第3話 地獄絵図でした

 私は幽閉棟を出てお城の方へと向かった。

 その際、兵士の死体を何体か見たけど、肉は千切られ骨が見えていた。

 心の中でご冥福を祈って私はお城に入った。

 大広間に行く途中ではメイドや執事の死体があった。

「爪痕が酷いわね……、かなりえぐれているわ」

 結構自分でも冷静に見えているのにも驚いている。

 理由は簡単で見慣れているからだ。

 我が家の領地は森に囲まれていて昔はよく動物の遺体を見た。

 そして、私はアウトドアが大好きで森で野営もした事がある。

 流石に人間の遺体は見た事無いし魔物も見た事無い。

 恐る恐る歩きながら大広間にやってきた。

「正面は多分逃げようと思って人が大勢押しかけている可能性があるわね……」

 私は横の入り口から大広間へと入った。

「うわぁ……」

 正に地獄絵図とは正にこの事を言うのだろう。

 遺体が至る所にあった。

 上を見ればガラスが割れている。

 多分、天井から入って来たんだろう。

 魔物は人間の肉が大好きだと聞いた事がある。

 しかも、ただ襲うのではなく弱らせてから襲う、という。

 遺体の大半は骨が見えていたり、爪痕があったり明らかに牙の跡がある。

 そして床は真っ赤に染まっていた。

 誰が誰だかわからない状態だ。

 顔が分かる人もその表情は恐怖に染まっていた。

 私はとりあえず身内の遺体を探した。

「あぁ、多分アレだわ」

 私は見覚えがある服を見つけて顔を確認した。

 やはりお父様だった。

 お父様の遺体は全身が大きく捻じれていた。

 その他の身内の遺体を私は探した。

 お母様は見事に胴体真っ二つになっていた。

 妹はでわかったけど頭は無かった。

 王太子様に至っては全身がズタズタに切り裂かれていた。

「しかし、なんでこのタイミングで起きたのかしら……?」

 私は今回のこのスタンビートにちょっとした違和感を感じた。

 余りにタイミングが良すぎるのだ。

「もしかして意図的に誰かが起こしたのかしら」

 だとしたら敵対国とかこの国に恨みのある者の仕業かもしれない。

 私? 論外だ。

 婚約破棄されるとは思ってなかったしそもそもそんな力を持っていない。

「このまま此処にいてもしょうがないわね、この国から離れましょう」

 

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