妹の勇姿をつぶさに見てきた私の話を聞くがいい!
魔王を倒すために、その勇者は召喚された。
最果ての地にあるといわれる魔王城。
誰も見たことのないその城は、こつ然とその姿を現していた。
空に映し出されたおぞましい城。
それと共に現れたその姿。それは見た者達に共通の理解を植え付けていた。
――破壊をもたらす者、すなわち魔王。
魔王の宣戦布告が終わるや否や、おびただしい数の魔物の群れが進軍を開始する。
当然人類は抗うものの、その数と力は脅威だった。いくつかの国が滅んでいく中で、生き残った人々が出来る事は願うのみとなっていた。
――天よ、どうか我々をお救い下さい。
その祈りが天に届いたのかは定かではない。だが、その祈りを現実にする者が降臨する。
――勇者として。
勇者召喚はその王国の姫の命と引き換えに行う召喚術。『強さが数値化されるこの世界において、どれか一つの力が最強の者を召喚する』というその王家にのみ伝わる秘術中の秘術。
ただ、この召喚術には欠点があった。最強の者を召喚するが、何が最強なのかは召喚されてみないとわからないという――。
そして、勇者は召喚された。まばゆい美しさと共に――。
まさに、美しさに関しては最強。あまりの神々しさに、見惚れて卒倒する者すらいるほどに……。
まさに、美しさが最強である証。そして人々は絶望を知る。
この勇者が、戦う上で最も重要な『総合的な強さの指標が最弱』ということを。
そう、生まれたての赤子同然の『レベル1』という事実に……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます