第25話 愛しているのは

 バスルームから出ると。

「見て!」

 日高が。

 セーラー服に、エプロンをつけて。

「どお?」

 って。

 笑っていた。

 主演ドラマも20%超えで。

 抱きたい女優第一位の。

 花村日高の、その姿に。

「何、それ、可愛すぎー」

 ひとしきり、はるは声をたてて笑った。

「ねえ、はる、ちょっと、そこのソファでうたた寝してみて」

「えー」

「いいじゃん、いいじゃん、ねっ、ねっ」

「家でまで仕事したくない派なんだよねー」

 なんて言いながら。

 はるは、濡れた髪を拭きながら、ソファに座ってを閉じた。

 すると、

「ダメ!ちゃんとやって」

 日高からダメ出しが出た。

(もー)

「はい、はい」

 タオルを投げて。

 肘をついて。

 息を一つつくと、はるも、本気モードになった。

 瞳を閉じて。

 本当に、うたた寝をしているかのように。

 しどけない姿になった。

(やばい。食べちゃいたいくらい可愛いんですけど)

 日高は。

 はるの前に立つと。

 腰をかがめてキスをした。

 それでも。

 はるが瞳を開けないのを見て。

 日高は、舌をからめていった。

「…………」

 やがて、はるが瞳を開けると。

 日高は、はるから体を離した。

「たぶん、やきもち」

 日高が言った。

「やきもち?」

「はるの相手、私に似てるって言われてるでしょ」

「そうだけど」

「若い、高校生の花村日高似って騒がれているでしょ」

「ちょっと似てるだけだよ」

「心が、ザラザラしてたから。ごめんね」

 日高は、はるの横に座った。

 その日高の顔を、両手で包み込むと、はるは、ちょっと笑って。

 引き寄せるようにキスをして、激しく舌をからませた。

 驚いている日高を、はるはソファに押し倒した。

 少し離れても、また求め合うようにキスをした。

 やがて、ゆっくり、はるは日高から離れた。

「私が愛してるのは、日高だけなの」

 ちょっと微笑わらって。

「日高も同じでしょ」

 日高は。

「はるちゃーん」

 って。

 はるの胸に飛び込んでいった。

 その背中を。

 ポン、ポン、と。

 はるは優しくたたいて。

「大好きだよ」

 って。

 もう一度言った。

 でも。

(キスしてるCMは、セーラー服じゃないんだけど)

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