第2話

おみおつけに白米に目玉焼き、キュウリの漬物。

目の前でおにぃが両手を合わせて「いただきます」って言う。

あたしもおとなしくまねをする。

おにぃはすっごく礼儀正しくて、厳しい。

で、あたしはめっちゃルーズ。

おんなじ家に育ったのに。

なんでこんなに違うかなぁ?


テレビではニュースが流れている。

今日の天気。晴れのち雨。

おにぃは真剣な顔でニュースを見てる。

洗濯物をお風呂場に干そうかなって考えているんだろうな。


会社員のおにぃと高校一年生のあたしは、二人だけで暮らしている。


両親は……二年前に事故で亡くなったんだ。

当時、おにぃはもう働いていた。

でも、あたしが転校しないでいいようにって、この街に移ってきて、仕事も見つけた。


それだけ聞くと優しい人だなって思うよね。


でも--


「おい、口が動いてないぞ。食べながら寝てんのか? だいたいおまえは夜更かしが過ぎる。スマホもほどほどにしとけ」


もー、ほんとうっさいなぁ。


「そんな遅くまで起きてないもーん。それにスマホいじってたんじゃなくて宿題してたの」


「へー。笑い声が聞こえたけどなぁ」


「きもっ! 変態! 妹の部屋の前で耳を澄ませてたんだ!」


「おまえのバカ笑いがデカすぎんだよ。壁が震えてたぞ」


ほら! おにぃはとにかくうるさいんだから! 保護者を気取るのもほどほどにしてほしいよね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る