第21話
問題はエイダ達女性陣の美貌にあった。
勇者候補達のパーティーメンバーは、控室に押し込まれていた。
エイダ達以外は、ほとんどが最低の人間だった。
そんな中に絶世の美女が三人いるのだ。
最低の男達が獣欲を掻き立てるのも当然だった。
だが彼らも戦いの中に生きる男だ。
シャア達の強さは気配だけで分かっていた。
自分達では束になっても勝てないのは理解していた。
だからこの国に入るまでは何も仕掛けなかった。
命が惜しかったのだ。
だが、今は一番強いシャアがいない。
狭い部屋に押し込められ、自由に動き回る余裕もない。
女を襲い犯すには格好の場所だった。
それでも多くの者が二の足を踏んだ。
シャア以外の五人が、女三人も含めて圧倒的な強者の気配を放っているからだ。
だがそれを理解出来ない馬鹿もいる。
傭兵団と名乗っている強盗団は、百人を超える人間を全てが参加していた。
中には女誑しを専業としている奴もいた。
言葉巧みの女を騙し、屋敷の戸締りを空けさせるのだ。
言葉だけではなく、時には薬も使う。
即死させたい時には、即効性の毒針を使うのだ。
女を誑し込む時には、催淫性の毒針を使う。
嫌がる女を嬲りたい時には、麻痺性の毒針を使う。
そんな技があるから、強さを無視して獣欲を満たそうとした。
思い上がっていたのだ。
「姉さん。
親睦を深めましょう。
一緒に飲みましょうや」
女誑しは満面の笑みを浮かべてエイダに近づいた。
エイダの横にはバートがいるが、バートのいない壁側から近づいた。
女誑しから見れば、圧倒的に強いシャア組の中では、若いエイダとバートが狙い易いと思えたのだろう
だから二人に狙いを定めていた。
だがエイダとバートに油断などなかった。
オリヴィアの苦い経験があるのだ。
甘言に騙される愚かさなど全くない。
この最悪の国で育ってきたから、一切の甘さがない。
躊躇なく勇者候補仲間を斬り捨てた。
証拠の毒針を抑える為に、女誑し右腕を斬り落としてから、返す刀で首を斬り落とした。
更に踏み込んで、盗賊傭兵団員を次々と斬り殺した。
エイダも情け容赦しなかった。
傭兵団で学んだ投擲術を駆使して、スプーンやナイフ、皿やコップを投げて盗賊傭兵団員の眼を潰していった。
エミリー、クロード、アメリアの三人も躊躇することなく攻撃に参加した。
クロードの槍術はバートの斬り込みの比ではなかった。
バートに遅れて動いたのに、バートが瞬時に二人斬り殺す間に、四人を突き殺していた。
盗賊傭兵団は、毒針を使うと同時にドアを確保して、思う様三人の美女を嬲ろうと考えていたのだが、一瞬で七人が斬り殺され、六人が失明させられていた。
控室は一瞬で阿鼻叫喚の戦場となった。
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