遊戯神のお気に入り

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 名前:オルグィウス

 年齢:15才

 職業:魔銀級冒険者

 称号:(隠蔽中一部公開)【白鯨王殺し】【黒影狼王殺し】【歩く災害】『見えるよ♪』

 備考:(隠蔽中)

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 こいつはまだいい。

 えげつなッ!って感想が出るくらいだ。いや、【王殺し】と【歩く災害】って・・・

 バグキャラ?

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 名前:フィフェ

 年齢:9才

 職業:黄金級冒険者

 称号:【炎天の主】

    【はぐれたもの】【群れ殺し】【炎の暴れ者】【炎を越えし者】【真愛の使者】【慈愛神のお気に入り】【相互依存夫婦:嫁】『見えるよ♪』

 備考:(隠蔽中)

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 フィフェもフィフェで驚いた。あの豚の能力から外れたと思ったら、三つも増えてるし。

 エイトから聞いたところによると、四つ以上の後天性称号を持ってればスゲー奴らしい。

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 名前:犬山・トーゴ

 年齢:10才

 職業:青銅級冒険者

 称号:【犬の牙】

    【はぐれたもの】【遊戯神のお気に入り】【たった一人のヒーロー】【相互依存夫婦:夫】『見えるよ♪』

 備考:(隠蔽中)

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 そもそも、『見えるよ♪』って何だァーーー!!

 音符うぜぇ!!

 俺はいつ遊戯神のお気に入りになったんだよ!?

 「んだ、これはよ!!」

 「見てなかったのか?」

 「あったりめーだ、こんなもん。簡単に称号は手に入らんって聞いたのにさ、何なんだコレェ!」

 「すごい、神名称号だ・・・」

 「はぁ?」

 ベインルの奴、よー分らんことをほざきよる。

 「お主等面白いのお。二人で遊戯神と慈愛神のお気に入りとは。トーゴはよほど面白かったのじゃろな」

 マスターよ、蛇のくせに。

 「お主、今、蛇であることを馬鹿にしたじゃろ」

 何故分かる!?

 「私より、トーゴが凄いの」

 いや、フィフェは可愛凄い!

 「うっとおしい!一旦惚気合うの止めろ!」

 いや、すまん。そんな髪を逆立ててまで怒るなよオルグィウス。

 取り敢えず、詳細だ。詳細見るの大事。

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 【白鯨王殺し】・・・獲得条件;後天性称号【白鯨王】を持つ者を殺すこと。効果;瞳が銀色になる。

 【黒影狼王殺し】・・・獲得条件;後天性称号【黒影狼王】を持つ者を殺すこと。効果;瞳が銀色になる

 【歩く災害】・・・獲得条件;特に悪意無く都市破壊級の破壊行為を引き起こすこと。効果;隠密行動が出来なくなる。

 『見えるよ♪』

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 「オルグィウスよ、お前何したんだ?」

 「いろいろ」

 そりゃな!なんかえげつなさそーな称号だもんな!ただ、音符うぜぇぇぇぇ!!!!

 何なんだよ!取り敢えず、検索エンジン!・・・古いか。

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 【白鯨王殺し】・・・獲得条件;後天性称号【白鯨王】を持つ者を殺すこと。効果;瞳が銀色になる。

 『こいつはやべぇ、白き氷を司る鯨の王がやられた!皆のもの、撤退だァ!———海辺の町の大海蛇』

 【黒影狼王殺し】・・・獲得条件;後天性称号【黒影狼王】を持つ者を殺すこと。効果;瞳が銀色になる。

 『こりゃ、参った。黒影の狼すらこいつの足元にも及ばないとはね。———森の賢者』

 【歩く災害】・・・獲得条件;特に悪意無く都市破壊級の破壊行為を引き起こすこと。効果;隠密行動が出来なくなる。

 『こいつはダメだ。のさばらせたら、世界が滅んじまう。———ある町の衛兵』

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 フレーバーテキストぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!

 

 「マジかよ!」

 「どうした?」

 「いや、おっさん。今フレーバーテキストが!」

 「ああ、【遊戯神のお気に入り】の効果だ。良く分からんが称号に付随して見えるモノがあるらしい」

 マジか、マジかよ、マジなのかよ。

 流石に遊びすぎだろ、遊戯神!

 けどおもしれーから、オールオッケー!

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 【炎天の主】・・・個性称号。効果;自身周辺の熱力を強制暴走。一定温度以上の攻撃を吸収。成長による吸収上限上昇可能。『炎』属性を得る。

 『可哀想な子・・・母は貴女を見守っていますからね。———少女を愛する母』

 【はぐれたもの】・・・獲得条件;群れを成す性質の『獣』属性を持ち、群れから出る、出されること。効果;信頼する者が周りにいる時、能力三割上昇。いない場合は一割減少。

 『たった一人で生きる。それは辛いことなのだ。―――亡国の怨霊騎士』

 【群れ殺し】・・・獲得条件;自身の属した群れを崩壊させること。効果;信頼されにくくなる。

 『奴は、群れを、己の育った群れを滅ぼしたのだ!厄災なり、厄災なり!其れは怖ろしきものなり!———騒ぎ立てる情報通』

 【炎の暴れ者】・・・獲得条件;『炎』属性を持ち、炎の力の暴走で生命を殺すこと。効果;『炎』属性の攻撃に威力上昇補正が掛かる。

 『炎―――――それは暴れる者。———冥獄の書第三章<呪炎>』

 【炎を越えし者】・・・獲得条件;『炎』属性の暴走を抑え込むこと。効果;『炎』属性の習熟。

 『彼の者は、炎を越えた。怪物と呼ばれても、バケモノと恐れられても、戦い続けた彼の者こそが、超越者だ。———偏屈なる仙人』

 【真愛の使者】・・・獲得条件;【過剰なる愛】を愛を見つけて失うこと。効果;愛する者との念話を可能にする。

 『貴方は、真なる愛を知るのですね。———ある日の慈愛神』

 【慈愛神のお気に入り】・・・獲得条件;慈愛神に気に入られること。効果;愛を感じる相手への称号効果を倍増させる。

 『いいです!とってもいいです!その愛、私にぷりーずもあです!———あくる日の慈愛神』

 【相互依存夫婦:嫁】・・・獲得条件;恋人同士で相互的に依存しあうこと。女性であること。効果;効果の対象が見える範囲にいないとき全能力五割減少、いる時は全能力倍増。

 『面白いね、面白いよ!もう夫婦でいいんじゃない?———遊戯神の悪戯心』

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 最後三つどうした?

 雑んなって来てない?

 あくる日の慈愛神って何さ。駄女神100%じゃねーかよ。

 びっくりするぐらいには訳分からん効果なんだが。

 念話の倍増って何だ?いや、マジで。ま、俺のも見るか・・・

 何かヤだなァ・・・

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 【犬の牙】・・・個性称号。効果;『猫』系統の属性を持つ敵に対するとき、全戦闘能力11ワンワン倍増。

 『その時、犬と猫の大戦が始まった。―――犬猫大戦』

 【はぐれたもの】・・・獲得条件;群れを成す性質の『獣』属性を持ち、群れから出る、出されること。効果;信頼する者が周りにいる時、能力三割上昇。いない場合は一割減少。

 『たった一人で生きる。それは辛いことなのだ。―――亡国の怨霊騎士』

 【遊戯神のお気に入り】・・・獲得条件;遊戯神に気に入られる。効果;遊戯神の定めし秘奥フレーバーテキストを見ることが出来る。面白い行動から後天性称号を生み出すことが出来る。 

 『キミに決めた!———遊戯神』

 【たった一人のヒーロー】・・・獲得条件;一人だけを助け、他人を貶めること。効果;助けた一人と近くにいる時、成長力向上。

 『キミが、ヒーローだ。彼女にとってはたった一人のヒーローだ。———ある日、ある場所の脇役』

 【相互依存夫婦:夫】・・・獲得条件;恋人同士で相互的に依存しあうこと。男性であること。効果;効果の対象が見える範囲にいないとき全能力五割減少、いる時は全能力倍増。

 『面白いね、面白いよ!もう夫婦でいいんじゃない?———遊戯神の悪戯心』

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 うん。

 俺さ、座右の銘が『犬は撫でる、猫屠る。』なんだわ。

 おもっくそ被ったなー。あっはっはっはっは!

 一つ言いたい。

 遊戯神絶対、異世界知ってるだろ!!

 【お気に入り】のフレーバー、絶対アレじゃん!

 ポケットに入る可愛めの怪物じゃん!!虹色のでっかい鳥飛ぶ映画だよね!?

 犬猫大戦って何?参加して良いんなら飛びいるぜ!?

 「どんなの書いてあるの?」

 「ん?んー・・・んんん・・・」

 何て説明すればいい?

 「お主、念話能力あるじゃろう。それで映像を送ればいいだろう」

 「どーやんだ、それ?」

 フィフェのためなら頭を下げることもやぶさかではない。

 「即断じゃのお・・・」

 「この二人、馬車の中でも歩いとってもずっとこれだったぞ。儂、何度空気になっただろうか・・・」

 ファーザーの吐く溜息は、なんだか、土に埋まりそうなくらい重かった。

 「俺も見てぇな。教えろや、小僧」

 オルグィウスよ、てめーには念話ができん。

 「いや、口で言えばいいだろうが」

 それもそうか。

 と、いうことで口で喋った。

 別途フィフェに情報を渡しつつ。

 結果。

 

 「はっはっはっはっはっはっはっはっは!!」

 

 オルグィウスの爆笑が響いていた。

 すこぶるうぜぇ。

 

 そんなこんなで一日は過ぎる。

 真昼間から酒を飲んでるのはどうかと思うが、まぁ、いい。

 自由で楽しそうなクランに、俺、犬山・トーゴは加入した。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 黒き若狼が終生の住処と決めたクランに加入した、その日。

 知らぬモノがいない、そんなモノたちが集まっていた。

 

 そこは、不可思議で矛盾に塗れた空間だ。

 

 円卓の中心に置かれた蝋燭だけがそこを照らすものなのに、まるで真夏の太陽の下であるかのように明るい。

 壁は、あってないようなものだ。

 全面ガラス張りもどきとでも言いたいのか透明な何かが六角形に区切っている。

 そもそも、その場にいるのはたったの四柱。

 円卓に座っているのなんて、一柱だけだ。

 鮮烈なまでの緋色の髪と鈍く輝く金の目が激しく主張するその一柱は、見た目だけなら少女だ。

 斜めにフリルが入ったゴシックロリータ調のドレスを完全無欠に着こなすその姿はあどけない容姿に反して、威厳が滲み出ているようだ。

 「ふぅ・・・こうも難儀するとは思わなんだ。わらわとて忙しいのだが?」

 疲労感と憂鬱さを煮詰めて蜂蜜を交じり合わせた様な不思議な声音が少女から飛び出す。

 不機嫌そうにも聞こえるがそうでもないような、そんな声だ。

 「そう難儀と言うほどでもないでしょう。私と貴女にとっては」

 少女に答えたのは、少女の右隣にいる、巨鳥。

 朱色の鬣に黒緋の羽毛、羽毛と同色のくちばしに真紅の尾羽、金の瞳が輝く神の鳥とでも言うべきそれは、あくまで紳士的に少女に答える。

 其の巨躯は亜竜が一種である海竜ナーガすら食い殺すと言われる

 人類種が見れば心臓を止める程度には脅威だ。

 ―――――その種の名を、迦楼羅カルラ

 「童には難しくないから面倒なのだ。この阿呆共の後始末も大変であるし、まぁ懲りもせずに向かってくる愚か者共が童の国に侵入はいって来るでな」

 「それは大変ですね。私の住処には来れる者も居ないので問題ありませんよ」

 「そこだけは羨ましいかも知らんな・・・」

 心底憂いているというように首を小さく横に振る少女を見て巨鳥は苦笑いだ。

 「俺はつまらんがな。最近じゃァ遊び相手も碌にこん。俺確か、特級災害指定種とかいうのだったはずなんだがなァ」

 つまらんつまらんといいながらも笑い続けているのが白の竜だ。

 少女の左隣に胡坐をかいており、窮屈そうに翼をしまっている。

 六竜種のうちの一つであり、最も好戦的で狂暴。悦楽に身を任せることが多く、冒険者ギルドの基準において優先討伐種にあげられる唯一の竜、白轟竜。その基本討伐目標エネミーランク魔金級ライフェル。そんな竜であり、その中でも強い力を有していると断言できるほど強烈な覇気を迸らせて笑うこの竜のギラつく金瞳は、何も考えていないのが明け透けだった。

 「もう少し考えよ、馬鹿者が」

 少女に叱責されようと気にすることなど一つとない。そう言わんばかりの大笑をもってはねのける。

 と、同時に笑うのは最後の一柱。

 鍬形虫の顎と、兜虫の角を併せ持つその巨大なる甲虫はギチギチと音を鳴らして笑う。

 発達した、蒼穹のように澄んだた、蒼鋼を思わせる鎧のごとき外骨格は、戦う時にどれほど堅いのだろうか。

 「ワレノ所ニハ、獣共ガ挑ンデクル故遊ビ相手ニハ事欠カンゾ!」

 少し聞き取り辛い音だが、ここにいる誰も聞き取れないような五感の持ち主はいない。

 その程度のモノでは、この場の空気を吸うことすら重苦しく感じるだろう。

 戦いに重きを置く鎧蟲と白竜は盛り上がり、話の進まないことに少女は溜息を吐き、巨鳥は上品に苦笑いをする。

 



 「さて、そろそろ本題に入るぞ。この度の勇者共は三人。だが、我等は四人。は歓迎すべからざる事態ではあるな」

 

 

 誰かは知っているだろう場所で、誰もが知っている超常の存在達の会議が始まる。

 瘴気に侵された金瞳の【王】たち。それをヒトは、〝瘴気の狂くるいがみ〟と呼ぶ。

 

 ―――――【悪魔王】にして、【瘴気の狂】。ルシファー・フレシャルタ。

 一つの大陸を統べる緋色の少女は溜息を吐く。金の瞳は変わらず鈍い。

 ―――――【朱雀】にして、【瘴気の狂】。紅朧アケノオボロ

 全ての鳥の頂上に立つ迦楼羅は一つ息を吐くと少女の援護に回る。金の瞳は神々しく輝く。

 ―――――【白轟竜王】にして、【瘴気の狂】。ジーラス。

 白と雷を司る竜の王は楽しむがままに笑う。金の瞳は澄んで明るい。

 ―――――【鋼鎧蟲王】にして、【瘴気の狂】。ラグ=ドードス。

 堅き鎧を持つ蟲たちの皇帝は強き相手を待って身を震わせる。金の瞳は強く激しく。

 

 

 かつて、遊戯神は七十七万七千七百七十三の後天性称号ライセンスを作った。

 後四つ作ろうと思ったが、出てこない。

 そこで頼ったのは

 そして―――――――――――自由奔放を体現する遊戯神唯一のに残した。

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