第136話 花嫁衣装
大学からドラマの現場へ直行すると。
「結婚式だって」
打ち掛け姿の日高が、ダルマストーブの前でスタッフに囲まれて暖を取っていた。
「………」
「HALちゃん、YOSHIMURAのスタッフに来てもらったから、あっちで用意して来て。好きなの選んできていいから」
北川の言葉に。
「だって」
日高は
「じゃあ」
言葉もないはるの代わりに、関君がぺこりと頭を下げた。
(けっ結婚式のシーンなんて、まだまだ先だと思ってた)
それに。
日高、めっちゃ可愛いじゃん。侍姿なんかじゃないじゃん。
はるは。
人生初の結婚式のシーンに。
一気にド緊張してきた。
ウエディングドレスは。
千着近くあって。
気心の知れた、祥子の秘書さんたちが待機していた。
「…どうしよう」
呟いて。
それでも、やっぱり。
日高と一緒に結婚式のシーンの撮影が出来る事が。
嬉しくて嬉しくて仕方ないのも本当で。
「あ、これ可愛い」
気づいたら。
ただの女の子になっていた。
「ねー、日高さ」
スタッフたちが次の作業にとりかかる為にまわりから居なくなった時だった。
ふいに、北川が日高に言った。
「青葉師範が、唯一雄鶴の舞を教えられる人なの。でね、私が知る限り、これを舞えるのは日高しかいない。だから、時々直接指導を受けてほしいんだ」
「……わかった」
日高は頷いた。
「でさ、あんた嘘つくのド下手くそだからさ。
「構図?」
「私があんたを寵愛するの。ある意味、かなりリアリティあるし」
「………」
「いきなり呼び出して連れ出すから。まあ、HALちゃんにも少しはやきもち焼いてもらいなよ」
そう言って。
北川は笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます