第15話 カノジョの気持ち(3)

「・・もー、ぜんぜん携帯つながんないから・・」


高宮は布団にもぐりこみながら夏希に言うと、


「け、携帯??」


夏希は慌ててあんこを置いて、携帯を探し始めた。



「あれっ!! ないっ! ないよ!」



その大声も腹にしみいる・・。



「そーだ! 家のサイドボードの引き出しに忘れてきたんだっ! あー! ぜんぜん気がつかなかった~~!」


夏希は頭を抱えてもんどり打った。



・・丸1日


携帯がないことに気づかない女。




「え? ひょっとしてあたしに電話した? すんごい具合悪かった? どーしよ! 隆ちゃんってば!」


思いっきり体を揺すられて


「・・頼む。 寝かせて・・」


それだけようやく言えた。



夏希は激しく動揺した。



ダメだな


あたしって・・


隆ちゃん、具合悪くて。


今日も会社だって言ったけど


休んじゃったのかな。




脱力して片付けでもしようとキッチンに向かった。


そんなに散らかってはいなかったが、コップを洗ったりしていると。



あれ??



ゴミ箱に缶コーヒーの空き缶が捨てられていた。



缶コーヒー・・




高宮はコーヒーが好きでいつも豆を買って来て轢いたものをドリップして飲んでいる。


缶コーヒーなんか飲んでるとこ見たことないのに。


不思議に思ってそれを手に取る。



え・・。



ソレを見て驚いた。



飲み口に


口紅!!




お・・女!?



夏希は頭のてっぺんから稲妻が突き刺さったかのような衝撃を受けてしまった。



な、


なんで??


ここに女の人が来たの??


って


どーゆーことっ!?




カンペキにパニックに陥った。




ちょ、


ちょっと冷静になろう。




動悸を鎮めるようにリビングの椅子に座った。


昨日。


隆ちゃんは社長の家に行ってゴハンをご馳走になるって言ってたっけ。


そのあと具合が悪くなったのかな?



てことは・・


南さん??



普段はあまり使用しない脳の隅々まで使って一生懸命ありうることを考えた。



いや・・


南さんはコーヒーがあまり得意じゃなくて。


食後はいつも紅茶を頼んでる。


もちろん


缶コーヒーなんか飲んでるのなんか見たことないし。



え~~?


そしたら


だれっ?



もう彼女のキャパはいっぱいのようだった。



足元にあんこがくんくんと鼻を鳴らして甘えてきた。



「あんこ~~ どーしよ! ねえ!」



夏希は彼女を抱きしめて


自己処理ができずに


戸惑っていた。


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