第9話

あたしは待合室でスマホを取り出した。

もちろん「バージン・ウィルス」の情報を集めるため。

中野さんはなぜかあたしをのけ者にするし。


「えっと、バージン・ウィルス……延命するには……」


検索すると、おっ! 同じ質問を書き込んでる人がいる。


えーと、回答は……。


『セクスするとウィルスが増殖しないお!(^^)!』


えっ? 

やだやだ、なに、これ? ふざけてんの?


『俺のイトコちゃんがかかってこの俺にお声がかかりましたYO! まいにちむちゃくちゃセクスしてますYO!』


『ふざけないでください。まじめに聞いてるんです!』


質問者が怒ってる。

そ、そーだ、そーだ! 冗談きついぞ。( `ー´)ノ


『同じ話を私も聞きました。男友達が感染者のところに入り浸ってます。くわしくは教えてくれないけど、やっぱそーゆーことみたいです"(-""-)"』


ふえっ?


こんなバカな話あるわけ……。


『医療関係者っす。射精した直後の精液がバージン・ウィルスにてきめんってのはかなり信ぴょう性があってですね。変な噂が立つと困るんで大っぴらには言われないけど。もうすげーっすよ! 相手が見つかんなくて父親が娘をやっちゃったりとか(#^^#)』


ぐらっと地面がかたむいた気がした。 

心臓がバクバク暴れている。


ちょっとちょっとちょっとー、何これ?! マジでマジでマジでセックスしたら病気が進行しないってゆうのー?


「待たせたな、若葉」


「ふぎぃっ!」


おにぃが現れた。あたしはスマホをカバンに押し込む。


「お、遅かったねぇ! Rバージンってどんな内容だったの?」


おにぃの顔、まっかっかになってる。中野さんに何を吹き込まれたのよ!


「セック……ち、治療方法について詳しく説明してもらってた。これがいささか難儀でな」


真顔になってコホンと咳をする。


「ところでおまえ……もう十五だよな? 好きなやつとかいんの?」


やーめーてー!!!!!

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