第2話 レベルだのスキルだの
「…異世界?…ここは日本のどこかじゃないのか?!」
俺は混乱してそんな事を聞いてしまった。だって普通ならありえないだろ?
でも目の前に生きてる本物の龍いるし。
「ふむ、論より証拠。『ステータス』と唱えてみるがよい。」
「『ステータス』?」
俺はシンが何を言ってるのかわからず、なんとなく復唱した。
すると目の前に、ウィンドウ画面のような物がでてきた。
ショウ (ヒューム) Lv 7 ジョブ なし
HP 956/2300 MP 2300/2300
攻撃力 250 防御力 230 魔力 260
器用さ 240 素早さ 140 成長度 10
耐性 毒Ⅰ 麻痺Ⅰ
スキル 気配遮断Ⅰ
EXスキル
見たところでこれがなんなのか、よくわからん。ゲームでいう能力値ってところか?
スキルの『気配遮断』ってのはなんとなくわかるんだが、EXスキルの『悪食』って…、あの『悪食』って意味だよな。人をゲテモノ食いみたいに。勘弁してくれよ。
「どうだ。異世界にきた実感が湧いてきたであろう。それがおぬしの能力だ。それにしても、ショウよ。おぬし変わったスキルを持っておるな。」
「…まぁ、シンさんの姿を見れば、元いた世界じゃないってのはなんとなくわかるよ。それで、この『悪食』ってのは何なんだ?」
そう言った俺にシンは少し笑いながら質問に応えてくれた。
「フム。それもそうだな。おぬしの世界に我の同胞はおらぬそうだからな。それで、スキルの事だが、それは対象を喰らう事で能力を吸収するスキルだ。過去に一度だけ見た事がある。『気配遮断』もさっきの飯に入っていた魔物の能力を吸収したものだろう。」
―ふーん。思ったより便利そうだな。だけど食べなきゃいけないのか。なら問題は味だな。調理次第でなんとかなるか…?
そんな事を考えていると、シンが続けて口を開いた。
「転移者、転生者は前の世界での生活が反映されると聞く。おぬし、一体どんな生活を送っておったのだ?」
シンが少し笑い気味で言っているのが、なんとなくわかる。
「…別に普通さ。生きるために食って寝る。また食べる。そんな毎日だった。」
―そうだろうなと思った。まぁ、俺にとっては普通の事だったし。けど、欲を言えばもう少し…。
俺はそれ以上、過去を思い出すのをやめた。
「まぁ、でも変な物食ったりしてたかもな。」
「そうか。」
シンは何かを察したのか、それ以上俺の過去について聞いてこなかった。
「ところで、このステータスはどうなんだ?やっぱり弱いのか?」
俺はまたシンに聞いてみた。
こうゆうのは異世界召喚ならではのボーナスがあるはずだ。いわゆるチート。レベルが上がりやすいとか、隠された能力とか。
どうせ、あのまま元の世界で生きていたって、何もなかっただろうから。新しくやり直せるなら、ちょっとくらいワクワクもするだろ。
俺は少し期待しながらシンに聞いてみた。
しかし、シンからはあっさりとした返答がきた。
「クソだな(^^)」
―…あ~、やっぱりか~。そんな気がしてたんだよ。『悪食』以外、コレと言って特徴ないもん。
「スキルの『悪食』以外、特に良いものはない。ステータスも特別高い訳ではないしな。」
―まんま俺が思ってる事言いやがった。
「だが、それは現時点での話だ。この先、おぬし次第で化ける可能性は充分あるぞ。」
―お?なんか嬉しい事言ってくれたぞ?
ーーーーーー
その後、シンは色々と説明してくれた。
まずLvについて。
これは戦闘するだけでも上がるそうだ。相手を殺せばプラスで経験値がもらえるらしい。これは魔物に限らず、相手が人間でも適用される。
つまり、ただの稽古でもレベルは上がる。
まぁ当然か。稽古で強くなれないなら、殺し合いするしかなくなるもんな。
次にジョブ。
これはいわゆる職業。戦士とか魔術師とかそんなんだ。 なりたい職業を自分で決めて、神に祈る事で恩恵として授かるそうだ。
ジョブを選んでLvを上げれば、そのジョブ特有のスキルを覚えられる。
ちなみに農民なんかの非戦闘職は作業すればLvが上がる。だが、非戦闘職は命がかからない分、Lvが上がり辛いらしい。
ちなみにジョブをある程度まで極めると上位職になれるらしい。
次にスキルと耐性の後についてる数字。
これはスキルLvと耐性Lv。
数字はⅠ~Ⅹまでの10段階。数字が大きくなるにつれて、性能も上がる。
スキルは使う程、耐性は受ける程、Lvが上がるそうだ。
EXスキルはスキルの上位互換で、スキルLvをⅩまで上げると希に変化するらしい。
―ますますゲームだなぁ。そういえば二人のLvはどれくらいなんだろう。
俺は気になったので聞いてみた。
「ちなみに、シンさんとリオさんのLvはどれくらいなんだ?」
そう俺が聞くと、シンさんはフフンと鼻を鳴らし応えた。
「知りたいか?」
「知りたいわさ。てか俺のだけ見てズルいだろ。」
「しょうのない奴よな。我のステータスは見せられんが、リオのは特別に見せてやる。よいな?リオ」
リオは小さくコクッと頷いた。
シンは、リオが頷いたのを確認して、俺の目の前にウィンドウ画面を開いてくれた。
リオ (???) Lv 263 ジョブ
HP 25890/25890 MP 32160/32160
攻撃 3560 防御 2480 魔力 3480
器用さ 2540 素早さ 3270 成長度 9.2
耐性 毒Ⅹ 麻痺Ⅶ 魅了Ⅸ 混乱Ⅶ 暗闇Ⅹ 火Ⅶ
水Ⅷ 雷Ⅵ 土Ⅸ 風Ⅹ 冥Ⅵ 聖Ⅹ
スキル 槍術Ⅹ 隠蔽Ⅷ 風術Ⅶ 偽装Ⅷ
体術Ⅸ 威圧Ⅶ 気配察知Ⅸ 空間術Ⅴ
EXスキル 龍眼Ⅵ 神聖術Ⅸ 隠密Ⅶ
加護 龍神の加護
…いやいやいや。リオさん強すぎでしょ。スキルと耐性めっちゃあるし、全体的なLvも数値も俺と桁が全然違う。これなら俺のステータス見て『クソ』って言うのもしょうがないわな。
「それで、なんでシンさんは見せてくれないんだよ。シンさんはリオさんより強いんだろ?」
「当然だ。我は龍神、神の一柱だぞ。しかし神故に他者には見せられぬのだ。すまぬな。」
シンはそう言ってリオをチラッと見た。
「…ショウ様。シン様の御力に比べれば私の力等、虫ケラ同然です。ですが、御神の方々は無闇に御力を見せられないのです。どうか御理解下さいませ。」
淡々とリオがシンの代わりに話し出した。
―神様にもなれば、色々とルールもあるか。まぁ、気にならないと言えば嘘になるが、どうしても見たい訳じゃないし。それに、さっき俺も自身の過去についてはぐらかしたしな。
けど、リオさんが虫ケラなら俺って一体…。
「はは…。まぁ、決まりならしょうがないな。わかったよ。」
なんだか虚しくて、それ以上聞けなかった。
「わかってもらえたようで良かった。それよりショウよ。おぬしにコレをやろう。」
シンはそう言うと、俺の目の前が光出した。
かと思うと、光はどんどん小さくなっていき、一着の服になった。それも上下セット。
俺は一瞬なんで服?と思ったが、身体がやけにスースーする事に気が付いた。
「?!?!?!」
「いつまでもその姿のままでは不憫であろう。」
ニヤニヤしながらシンが言う。
―うぉぉっ!全然気付かなかった!
なんで丸出しになってんだよ!てか知ってたんなら早く言ってくれよ!
…て、あれ?ちょっと待てよ?ここまで運んでくれたのは確か、リオさん、だよな…?
そう考えた瞬間、俺はとても死にたくなった。
「…リオさん、少し向こう向いてて頂けますか…?」
俺は半泣きでリオにお願いした。
「御気遣いなく。」
確かにもう見られてしまっているけども!
いや、そうじゃなくて!リオさん、そんな冷静な顔でこっち見ないで!てか俺に気を遣って!
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