第3話

 オリヴィアは、治療中は綺麗に飾られていた。

 教会は病人から大金を巻き上げる為に、権威付けに熱心だった。

 普段は最低限の衣食住しか与えないのに、治療の時だけ着飾らせたのだ。

 その為の宝石や装飾品は、病人やその家族に寄進させた。

 寄進しない者は治療してもらえなかった。


 さらに法外な治療費を取った。

 その莫大な治療費を費やし、寄進で手に入らないような高額な装飾品を購入した。

 聖なる治療の為には、必要だと嘘をついて。

 だが最初に身に付けるのは枢機卿の愛人や隠し娘だった。

 そして一度オリヴィアが身に付けた宝石や装飾品は、聖なる品として数倍の値で売却された。


 王宮に治療に行かされるオリヴィアには、何の宝石も装飾品も付けていなかった。

 王子達に売り払った以上、金目の物を付けさせる意味がなかった。

 ただ服だけは高価な物だった。

 これだけは王子達の指示だった。

 聖女を犯し穢す欲望に、高位のシスター服は必要不可欠だった。


 王宮の奥深くに連れ込まれたオリヴィアは、地獄を見た。

 教会から何の知識も与えられていなかったオリヴィアが、輪姦されたのだ。

 八人の王子達が同時に。

 時に代わる代わる。

 酷い時には、七二時間眠らせてもらえず、嬲られ続けた。


 最初は神に助けを求めていたオリヴィアだったが、誰も助けに来なかった。

 神は何の救いも与えなかった。

 王子達や神官達に罰も与えなかった。

 ただ、民から搾取する名目になっただけだ。

 悪人の手助けをしているのと同じだった。


 王子達は中々飽きなかった。

 聖女を穢し思う様に苛む欲望に囚われていた。

 幾日も幾日も、オリヴィアが時を忘れるほどの時間、地獄の苦しみを味合わした。

 時に鞭を使い、蝋燭まで使用した。

 治癒魔法で治せるケガは、欲望のための小道具に過ぎなかった。


 オリヴィアの容姿は変わっていった。

 波打つ美しい白銀の髪は、闇を体現したかのような漆黒に変わっていた。

 優しかった白銀の瞳も、泣き続けて血のように赤黒くなっていた。

 誰もが聞き惚れた美しい声は、長時間泣け叫んだ影響か、地獄の極卒のように低くひび割れていた。


 事ここに至って、王子達も飽きた。

 聖女の容姿が闇に染まったのだ。

 嗜虐心が薄くなってしまった。

 壊した玩具に興味がなくなるのと同じだった。

 王子達はオリヴィアを捨てるように側近達に命じた。


 側近達はオリヴィアの治療を行った。

 王子達は、捨てると決めたオリヴィアの治療をしなかった。

 だが側近達は直ぐに捨てなかった。

 自分達の獣欲を散々満たした。

 欲望を満たすまで嬲り続けた。


 側近は配下の騎士にオリヴィアを捨てるように命じた。

 配下の騎士も自分達の獣欲を散々満たした。

 欲望を満たすまで嬲り続けた。

 オリヴィアの地獄が終わるまでに一年の時が必要だった。

 十四の春、オリヴィアは奈落の底に突き落とされた。

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