第23話

ぶるるる、とポケットでスマホが震えた。すわ、若葉か?! とスマホを見ると、知らん番号だ。


「あ、西澤若葉ちゃんのおにぃさん? 印部病院の松岡ドクターだけど」


俺はみゆきに会話を聞かれないように休憩室を出た。


「それで? バージンの妹ちゃんには施術した?」


「そのですね……あれから若葉の症状が第二段階に移行しまして」


「なるほど。それは憂慮すべきだな。で?」


「……や、やりました!」


「何発?」


「それが……まだ一発ですが」


「う~む……第二フェーズへの移行期間が短すぎるな……しかもたったの一発……2ml……となると、今日明日にも、容体が急変しても不思議はない」


「えっ? ちょっと待ってくださいよ!」


全身からサーっと血の気が引いた。

残るはPHASE3のみ。

内臓が腐乱し甘い臭気を発するという最終段階。そこまで悪化したらもはや打つ手はない。


強いめまいに襲われ、床にしゃがみこんだ。


「なんてこった……まさか、こんな早く……ハゲの俺がぐずぐずしてるから……!!」


「おにぃさん、まだ間に合うよ。性交は重要だけど、もっとよく効く施術があるんだ」


胸に希望の火が灯った。一言一句を聞き漏らすまいと、医者の台詞に集中する。


「子宮から内臓へとウイルスは広がっていく。それを食い止めるには×××を、患者に××××させて」


うおぉ! マジかーーーーー?!

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