第2章
第15話
前王家を打倒して一年が経過しました。
家臣たちの努力のお陰で、謀反の兆しは一切ありません
前王家の血族は旧ホワイト侯爵領に幽閉されたままです。
第二王子だったメイソン殿だけは少々可愛そうな気がしますが、他の王族は傲岸不遜で民を虐げていましたから、情けをかける必要を感じません。
それよりは私たちの方が可愛いそうだと思います。
私は無理矢理とは言え、王太子の婚約者にされていましたから、将来は王妃と成り、国を支えて行かなければいけなかったでしょう。
ですが父上様と母上様は、ホワイト侯爵夫婦として、家臣と領地の民を護るだけで済んだのです。
それが今では、前王家の家臣領民はもちろん、今までは同僚であった貴族たちまで護らなければいけない立場になってしまわれました。
特に大変だったのは国同士の関係です。
前王家の復活を大義名分として、新生ホワイト王国に攻め込もうとする国は数多くあります。
今までは侯爵家として他国と付き合っていたのを、国王として対等の関係を要求しなければなりません。
でも、あまりに高飛車に出れば、それを口実に攻め込んで来るかもしれません、
父上様と母上様の気苦労は尋常一様なものではありません。
特に問題だったのは、私しか子供がいなかったことです。
他国の王でも狡猾な者は、戦いではなく婚姻政策でホワイト王国を攻め取ろうとしています。
一番多いのは、王子の一人を私の婿・王配に送り込み、自分の孫をホワイト王国の王位に就けようとする策でした。
次に多かったのは、若い王女を父上様の側室に送り込もうとする策です。
私は王女なので、父上様に王子ができれば、その王子が王位を継承します。
上手く私と母上様を暗殺できれば、事実上ホワイト王国を乗っ取る事が可能です。
基本的には拒絶したい方法ですが、ホワイト王国にも利があります。
側室を送ってきた王家と血縁関係ができるので、奇襲を受ける確率が減るのです。
一番大きいのは、国内貴族の争いを避けられると言うことです。
私と言う王女しかいない状態は、国内貴族の野心もかき立てるのです。
私に婿を送り込み、王家を操ろうとする国内貴族も少しはいるのです。
先年の戦争では私が陣頭指揮したので、私を操る事は難しいと判断しているのでしょう、普通なら乱立するはずの婿候補がそれほどいません。
多いのは父上様の側室候補です。
他国の介入は危険だと言って、父上様の側室は国内貴族から迎えるように一致団結して献策陳情を繰り返すのです。
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