第33話

 王子は城内で震えていた。

 一人逃げる事が許されなかった、第八王子だけが城に残っていた。

 他の七人王子達は、王城から逃げていた。

 魔獣に喰われないように、他国に逃げたのだ。

 民を奴隷として売り払う時に出来た繋がりを使い、身分を偽って護衛と共に一時国を出たのだ。


「えぇぇぇい!

 何たること!

 一人しかいないとわ!」


 オリヴィアは怒りと絶望に囚われていた。

 自分の意識が確かなうちに王子達に復讐しようとしたのに。

 王城には一人しかいなかったのだ。

 だから他の七人の王子達の居所を聞く拷問は苛烈を極めた。

 第八王子は地獄を見た。


 先ずは自分と同じ地獄を見せたかった。

 第八王子を側近達に強姦させたのだ。

 男を男に犯させたのだ。

 七二時間眠らせず嬲らせ続けた。

 上は貴族から下は奴隷まで、あらゆる男に犯させ続けた。


 いや、男ばかりではなく、女にも道具を使って犯させた。

 王子達の奴隷狩りで連れてこられた女の内、他国に奴隷として売り払われる前の女がいた。

 彼女達の増悪も深かった。

 棘のついた性具を使い、あらゆる穴を傷つけた。


 だが簡単に死なせはしない。

 オリヴィアが治癒魔法を使って癒し、その後でまた嬲った。

 十日間嬲り続けて、七人の王子が逃げた場所を聞き出した。

 その十日間に、王城に残っていた、オリヴィアを犯した重臣や騎士を全て探し出し、第八王子と同じように犯して嬲った。


「一人だけ助けてあげる。

 戦って生き残った者一人だけよ。

 武器は与えないわ。

 防具も駄目。

 殴り、蹴り、噛みついて相手を殺しなさい。

 生き残りたかったら、相手の喉を喰い破っても勝ちなさい」


 そして最後は殺し合わせた。

 悪党同士、殺し合う地獄に落とす事にした。

 悪政の国とは言え、元の主従や上司部下が、先輩後輩が殺し合った。

 躊躇いなどなかった。

 王城には極悪非道な人間しか生き残っていなかったからだ。


 だから、自分が生き残るために主を殺す事に躊躇いはなかった。

 既に主殺しを犯している者も多かった。

 商家の出の者は、主を殺して商家を乗っ取り、その金で男爵位を手に入れ、王城に入り込んだ者もいた。

 伯爵家の陪臣であった者が、王子と結託して主君一族を皆殺しにして、男爵に取り立てられて王城に入り込んだ者もいた。


 ありとあらゆる者が、自力で殺し合った。

 剣術や槍術を学んだ者も、身一つで戦わされた。

 力有る者は殴って殴って殴り殺した。

 眼球を突き破る攻撃をする者もいた。

 急所の性器を狙う者もいた。

 オリヴィアの言葉通り、喉を喰い破る者もいた。


 最後に生き残った者も許されなかった。

 見張りに王城に残された魔獣に喰い殺された。

 その頃オリヴィアは、他国に逃げ隠れている王子を探していた。

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