第24話

……シャワーを浴びて体をすみずみまで拭く。

あたしは鏡の中のあたしを見る。


はぁ、よかったぁ。まだ人間に見えるよ。

ピンク色が流れ落ちた裸体を眺めながら安心する。


でも、正直、粘液まみれになっているのも、嫌いじゃないんだ。

だけど、さすがにときどき洗い流さないと、

部屋中がぬるっぬるになってすべっちゃうから、

一日に三回、シャワーを浴びることにしてる。


それにしても、さむっ! ぬるぬるがないと冷えるな―。


服を着終わったとき、玄関の扉が開く音がした。

あれ、おにぃ? やけに早いお帰りだ。

でもおにぃは「ただいまー」も言わない。

あたしがリビングに行くと、廊下の向こうの、あたしの部屋の戸が閉まるのが見えた。


「ちょ、ちょっと、おにぃ! 勝手にあたしの部屋入らないでよ!」


さっきまでオナニーしてたから、ベッドがティッシュだらけなのがバレちゃうう。

だって、バージン・ウィルスにかかってから、むちゃくちゃいやらしい気持ちになるんだ。

あそこを指でいじくって、こね回して、くちゅくちゅして、枕に押し付けて、


「あん、あん、あぁん! い~っもうっ……いくいく、いっちゃぁう! あふぅっ! あひあへぇっ! ほあぁん!」


ってわざと喘いでみたら、自分の声でますます興奮して、

今日も十回もイッちゃったゾ💛


「ちょっと、おにぃ! 聞いてるの?!」


部屋の中から音楽が聞こえてきた。


♪ひっかる くーもをつきぬーけ ふぁいあうぇーーーーー♪


えっ? えっ? 

なんでおにぃってば、あたしの部屋でアニソンかけてんの? バカなの?


「もおっ! ほんと何してんのよ!」


勢いよくドアを開けたあたしは、心臓を撃ち抜かれたかと思った。


「俺様に向かって、よくそんな口が聞けるな」


低く不機嫌そうな声。

目の前に後姿で立っているのは、

ブルーの薄手のスーツの上に、白の戦闘服ジャケットを着て、

白の手袋とブーツを身につけた、あたしの初恋の……。


「はっ? えっ? な、なんでベ、ベ、べ、ベジータ様があたしの部屋にいるのーーーーー?!!」




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

『ひえ~! ベジータが出てくるなんて、オラもおったまげったぞ!

オラも若葉と一発やりてえなあ! 来週もまた、見てくれよな!』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る