第23話 国王からの依頼②
「どうもありがとうございます。じゃあもう帰っていいですかね?」
俺は白金貨百枚を受け取って帰ろうとすると、ミユにローブを捕まれた。
「まだ話は終わってないわよ。」
―え?まだなんかあるの??
ミユの言葉に合わせて国王が口を開く。
「うむ。ショウよ。おぬしに頼みたいことがあってな。聞いてはもらえぬだろうか。」
―はい、来ました。厄介事ですね。嫌ですよ。
「いや、俺達ポーションのために薬草取りに行かなきゃいけないんで。えぶっ。」
俺はそう言って、再び帰ろうと歩き出したのだが、ミユがローブを離さないため、首もとが引っ掛かり、変な声が出てしまった。
「すまぬ。おぬしらにしか頼めぬ事なのだ。無論、報酬は用意しよう。」
国王は真剣な表情で尚も口を開く。
「…なんですか。その頼み事って。」
俺は嫌な予感が当たらない事を祈りながら聞いてみた。
「実はこの辺りに、盗賊共が沸いていてな。おぬしらにそれを討伐してもらいたいのだ。」
―あぁ…やっぱりかぁ。てかそんなもん騎士様の仕事だろ。
「何故俺達が?それは騎士の仕事でしょう。」
「いや、我が聖騎士団も幾度か討伐に出ておるのだが、ことごとく返り討ちに合っておるのだ。情報によると、この辺りの盗賊団が一つに纏まり、その数は二千を超えると聞いておる。もはや騎士団だけでは対処が難しい。力を貸してはくれぬか?」
―なんだそれ。大層な名前の割りに大した事ねーな。それこそ俺達の仕事じゃねーじゃん。
俺は少しイライラしながら聞き返した。
「話が見えてこないんだけど、それこそ軍を動かせば良いのでは?どう考えても冒険者個人に頼む内容じゃないと思うんですけど。」
「無理を言っておるのは承知しておる。おぬしが言う事ももっもとじゃ。しかし今は軍を動かす事ができぬのだ。」
―はぁ?良くわかんねーなぁ。この国の騎士って、そんなに数がいないのか?
俺達はその後、細かく説明を受けた。
まず、盗賊団は『百鬼』と名乗っていて、名前の通り百程あった盗賊団が一つに纏まった物だそうだ。
そして、今この国は他国から狙われていると言うこと。近隣には大小いくつかの国があるが、主に大国である『ソル王国』、『アストラ帝国』、『ルナ皇国』の三国が争っている。
三国とも力が拮抗しているため、今でこそ大きな戦争は起こっていないが、国から下手に軍を離すと攻めいられてしまう可能性があるとの事だ。
そこで、
「ここのところ、『百鬼』共は動きが活発になってきておる。近隣の村や町、通りかかる商人を襲って金品を強奪したり、若い女や子どもをさらったりしているそうだ。早急に手を打たねばならぬのだが、軍は動かせてもせいぜいが五百から千。それではまた返り討ちに合ってしまう。」
―それで力のある冒険者が必要と。この国には冒険者自体もそんなにいないみたいだしなぁ。
「…けど、それだけの数とミユがいれば俺達は必要ないんじゃないか?そもそも、俺達以外にも腕の立つ奴は他にもいるだろ。」
ミユのLvははっきりとはわからないが、上級竜を一人で倒してしまう実力はある。
いくら数的に不利だとしても、盗賊団にそこまでの纏まりがあるとは思えないし、報酬を出すなら引き受ける者もそれなりにいるだろう。
俺はふと疑問に思ったことを口にした。すると国王がそれに答えてくれた。
「いや、その勇者殿の推薦でもあるのだ。おぬしが手を貸してくれるなら必ず討伐できると。」
―ええ?!どうしちまったんだ?おまえは本当に俺の知ってる女勇者なのか?!
俺は意外な事を言われて、思わずミユの方に振り返った。
するとミユは顔を背けるように違う方を向いて口を開く。
「か、勘違いしないでよね!貴方達の事はまだ疑っているけど、実力は認めてるってだけの話よ。」
―…なんで怒ってんだよ。まだ何も言ってねーよ。
「そんな顔真っ赤にしてまで怒らなくてもいいだろ。不本意なのはわかるが…。」
「なっ…!赤くなんてなってない!ぶっ殺すわよ!」
―なんなんだよ、こえぇよ。
「主殿。この依頼受けてみてはいかがか?」
俺がミユの反応に困っていると、不意にリトラが俺の肩をつつき、声を掛けてきた。
「急にどうしたんだよ。」
「いや、最近身体が鈍ってきているような気がしまして。少し身体を動かしたいなと。」
―あぁ。つまり暴れたい訳ね。
「私も賛成ですね。槍は振るっておかないと勘が鈍りますから。」
―あぁ、リオまで。俺は出来る限り平穏に暮らしたいのに…。けど女勇者には、リトラの事を黙ってもらっている貸しもあるしなぁ。
「はぁ…。わかった。なら俺達も参加しよう。報酬も出るみたいだし、久しぶりに身体動かすか。」
「おお!引き受けてくれるか!ではよろしく頼む。良い結果を期待しておるぞ。」
俺がそう言うと、国王は身を乗り出し、大いに喜んだ。
こうして俺達はミユと騎士団五百名とで、盗賊団討伐作戦に参加する事となった。
その決定に
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