魔王との戦い・その8
衝撃の事実に叫ぶ
当然それは、戦い続けている――すでに一方的なものになっているのだが――
強さは本物の魔王と同じ分裂体だったが、それを動かす術を勇者は知らない。だから、次々と狂戦士に倒されていく。
一方、
その状態で届いた情報。それは二人に同じ言葉を叫ばせていた。
――『すぐに入れ替えろ』と。
「でも、どうしよう……。このままだと、
「ハンハーンのお告げで確認すればよかろう――」
「それはもう――」
「それはダメだよ、爺さん! それじゃあ爺さんの蘇生に使えないよ。今回はワタシの持ってた
「なんと! そんな便利なものがあったのか⁉」
「切り札ってのは、最後まで隠すのが常識だし。でも、もう無いけどね」
女僧侶を睨んで話をさせない
何かを察し、
その微妙な感じを、老魔術師は気づけなかった。
「妖精よ、儂はそなたを誤解しておった。いつもイチゴのパンツをはいておるお子様だとばかり思っておった……」
「見境ないわね……、このエロ爺……」
女僧侶の侮蔑の視線を浴びながらも、老魔術師はニヤリと笑顔で応えている。だが、状況はますます悪くなっていた。
狂戦士が最後の魔王の分裂体を倒して、本体に向かって進んでいく。
「爺さん! 今だよ! 魔王を固定して! 半々で十分! 元に戻るよ!」
「いや、半々では……」
「何よ? ハンハーン様を侮辱するつもり⁉」
戦いに関しては素人同然だが、強さはある
その攻撃に対して、一応体が反応していた
その武器の軌道を読んで防ぐ
だが、
ただ、それとはまったく違うところから叫びが上がる。『今の自分の体』の傷よりも、『元の自分の体』の傷に叫ぶ
「ほら、早く
「いや、じゃから……」
「爺さん! またなの⁉ もう! だったら、後でその女僧侶の体を触ってもいいから! 何なら、もっとすごいことしてもいいから! 燃え尽きちゃって!」
「なっ⁉ ちょっ、妖精ちゃん⁉」
その一言が効いたのだろう。再び神代魔法を唱える老魔術師。心なしか、さっきよりも気合が入っている。
堂々とした詠唱の最後、老魔術師は女僧侶を嘗め回すように見つめていた。その体が。灰になって崩れるまで――。
――ただ、その効果は確実に現れる。妖精族以外の者達を順番に包み込む、光の明滅を伴って。
そして、最後に二人を包み、光がその二人を繋いでいく。
しんと静まる魔王城。眩さに目が慣れた頃、そこに絶叫がこだました。
「何⁉ ちょっと⁉ え⁉ 何⁉ えー‼ あっ! あたしー! なんで服を破くの⁉ こら! 見るなー!」
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