処女毒液

水素水

第1話 

「いやぁ……お願い……あ……だめ」


あたしの声からどエロい声がおしっこみたいに漏れる。

だけど彼は容赦しない。

バッ、とあたしを覆うものをはぎ取って--


「うっせえ、若葉! さっさと起きろ! このボケナスのあほうが! おかしな喘ぎ声出してんじゃねえ! 朝っぱらから気持ちわりいんだよ!」


ドドーンッ! 


おにぃの雷鳴みたいな声が降ってきた。


「そ、そんな怒らなくていいじゃん。怒るのは体によくないんだよ! だから最近、コートーブが薄いんだってば」


「おだまれ! 遅刻遅刻で、おまえの学校から呼び出し食らうのはうんざりなんだよ! 仕事抜けるのどれだけ苦労してると思ってんだよ! ナメてると俺の我慢も……」


あたしの襟首をつかもうとするから、大げさに悲鳴をあげる。


「やめてー! おにぃに犯される!」


「ハッ! おまえみたいな貧乳に欲情するかよ」


「へー、そっか! みゆきさんならちょうどいいんだ」


「待て、なんでその名前知ってんだ?  勝手にスマホ見んな! それから後頭部が薄いって……マジ?」


ジャブを打ち合うみたいな高速の口喧嘩。


これがおにぃとあたしのいつもの朝。


もーっと優しく起こしてくれたらあたしだって素直に従うのに。


「飯、できてんぞ。早く来い」


思い出したようにおにぃが言う。

これが喧嘩終わりの合図。


「ん!」


たちまちあたしの機嫌はよくなる。

だっておにぃの朝ご飯はおいしいんだ!

亡くなったお母さんよりも上手なくらい。



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