第4話

あたしは立ち上がると洗面所に走った。

違うよね。

おにぃの冗談だよね! ねっ?!


祈りながら鏡に映った目を覗き込む。


純ジャパニーズ代表みたいな真っ黒な瞳……じゃなくなっていた。

昇ったばかりの月みたいな、ざわざわと暗い赤色をしていたんだ。


嘘だ。ありえない。


致死率100パーセント。

その事実が氷山みたいに、グワッシャーンとあたしの頭に落ちてきた。


あたし、死んじゃうの?

まだ十五歳なのに。

人生始まってもないのに。


膝から力が抜けて、ヘタリとマットの上にしゃがみこんだ。


「若葉、病院に行こう。ちゃんとお医者さんに診てもらおう。なっ?」


いつの間にかおにぃがそばにいて、あたしの肩に手を置いた。


ああ……。薄毛で口うるさいおにぃでも、いてくれてよかったな。

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