第31話
ようやく、ようやくここまで辿り着きました。
御爺様と御婆様の無念。
ようやく晴らせる時が来ました。
全てはオリヴィアの御陰です。
どれだけ感謝してもしたりません。
御爺様と御婆様がまだ幼い頃に、奸臣が叛乱を起こし、御爺様と御婆様の一族を皆殺しにしてしまいました。
僅かな忠臣に護られて、御爺様と御婆様は国を逃れ、母国を遠く離れた小国にまで落ち延びられたそうです。
御父様はその小国で御母様と出会われて、私とシャア兄様が産まれました。
弟妹達もそうです。
御爺様と御婆様は、いつか国を取り戻すと努力なされていましたが、叶わずに亡くなってしまわれました。
父上様も努力されましたが、拠点とした小国では、傭兵団を組織しても兵力も財力も限られていました。
そこで兄上様と私が、母国の隣国に入り込んだのです。
ほどほど大国なので、戦力と軍資金を蓄えられると考えたのです。
そこでよい出会いがあり、現在の傭兵団に入る事が出来ました。
最初兄上様は傭兵団を乗っ取る心算だったようですが、何度も肩を並べて戦った事で団長の漢気を感じ取り、遣り方を変えられました。
頃合を見て全てを打ち明けられました。
国を取り戻すのを協力して欲しいと!
ですが相手が悪過ぎました。
傭兵団の全戦力を投入したとしても、一国を相手に戦争など不可能でした。
どれほど悪政を布いていたとしても、国が動員出来る兵力は膨大です。
兄上様は幾つもの傭兵団を同時に動員する準備をされていましたが、なかなか上手く運びませんでした。
それが一気に動きました。
オリヴィアが現れた事で、母国が大混乱に陥り、大手を振って入り込む事が出来るようになったのです。
しかも多くの傭兵団が共同してです。
兄上様は冷酷な所もある方です。
目的のためには手段を選ばないところもあります。
オリヴィアと怨念の力を利用して、御爺様と御婆様の無念を晴らそうとしています。
ですが真心のある方でもあります。
オリヴィアと怨念が復讐を晴らした後で、上手く分かれることが出来なかった時の為に、聖なる力でオリヴィアと怨念を分離させることが出来る、聖剣を手に入れられたのです。
奸臣が叛乱を起こした時に、教会も同時に兵を挙げたそうです。
人の心に平穏を与えるはずの教会が、奸臣の叛乱に協力して、多くの領地と財宝に権限まで手に入れたのです。
その時に王家から盗み出した宝物の一つが、聖剣を含めた聖なる武器です。
領地内に奈落があった私達王家は、魔獣を斃し怨念を浄化する武器を創り出していたのです。
その技は、叛乱の時に失われてしまいましたが、こうして残されている武器もあるのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます