第586話 周囲

「――なっ!?」

 突如響いた爆発音に異世界の国王は驚き声をあげる。

 爆発音が響いた中心には先ほどまで康生がいた場所。

 破壊力抜群の魔法を放った場所だった。

 だが国王達が放った魔法は爆発するものは一切含まれてなかった。

 つまり、その爆発音は国王達の技ではない別の何かの要因が働いたということだ。

 だが、

「ふ、ふざけるなっ!攻撃は確実に直撃した!なのに生きているはずがないっ!」

 兵士達のせいじゃないとしたらそれは康生達のなんらかの力が働いたわけだがそんな仕草は見られなかった。

 それになにより康生は確実にやられたはずだ。

 国王達はその揺るぎない真実を疑うことを恐れるように叫ぶ。


「さて、それはどうでしょうか?」


「――っ!?」

 だが次の瞬間、爆発によってでた煙が一瞬で吹き飛ばされる。

 そしてその中心には――康生が一人立っていた。

「な、なぜだっ!?お前はどうしてっ……!?」

「ふ、ふざけるなっ!あれだけの攻撃を食らってどうして平気でいられるっ!?」

「き、貴様は一体何者なのだっ!?」

 中から現れた康生に対して国王は次々に罵声をぶつけた。

 まるであり得ないものを見るかのように、それこそ人間達が異世界人に向ける化け物という視線に変わっていた。

「ふぅ、今のでお前達の攻撃は終わりか?」

「ひっ……!」

 だが康生は国王達の問いに答えるわけでもなく、ただ冷酷にそっと目を細めて兵士達に投げかける。

「み、認めんっ……!認めんぞっ!!お前なんぞっ、認めてたまるかっ!?」

 康生のあまりにも規格外な力を前に国王の一人は狂ったように康生を睨みつける。

「いけっ!あいつを殺せっ!あいつは生きてちゃならん奴だっ!すぐに殺せっ!」

 そして康生を殺すべく兵士に命令を出すが、兵達は康生の存在に恐れ動きを止めていた。

「く、くそっ!」

 兵士達が動かないのを見た国王は、兵士達を見限り自らが康生を殺すべく動く。

「死ねっ!」

 再び魔法を生成し、国王自身の全ての魔力を放出するように展開させる。

 だが、

「ふぅ」

 康生は軽く両手を掲げた直後、国王が生成した魔法が一瞬のうちに消えてしまった。

「う、うぅっ!」

 国王はそれでもめげずに武器を構え康生を倒そうとする。

 だが国王が振り下ろした武器は康生に触れることなく吹き飛ばされてしまう。

「こ、これはっ、魔力の壁っ!?しかしこれだけの魔力量を一体どうやって……っ!」

 武器が吹き飛ばされてなお、国王は康生へ突撃していくがすぐに康生の周囲に魔力で出来た壁が生成されていることに気づき驚愕の表情を浮かべるのだった。

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