第36話
オリヴィアは自分の手で復讐したかった。
恨みを晴らしたかった。
いや、オリヴィアだけではない。
魔獣と共にオリヴィアの身体に取り込まれた数多の怨念が、自分の手で王子達を殺す事を願っていた。
オリヴィアと怨魔獣が王子達を狙っていると言う噂を流せば、王子達が身分を隠そうと逃げ込んだ、隣国の悪徳領主や犯罪組織と同士討ち騙し討ちになるだろう。
それで王子達や側近や悪党も、力を削る事が出来るだろう。
だがそんな事に意味はなかった。
怨魔獣相手に戦える人間などいないのだから。
事前に力を削ぐ必要などないのだ。
七人の王子は、治癒魔法で回復させながら、繰り返し拷問された。
側近や護衛、隣国の悪党も一緒に拷問され殺された。
魔獣の酸で徐々に身体を焼かれて殺されるものがいた。
何度も皮を剥がれ、気が狂うまで激痛に苦しむ者もいた。
四肢を引き抜かれる者もいた。
全身を鈍器で殴られ、全ての骨を砕かれる者もいた。
肺に水を注がれ、何度も窒息の苦しみを味合わされる者もいた。
魔蟲に変化した魔獣に全身を少しずつ喰われる者もいた。
魔鳥に変化した魔獣に全身を啄まれて喰い殺される者もいた。
少しずつ身体を焼かれ、徐々に焼き殺される者もいた。
魔獣に前後から犯され、蟲を身体に産みつけられ、内部から喰い殺される者もいた。
七人の王子は、気が狂うまで全ての方法で責め苛まれた。
七人の王子が狂死して、オリヴィアは虚脱してしまった。
もう死んでもいいと思ってしまった。
思いがけず、父母兄姉が生きていてくれた。
兄姉の顔を見る事も出来た。
父母に会えないのは残念だが、このような化物になった姿を見せるのも心苦しい。
そんな想いが、オリヴィアを虚脱させた。
オリヴィアの制御を離れた怨魔獣は、他の怨念と魔獣の本能で暴れた。
その場にいる人間全てを喰らい、国に戻った。
魔獣は住処の奈落に戻りたがったし、怨念の恨む相手は母国にいる。
復讐したい相手は隣国の民ではないのだ。
多くの怨魔獣が復讐に荒れ狂った。
だがシャア達がそれを見逃さなかった。
怨魔獣が直ぐに民を殺せばシャア達も間に合わなかっただろう。
だが怨魔獣は、時間をかけて苦しませて報復する術を学んでしまった。
それがシャア達に怨魔獣を斃すチャンスを与えたのだ。
聖剣が怨念を浄化し、魔獣を斃した。
多くの怨魔獣を斃す事で、シャア達の聖剣を使った連携が熟練の域に達した。
バートが落ち着きを取り戻したのだ。
そして遂にオリヴィアを取り込んだ巨大な怨魔獣に遭遇した!
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