第3話
テレビからニュースが聞こえてくる。
またバージン・ウィルスの話題だ。
国内での感染者は一万人を超えて。
治療法はいまだ見つからない。
バージン・ウィルスっていうのは、半年ほど前から世界的に流行し始めた新種のウィルス。
まだ治療法は見つかってなくて、感染すると、なんと致死率百パーセント!
このウィルスには特徴があって、思春期以降の若い女性たちの間でのみ
流行するんだ。
たまにおばさんとかもいるみたいだけど。
そう。なぜか処女しか感染しないんだって!
だからバージン・ウイルスって名付けられたの。
あたしの学校でも、感染したって子がいるとかいないとか。
だれだれはやってるからかからないとか何とか。
ちょっとおおやけには話題にしにくい病気。
だって処女かどうかなんて知られたくないじゃん!
体重を知られるぐらい恥ずかしいよ!
『ウイルス感染初期には、眼球が赤くなり、やや熱っぽくなることが特徴で』
アナウンサーが能面みたいな顔で口を動かしている。
そのとき、おにぃがじっとあたしを見つめてるのに気づいた。
「ど、どーしたの? あたしの可愛さに見惚れてんの?」
驚いて茶化すけど。
ちょっと……ほんのちょっとだけドキッとした。
おにぃは……まあ……そこそこのイケメンなんだよね。
後頭部は薄いけど。
「おまえ……瞳が赤くないか?」
「へっ?」
「……気のせいかもしないが」
それにしてはあまりにも不安で真剣な表情。
胸がバクバクしてきた。
バージン・ウィルス。
致死率は100パーセント。
そういえば、朝から、少しだけふらふらする、ような……。
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