第634話 大捜索
「奈々枝っ!そっちの様子はどうだっ!」
国王の指示で康生を捜索するための部隊が編成され、すぐにでも出発出来る準備が整った。
その中で、エルは上代琉生に言われたように爆風が怪我をした兵士達の治療に当たっている。
といっても重傷者は数人程度で、残りの魔力は全て康生に使うためとっておくようだった。
そんな中、上代琉生が奈々枝に無線を飛ばしていた。
『すぐに確認したところだと二人とも姿は見えない。魔道具で確認したところ、近くに巨大な魔力は感じられないみたいだからひとまず人型は消滅したと思っていいかも』
「分かった。それじゃあ念のため周辺の調査も頼む」
『分かってるよ』
上代琉生はそれだけ言って無線を閉じた。
「どういうことだ?そなたの仲間はもう爆心地に移動したというのか?」
すると二人の会話を聞いていた国王の一人が上代琉生に尋ねる。
あれほどの爆風の中、移動出来たとは考えられない。
かといって、あの爆心地の付近に待機していようものならばすぐに体は飛ばされ、重傷を負ってしまうだろう。
それなのに一体どうしてすでに爆心地にいるのかと不思議にならない様子だった。
「簡単な話ですよ。わずかな部隊を次元の狭間に待機させていたんです。そして爆発が終わった瞬間に次元から戻ることですぐに確認が出来たんですよ」
どうやら上代琉生達が移動するより前、奈々枝を中心として数名の隊員達を次元のはざまの中に待機させていたようだった。
「なるほどなリリスのとこの奴か……。だがそれなら我らもそこにいればよかったではないのか?」
確かに国王の言うように、わざわざ危険を犯してまで爆心地から離れなくてもよかったはずだ。
「ですが正直言うと次元の狭間に移動して、戻れる元の場所に戻れる保証はありませんでした。少しの賭け要素がありましたし、そもそもあの空間は人数によって変化するという話ですので」
「なるほどな……」
まだまだ次元の狭間について知らないことが多いことを知った国王はゆっくりと頷く。
「そんなことより今は英雄様の捜索が大事です。すぐに指示を出しますので、皆さまはすぐに移動お願いしますね」
「あぁ、分かっている」
上代琉生は早々に話を切り上げて康生の捜索に移った。
「おう!俺はどうすればいい!」
すると部隊の中で余ったザグ達が集まってくる。
そのメンバーはリナさんや時雨さん、リリスやメルン等の主要メンバーだった。
「皆さんは別途指示があるのでお願いします。それじゃあ部隊の皆さんはすぐに出発をお願いします!」
そうして異世界人、人間達共同で康生の大捜索が始まったのだった。
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