第12話 第一の事件(3)

「え、高宮が??」


南はやってきた真緒に起こされた。


「そうなの! なんっかすんごい苦しんでるんだけど。 救急車呼んだほうがいいかな??」


南は慌ててパジャマの上にパーカーを羽織って降りて行った。



北都やゆかりも起きてきて、大変な騒ぎになってしまった。


とりあえず、救急車を呼んで近所の病院に運んでもらうことになった。


「あたし、ついてくから。 南ちゃん、あとから来て。」


真緒は着替えてきて一緒に救急車に乗り込んだ。



「どうしちゃったのかしら。」


ゆかりはオロオロしていた。


「カキにあたったんやろか、」


南がゆうべのことを思い出す。


「でも。 あたしたち何でもないわよ。」


「ま・・そうだけど。 とにかく、あたしも着替えてきます。」


南はまた自分たちの部屋に上がって行った。



「は? 食あたり??」


真緒は診察を終えた医師から話をされた。


「ゆうべカキを食べたとかで。」


「で、でも・・あたしたちも食べましたけど・・なんともないんですが。」


「まあ、胃腸が弱っていたんでしょうね。 他の人が食べても大丈夫でも、食べ過ぎると突然アレルギー反応を起こすこともありますし。 じんましんも出てましたしね。 今、点滴打ってますから。」


「はあ・・」




あのカキが


こんなことになるとは。



誰もがそう思っていた。



「大丈夫?」


真緒はそっと高宮の横にやって来た。


「ああ・・・うん。 腹痛はなんとか・・おさまってきたけど・・」


「カキ、ダメなら言ってくれたらよかったのに、」


「ダメじゃなかったんだけど。 ほんっと・・いきなり当たるな。」


苦しそうにそう言った。




ドタバタした末に


南は遅刻をしそうになってしまった。



あ、そうだ!


加瀬に連絡しなくちゃ。



気がついて慌てて彼女の携帯に電話をした。


この日は土曜日で夏希は休日となっていた。



「あれっ・・」



電波が届かないか電源が切れていて・・・


のおなじみのフレーズが流れる。



まったくも~~。 


こんな時に!




「はあ? 高宮があ?」


出社してきた斯波は驚いた。



「そうなの。 夕方ごろには帰れるっていうんだけど。 んで、加瀬に電話したんだけどさあ。 出ないの。 あのコ携帯しか持ってないし。」


南はため息をついた。


「・・加瀬なら。 なんか朝友達の所に犬を見せに行くとか言って。 カバンみたいのに犬入れて出かけたけど。」


「え、ほんま? どこ?」


「知らないよ。 そこまでは。」


「え~~。 もう、ほんっと加瀬ってよく電池切れとかさあ・・携帯置いてでかけちゃうとかしょっちゅうだし! カレシが苦しんでるっていうのに!」


南はイラついた。




「・・も、いいから。」


ずっとついていてくれている真緒に高宮は言った。


「ううん。 だってあたしが誘ったからこんなことになっちゃって。 ほんっと申し訳なくて、」


「だから。 おれでさえもこんなことになるとは想像もつかなかったのに・・」


「ねえ、お家の人とかに電話しなくていいの?」


と言われて、


「・・家は・・別に。」


ちょっと声のトーンを落とした。



それよりも


さっきから何度も何度も夏希の携帯に電話をしているのに一向に出ないことのが気になった。



おいおい


どこ行っちゃってんだよぉ。



何だか心細くなってしまった。

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