第582話 連携
「ちっ」
康生が舌打ちをこぼすとともに無理矢理体を動かして攻撃を回避した。
「今だっ!」
康生が無理矢理攻撃を避けたことを察した異世界の国王はすかさず攻撃を練りもうとする。
しかしちょうど人間も同様に康生の隙に食いつくために攻撃を仕掛けようとしてしまいお互いの攻撃がぶつかってしまう。
「邪魔だっ!」
「そっちこそっ!」
元々は敵同士だったからか、お互いのことをあまり考えない行動にやはり戦闘中は支障をきたしてしまう。
「くそっ!今のは確実にやれたはずだっ!」
そして攻撃を邪魔されたことに国王はすかさず怒りを人間に向けようとする。
だがそれを見越して康生はすぐに国王に攻撃を入れる。
「ぐっ!」
国王はすぐに戦域から一時離脱して攻撃を避ける。
「やれっ!先ほどのように隙をつけっ!」
そして国王はすぐに背後から兵士達に命令する。
先ほど康生が見せた隙をもう一度作れと。
「で、ですが……」
だがそんな中、兵士達の中ではわずかな動揺が広がっていた。
何故なら先ほどの攻撃は人間が異世界人をサポートしたものだ。
康生を倒せないことに苛立った人間が苦肉の策を行った結果だった。
それを周りが見ていたからこそどうすべきが判断に迷っているようだった。
「おいおいっ、どうしたっ!そんなんじゃ俺は倒せないぞっ!」
だが康生はそんな兵士達のわずかな動揺を見てさらに攻撃を仕掛ける。
瞬時に多数の魔法を展開し全方位に向かって放った。
今までは違い、完全に康生から仕掛けた攻撃に兵士達はすぐに恐れを抱いて回避をした。
だがそれによって兵士達の中に危機感が生まれる。
「くそっ!もう本当にどうにでもなれってんだっ!」
そして異世界人の一人が叫んで康生へと突撃していく。
他の者も負けていられずにすぐに攻撃に移るが、今までの攻撃とはわずかに違うものだった。
「そっちいったぞっ!」
「攻撃がくるぞっ!」
「俺が引きつけるっ!」
康生を中心にした兵士達の集団から声が聞こえるようになった。
それは味方も敵も関係なく、ただ康生を倒すためにその場での皆で一丸になるように。
「そうだっ!その調子だっ!」
そのおかげか、先ほどよりも両陣営同士の攻撃の連携がとれ、確実に康生を追いつめて行っていた。
国王もそんな様子を見ながら再び戦いに参戦し、兵士達に合わせるような巨大な魔法を展開し攻撃を放っていた。
「ふっ、先ほどまでの余裕はどうしたっ!」
徐々に苦戦していく康生を見ながら国王は高笑いをする。
「くっ……」
今まで以上に連携をとっている人間と異世界人に康生はただただ苦しい表情を浮かべるだけだった。
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