第11話

「おじいさん!

 シンデレラ様が連れ去られたと言うのは本当ですか?!」


「本当だ。

 セレスティにも確認させたが、アモロ子爵家にシンデレラ様はおられないそうだ」


「父さんが確認されたのですか。

 真実なんですね。

 だったら急いでお助けしないと!」


 グレアム将軍は急ぎシンデレラの譜代家臣に連絡を取った。

 今までシンデレラが生き延びられてきたのは、アモロ子爵家を追い出された譜代家臣が、忠誠心を失わずに護ってきたからだ。

 その事をシンデレラから聞いていたグレアム将軍は、自分が赴任地の国境から動けないので、忠誠無比の譜代家臣に、シンデレラ捜索を依頼したのだ。


 今でもシンデレラを護っているのは、カロジェロと言う子爵家執事長だった男とその家族だ。

 カロジェロの妻は、キアーラと言う名で子爵家侍女頭を務めていた。

 息子のセレスティは、子爵家の次期執事長となるべく務めていた。

 セレスティの嫁クリスタは、子爵家侍女長として勤めていた。

 カロジェロの孫ダニエルも、幼い頃からアモロ子爵家の為に働いていた。


 一家そろってアモロ子爵家の為に働いていたが、後妻に入ったアーダによって、退職金も一時金も与えられず、アモロ子爵家から解雇された。

 それでもシンデレラに忠誠を尽くし、傭兵団を結成して独自の資金源を確保しつつ、その収入を投じてシンデレラを陰から助けていた。


 グレアム将軍からは、家臣に迎えようという話や、王国軍に推薦しようという話があったが、それでは縛りがあって、シンデレラを助けるのに一歩遅れると、独自で傭兵団を維持する道を選んだほどの忠臣だ。

 そんな彼らがシンデレラ失踪の知らせを受けたのだ。

 草の根を分けてでも探し出そうとした!


 だが杳として消息が知れない。

 傭兵団の団員を総動員してシンデレラ様を探したが、何の手掛かりも得られなかった。

 不遜な事ながら、シンデレラ様を我が孫のように可愛がっていた、カロジェロとキアーラは胸を痛めていた。

 セレスティとクリスタも、我が娘の事のように心配していた。


 だが誰よりも心配していたのは、ダニエルだった。

 幼い頃から兄妹の姉弟のように育ったダニエルだ。

 幼馴染などと言うモノではないのだ。

 ダニエルはシンデレラ様に恋していたのだ。


 身分違いだとは重々理解していたが、恋は思案の他だった。

 抑えようとして抑えられるのもではない。

 その心痛は父母や祖父母以上だった。

 だから傭兵団員の先頭に立って探し回った。

 王太子殿下の配下にも探りを入れ、ありとあらゆる場所を探し回った。


 だがそれでも、シンデレラの居場所は知れなかった。

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