第584話 最小限
「はっ!どうやらそろそろ限界のようだなっ!」
人間と異世界人達が自然と連携をとりはじめるようになってしばらく経つ。
どちらかが言い出したわけでもなくもはや当たり前のように連携をとりはじめる二つの陣営は、だんだんとお互いのペースが分かりはじめたようでどんどんと康生を追いつめていっていた。
「いい加減にくたばれっ!」
どんどん攻撃が繰り出されていく中、国王が一瞬の隙をついて強大な攻撃を繰り出してくる。
炎の小さな竜巻で康生の体に絡みつくように放たれる。
それはまるで竜のように蠢き康生の体へと巻き付いていく。
「くそっ!」
だが康生はすぐに魔法を打ち消そうと手を向ける。
だが人間の兵士達がすかさず全方位から武器を構えて攻撃を振り下ろす。
「ちっ!」
炎の竜はそんな人間達を易々と避けて康生だけを狙っていた。
しかも周囲の異世界人達が魔力で強化しているので、威力は数倍にも膨れ上がっていた。
「これで決めるぞっ!」
国王の一人が叫ぶ。
どうやらこの攻撃で康生を倒そうというようだった。
連携の感覚もつかめ、体力もまだある今だからこそ康生を今ここで倒すことを決めたのだろう。
そんな国王の言葉に異世界人だけではなく、人間達も動揺に意志疎通をして康生をしとめるために動きだす。
「真下の人員が薄いぞっ!確実に逃げさせるなっ!」
すると人間の国王もそんな兵士達の動きを見て、自然と康生をしとめるために指示を出す。
「よしっ!いけっ!休める隙を与えるなっ!」
炎の竜に魔力を供給し続け、確実に康生に攻撃をあてるために兵士達が一丸となって康生をとどめる。
さらに別の国王達もそれぞれ最大威力の魔法を展開する。
どんなものでも切り裂く風の力や、どんなものでも一瞬に灰にかえすことが出来るほどの雷の力や、高密度に圧縮し硬度をあげた水玉の流星群など、それら一つをとっても一人を相手に使うには強力すぎる魔法だった。
「いけっ!押せっ!今が正念場だっ!」
人間の国王は背後から指示をだして、康生が逃げないよう確実にしとめるつもりだ。
その指示も人間達だけではなく異世界人も同様に指示に従う。
「確実に倒すっ!皆の者いくぞっ!」
それぞれの魔法が展開され、康生の逃げ場を閉ざしたことで国王の一人が合図を放つ。
そして次の瞬間、康生に向かって無数の最強魔法が放たれる。
「くそっ!」
康生は瞬時に回避しようとするが無数の兵士に行く手を阻まれて逃げようがない。
敵を殺してはいけない以上、最小限の攻撃にしないといけないわけだがそれでも康生はつい力を力みすぎてしまうがもはや回避が間に合わない状況だった。
「いっけぇっ!」
誰かが、または複数の叫び声と共に魔法が康生へと放たれるのだった。
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