を離れた。
(まだ、あったかい…)
今しがた、日高が寝ていた
日高の。
陽だまりのような香りがした。
-香水は嫌い-
って言ってつけないのに。
何でこんなにいい香りがするんだろう。
枕に顔をつけて。
胸いっぱいに日高の香りを吸い込んでいたら。
「はにしてんほ(何してるの)」
歯ブラシを咥えた日高が、ベッドの前に立っていた。
「………」
はるは赤くなって、横を向いた。
やがて、洗面所から出て来た日高も、もう一度ベッドにやって来た。
そして、はるの上にまたがると、
「はるー」
はるが向いた方へ覗き込んで。
「あ、あった」
布団の中へ手だけ忍ばせて、はるの胸に触れた。
「ちょ、ちょっと」
「いいじゃん」
日高の瞳が濡れて揺れていた。
「優しいひと……」
はるは、日高の頰を両手で抱えて、キスをした。
唇が離れたあと。
日高が、
「寒い。入れてー」
そう言って。
ゆっくり布団にもぐり込んで。
二人は。
心ゆくまで
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