魔王との戦い・その6

 それからも、何かと渋る老魔術師。だが結局、『あと二回蘇生が使える』という言葉で、渋々使う事となっていた。


 妖精交渉上手な妹の言葉に従い、魔法を唱えて死ぬ老魔術師。


 老魔術師の唱えた神代魔法『霊質変換』――その効果は魂の入れ替え。それは魔王といえども抵抗ず、その効果は速やかに発現した。


「何⁉ 何だ⁉ この貧弱な肉体は!」

「ちょっ! 狂戦士! 待て! 僕はお前の主人だぞ! あっ、僕じゃない僕が⁉」


 ただ、何故か勇者と魔王を入れ替えていた。


「女僧侶くん! 早く爺さんを! うわっ! 狂戦士! ああ⁉ あっ、これも僕じゃない⁉」

「おい、何をした⁉」


 魔王中身は勇者に向かい、詰め寄る勇者中身は魔王。その隣で、狂戦士は雄たけびを上げていた。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る