第8話
「我らは王太子殿下をお護りする、親衛騎士隊だ。
そちらのご令嬢はシンデレラ様か?
貴様は公爵の手先か?!
そこに倒れている者は何者だ!」
「王太子の手の者だと?
愚かにも王位継承を争い、シンデレラを危険に晒した馬鹿者か!」
「なんだと!
王太子殿下を愚弄するか?!
許さん。
捕縛してシンデレラ嬢をお救いしろ!」
「その程度の腕で、我を捕まえられると思っているのか?!」
「やめて!
やめてください!
この方は私を助けてくださったのです」
私は必至で止めました。
王太子殿下の親衛騎士隊は、私を助けに来て下さったのです。
ですがこのお方も、私を助けてくださいました。
何か思惑があるのかもしれませんが、今はそんな事を気にしている時ではありません。
何と言ってもこの方は、母上様の事をよくご存じのようです。
幼い頃に亡くなられた母上様の事は、余り存じ上げないのです。
もしこのお方が何か知っておられるのでしたら、是非ともお聞きしたいのです。
王太子殿下の親衛騎士隊と争って欲しくないのです。
「貴男も止めてください。
王太子殿下は味方です。
親衛騎士隊も味方です。
舞踏会で助けてくださいました。
争うのは止めてください!」
私は必至で争いを止めようとしました。
真剣に止めようとしました。
グレアム様は王太子殿下にお味方しています。
今回王太子殿下が私を助けようとしてくださったのも、グレアム様への配慮でしょう。
私の事は、グレアム様のアキレス腱と考え、抑えておくつもりなのでしょう。
「シンデレラがそこまで言うのなら、殺さずにいてやる。
シンデレラに感謝するがいい。
そうでなければ、この者達と同じように、地獄の痛みの中で殺してやった」
私を助けてくださったお方は、そう言ってまた印を結び呪文を唱えられました。
「おのれ。
シンデレラ殿に免じて殺すのは止めてやる。
捕まえろ。
生け捕りにするのだ」
多くの親衛騎士の方々が、捕まえようと殺到していますのに、全く体に触れることが出来ません。
蜃気楼を相手にするように、捕まえようとする手がすり抜けてしまうのです。
信じられない光景です。
王太子殿下の親衛騎士隊と言えば、この国でも一番と噂される強力な騎士隊です。
それがたった一人の男に翻弄されているのです。
「シンデレラ。
今まで苦労を掛けたね。
もう心配いらないからね。
これからは誰にも襲われないし、傷つけられる事もないからね。
さあ、私達の家に帰ろう」
「え?
どう言う事ですか?
私達の家?
私の家はアモロ子爵家です。
私をどこに連れて行くつもりですか!」
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