第4話
「許さない。
絶対に許さない。
必ず復讐する。
死んでたまるものか!」
奈落の奥底深くにまで投げ捨てられたオリヴィアだったが、奇跡的に生きていた。
いや、魔法の力で生き延びていた。
教会にいる頃は聖なる魔法が使えた。
だが恨みに凝り固まり、復讐を誓った時から、闇魔法が使えるようになっていた。
恨みの念が強ければ強いほど、闇魔法も強力になった。
奈落の淵から大きく投げ放たれ、宙を舞う間、死にたくない、復讐したい、いや、必ず報復すると誓い念じた。
それに魔力が反応して、徐々に落下するスピードが遅くなった。
落ちる速度は遅くなったが、奈落の宙を舞う魔物が襲い掛かってきた。
本能的に首を庇ったので、血管を破られるような致命傷は負わなかった。
それでも、身体中の肉を喰い千切られた。
もう痛みなど感じないと思っていたオリヴィアだが、まだ痛みを感じることが出来た。
安堵と同時に、何としても生き延びて復讐すると言う想いが強くなった。
人間以外の、自分を襲う魔物にも怒りを感じた。
私の肉を食べた憎い魔物!
「死ね」
オリヴィアの心は以前の優しさを失っていた。
動物どころか虫さえも愛おしんでいたオリヴィアだったが、情け容赦なく襲い掛かる魔獣を殺した。
オリヴィアの念と共に、魔獣が爆ぜた。
次々と空飛ぶ魔獣が爆ぜ、血袋となって落下する。
血袋となった魔獣を食べようと、もっと大きな魔獣を集まってきた。
奈落の側壁に引っかかる血袋もあった。
そんな血袋に、側壁に住む魔獣が集った。
餌になり果てた血袋は、側壁の魔獣が争う原因となった。
大きな魔獣や素早い魔獣が、相争って喰い合い殺し合った。
ゆっくりとだが、それでも確実にオリヴィアは落ちていた。
奈落の底に近づけば近づくほど、禍々しいほどの魔力が溢れていた。
その力を受けて、オリヴィアの魔力も高まっていた。
襲い掛かる魔獣も硬く大きく強くなっていた。
そんな魔獣が、オリヴィアを喰おうと襲い掛かる。
だがオリヴィアは死ねなかった。
教会の神官。
八人の王子を筆頭とした王族。
王子の側近貴族。
貴族に仕える騎士。
皆殺しにしないではおれない。
恨みを晴らさないで死ぬ事など出来ない。
絶対に許せない。
必ず復讐する。
手足を失おうとも、必ず生き抜いて復讐する。
数十メートルもある鳥のような魔獣。
同じく数十メートルもあるムカデのような魔獣。
同じ大きさの熊のような魔獣、猿のような魔獣が襲い掛かってきた。
オリヴィアが落とされたのをきっかけに、均衡が崩れたのだ。
オリヴィアと言う餌を取り合ったのをきっかけに、喰い合いが始まった。
その戦いは、とても人の介入できるようなモノではなかった。
腐り切ったこの国の兵士や騎士は勿論、命を賭けて稼ぐ猟師や傭兵でも、指一本で潰されるような存在だった。
伝説の勇者と言う存在であろうと、とても勝てるとは思えない強さだった。
その魔獣達にオリヴィアは立ち向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます