第24話 セーラー服
久しぶりに。
日高とはるは、一緒に夕食を取っていた。
日高は、白ワインを少し飲んでいて。
はるが作ったカレーと、サラダが並んでいた。
「カレーと、ワインって合うの?」
「うーん、微妙」
日高は笑った。
「私、あんまり料理作れないからなー」
「いいよ。はるちゃんが作ったのは何でもおいしいから」
「今、微妙って言ってたじゃん」
「それは、ワインと合うかどうかって話でしょ」
「……そっか」
二人は目を見合わせて。
平和で。
穏やかで。
でも。
(あっ)
それはときどきおとずれた。
つけっ放しのテレビから、はるのCMが流れた。
はるからは観えないけど。
日高の席からは、それがよく観える。
(第一シリーズでありますように)
はるの願いも虚しく。
それは第二シリーズの、キスシーンのあるCMで。
日高は。
無言で、じっと観ていた。
二人の間に、沈黙が流れた。
日高は、ワインを一口、二口飲んだあと、ふと、
「ねえ、はるちゃんは、自分の着てたセーラー服って、まだある?」
目を上げた。
「セーラー服?」
「うん」
「あったような気がしたけど。この間、何かのイベントで持っていった気がするよ。でも何で?」
「んー、何となく」
「食べ終わったら探してみるよ」
「うん」
(あれっ、おっかしいなー、クローゼットに入れたはずだけど)
ガサガサ、クローゼットを這い回っていると。
「あ、あった」
セーラー服と。
いつか、日高が文化祭で衣装の下に着ていた、あのエプロンが出て来た。
「日高ぁ、あったよ」
(何だ、寝ちゃってる)
テーブルに、つっぷして寝入っている日高の肩に、ショールをかけてあげて。
(お風呂入っちゃお)
ホコリが髪についちゃった。
はるは、バスルームに入って行った。
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